難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

弱視障害者の著作権法改正の要望

2010年11月20日 14時05分32秒 | 著作権
弱視者問題研究会が、文部科学大臣と文化庁長官宛に要望書を提出した。

障害者放送協議会も推進会議に情報バリアフリー全体の問題と合わ
せて著作権問題の要望書をだそうと準備をしている。


ラビット 記
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2010年11月15日
文部科学大臣 高木義明様
文化庁長官 近藤誠一様

弱視者問題研究会
代表 並木 正

著作権法の一部改正を求める要望書

 日頃より視覚に障害のある児童・生徒の教育にご理解とご尽力を
賜り厚く御礼申し上げます。また、2008年6月には「障
害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に
関する法律」いわゆる「教科書バリアフリー法」を成立させていた
だき、その後も拡大教科書の普及にご尽力いただいていることに深
く敬意を表します。

 教科書バリアフリー法の施行により、教科書出版社による拡大教
科書の発行が徐々に進んでおり、これまで拡大教科書製作に追われ
ていた拡大写本ボランティアグループは副教材や参考書、問題集、
一般図書などの拡大文字化に取り組めるような状況になってきました。
しかし、ボランティアがこれらの教材の拡大版に取り組む際に全て
の著作権者に許諾を得なければならないという大きな足かせがあり
ます。拡大教科書については著作権法第三十三条第二項により著作
権が制限されておりますので、著作権許諾の問題に悩まされること
はありませんが、副教材などの書籍は教科書ではないためこの条文
は適用されません。
また、第三十七条第三項では、政令で定められたもの、つまり点字
図書館や公共図書館、学校図書館、大学図書館、国会図書館などの
施設では視覚障害者等のために著作物を拡大することは許されてお
りますが、ほとんどのボランティアグループや志ある個人は法人格
を持たず、図書館にも関係しておりませんので、政令で定めるもの
とはなっておりません。
よって、全国各地で活動する拡大写本ボランティアは複数の弱視児
童・生徒のために教科書以外の書籍の拡大版を製作しようとする時
に全ての著作権者に許諾を得なければならないということになります。
しかし、実際は著作権者の連絡先すら分からず、事実上弱視児童・
生徒の学習環境を整えようとしても著作権法上できないというはが
ゆい状況に陥っています。

 我が国も批准を検討している国連障害者権利条約の30条には
「締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者
が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁と
ならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。」と定
められています。
2009年の著作権法改正審議の際に衆議院文部科学委員会の付帯決
議として「障害者のための著作物利用の円滑化に当たっては、教科
用拡大図書や授業で使われる副教材の拡大写本等の作成を行うボラ
ンティア活動がこれまでに果たしてきた役割にかんがみ、その活動
が支障なく一層促進されるよう努めること。」という項目も決議さ
れています。

 また、内閣府の知的財産戦略本部から検討の要請があり、現在文
化庁で審議されている日本版fair useは、障害者にとっても
情報格差を解消するための「公正な」利用を促進するものでなけれ
ばならないと考えます。これは憲法が定める法の下の平等や教育の
機会均等を実現するための重要な要件とも考えられます。

 そこで全国の地域で活動するボランティアグループや個人が弱視
児童・生徒の学習環境整備に専念でき、視覚障害者等が障害の有無
に関わらず、文字・活字文化に平等にアクセスできるような環境の
整備が望まれます。
よって、現行の著作権法第三十七条第三項にある「福祉に関する事
業を行う者で政令で定めるもの」を「情報を保障するもの(但し、
営利を目的とする場合を除く。)」と改正していただけますよう要
望いたします。ご検討の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

(連絡先)
弱視者問題研究会
代表 並木 正
〒175-0092 板橋区赤塚

参議院議員むけ訴訟団要請文と「基本合意」文書

2010年11月20日 12時27分36秒 | 障がい者制度改革
目指す会から、ニュースが届いた。
訴訟弁護団の参議院議員向けの要請文書と基本合意だ。
障害者側の現行障害者自立支援法の改正要望は「障害の定義」などを除けば政令、省令で実行できるものばかりとある。
要約筆記者養成事業も実施ガイドラインである実施要項を通知するだけで済む。

しかし、政権が補正予算の成立などと交換条件にこれの採択に同意したと言えば、障害者の生活を政争の具にしたことになる。これは許し難い。


ラビット 記

━━━MEZASU━━━━━━━━━━━━━━━
◆障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会◆
   ニュース 2010.11.20 第72号(通巻180)
   http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/suit/
━━━━━━━━━━━━━━MEZASU━━━

◆1◆ 参議院議員むけ訴訟団要請文の活用を
藤岡弁護団事務局長から先ほど(添付word)
「障害者自立支援法「改正」法案 衆議院可決は許し難い!
 でも、諦めません、ご理解とお力添えをお願いします。
 2010年11月20日
 障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会
 障害者自立支援法訴訟全国弁護団」
が届きましたので、速報です!

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障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会メールニュースです。
事務局には syouri_mezasukai@nginet.or.jp  にメールください。
----End of Forwarded Message

障害者自立支援法「改正」法案 衆議院可決は許し難い!
でも、諦めません、ご理解とお力添えをお願いします。
2010年11月20日
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会
障害者自立支援法訴訟全国弁護団

一 障害者自立支援法違憲訴訟と基本合意
 私たち原告71名は「障害は障害者自身の責任である」と感じさせる障害者自立支援法は憲法の保障する基本的人権を侵害するものとして全国で提訴しました。

 政府は話し合い解決を求め、本年1月7日、国(厚生労働省)(以下「国」)と訴訟団は基本合意を締結し、4月21日までに全国14地方裁判所において基本合意を確認する和解が成立しました。そこで国は次のことを認め、確約しました。
・速やかに応益負担を廃止すること
・平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止すること
・国は違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める
・障害者自立支援法を障害者の意見を十分踏まえず施行し、障害者の尊厳を深く傷つけたことに対し心から反省の意を表明し、この反省を踏まえ今後の立案・実施に当たる。

二 5月、6月の法案と何ら変わらないこと
 本年5月28日、衆議院厚生労働委員会で、自立支援法「改正」の与党案と野党案が撤回されると同時に委員長提案がなされて、6月上旬に法律成立直前まで行きました。
 「障がい者制度改革推進会議」及び「総合福祉部会」を踏みにじるやりかたに、その全ての構成員が遺憾の意を表明し、廃案に至りました。
 その後、各政党はヒアリングを実施し様々な意見が出ました。また、総合福祉部会では6月7日「新法制定前に対応するべき当面の課題」が提起され総理大臣に提出されました。
 しかし、11月17日に上程された法案は、優先的に対応するべき「当面の課題」は何ら考慮されず、意見、提言は何一つ検討されることなく、「一言一句変えない」もの(施行時期の技術的文言除く)であり、ヒアリングは、「アリバイ作り」以外の何物でもありません。

三 障害者自立支援法を「復活」させようとする意図を否定できないこと
 私たちが2008年10月に一斉提訴に踏み切り、当時の与党は2009年3月に「自立支援法手直し法案」を提案するまで追い詰められました。しかし、1割負担を前提に、軽減措置の額を「応能負担」と言い換えて、「自立支援法は変わったので問題ない、このまま使おう」とするもので、私たちは問題の本質をすり替えるものとして厳しく批判し、廃案となりました。今回の法案は、その法案とほとんど変わりがないのです。
 繰り返される強引極まる政治の動きは、端的にいえば、廃止が決まった障害者自立支援法「復活」を狙ったものと強い危機感を覚えざるを得ないのです。

四 廃止と新法作りが本筋であること
 推進会議のスケジュールでは、平成25年8月に新法施行、24年前半に新法可決、23年に原案ほぼ完成というものです。
 他方、今回の「改正」法では、公布と同時に施行される「障害の範囲」の点を除けば、平成24年4月頃に施行されるものであり、既に新法が可決され、現行法は廃止日までのわずかな猶予期間状態です。障害者の尊厳を傷つけることを理由に廃止直前の法を廃止までの短い期間のためだけにここまで強引に改正することは、理解に苦しみます。
 新法制定と制度移行に全力を注ぐべき時期に法改変を行なうことは、円滑な新法移行を阻害し、混乱を招きます。また、現在精力的に行なわれている推進会議と総合福祉部会での議論の幅を大きく制約する、改革の足かせになるものです。

五 これでは応益負担は決して廃止されないこと
 あたかもこの「改正」で「応益負担がなくなる」かのごとき説明ですが、現行の金額は不変であり、今まで明文にはなかった「1割負担」が条文化されますので、基本合意で約束された「速やかな応益負担の廃止」にはむしろ、相反する「改正」です。
 額を政省令に委ねるという法案ですが、5月から6ヶ月以上経過しても、新たな負担額を定める政省令案の話しは聞こえてきません。すなわち、提案者らには、現行の額を下げよう、応益負担を無くそうという意思がないのです。

六 必要な当面の対策は政省令、予算措置で行なえること
確かに、現行制度の不備を埋める応急処置は必要です。純粋に個別事項の早急な解決を願う人々と私たちの願いは同じです。
諸団体が指摘している不備は、まさに自立支援法が何度も実施してきた、特別対策、緊急措置等で可能ですし、それは実施されるべきです。しかし、障害者の尊厳を傷付けるとして本質的に存在を否定されたはずの法律自体を「改正」する必要はありません。

七 人権を政争の具とするな
  またもや聞こえてくるのが、永田町での法案の駆け引きであり、人権を政争の具(愚)とする過ちを立法関係者は自戒頂きたい。

八 国民を軽視する国会
  全国の障害者や関係者が注目する衆議院厚生労働委員会では、ほとんど質疑も討論もなく、本会議は委員会の事務報告の場と化し、およそ議会の体をなしていません。国民代表である国権の最高機関の形骸化は民主主義の危機的状況です。

九 参議院の良識を期待します!
  参議院は良識の府としての役割を発揮し、十分な審議を行ってください。

一〇 お願いです。
障害者の声を押し潰して進められるこの動きと、新法制定を阻害する「改正」法可決を到底認めることはできません。
 参議院議員のみなさまのご理解とお力添えを心よりお願い致します。

障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と
国(厚生労働省)との基本合意文書
平成22年1月7日
 障害者自立支援法違憲訴訟の原告ら71名は、国(厚生労働省)による話し合い解決の呼びかけに応じ、これまで協議を重ねてきたが、今般、本訴訟を提起した目的・意義に照らし、国(厚生労働省)がその趣旨を理解し、今後の障害福祉施策を、障害のある当事者が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるものとするために最善を尽くすことを約束したため、次のとおり、国(厚生労働省)と本基本合意に至ったものである。

一 障害者自立支援法廃止の確約と新法の制定
国(厚生労働省)は、速やかに応益負担(定率負担)制度を廃止し、遅くとも平成25年8月までに、障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する。そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。

二 障害者自立支援法制定の総括と反省
 1 国(厚生労働省)は、憲法第13条、第14条、第25条、ノーマライゼーションの理念等に基づき、違憲訴訟を提訴した原告らの思いに共感し、これを真摯に受け止める。

2 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。

3 今後の新たな障害者制度全般の改革のため、障害者を中心とした「障がい者制度改革推進本部」を速やかに設置し、そこにおいて新たな総合的福祉制度を策定することとしたことを、原告らは評価するとともに、新たな総合的福祉制度を制定するに当たって、国(厚生労働省)は、今後推進本部において、上記の反省に立ち、原告団・弁護団提出の本日付要望書を考慮の上、障害者の参画の下に十分な議論を行う。

三 新法制定に当たっての論点
 原告団・弁護団からは、利用者負担のあり方等に関して、以下の指摘がされた。
① 支援費制度の時点及び現在の障害者自立支援法の軽減措置が講じられた時点の負担額を上回らないこと。
② 少なくとも市町村民税非課税世帯には利用者負担をさせないこと。
③ 収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること。
④ 介護保険優先原則(障害者自立支援法第7条)を廃止し、障害の特性を配慮した選択制等の導入をはかること。
⑤ 実費負担については、厚生労働省実施の「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果を踏まえ、早急に見直すこと。
⑥ どんなに重い障害を持っていても障害者が安心して暮らせる支給量を保障し、個々の支援の必要性に即した決定がなされるように、支給決定の過程に障害者が参画する協議の場を設置するなど、その意向が十分に反映される制度とすること。
  そのために国庫負担基準制度、障害程度区分制度の廃止を含めた抜本的な検討を行うこと。
国(厚生労働省)は、「障がい者制度改革推進本部」の下に設置された「障がい者制度改革推進会議」や「部会」における新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険制度との統合を前提とはせず、上記に示した本訴訟における原告らから指摘された障害者自立支援法の問題点を踏まえ、次の事項について、障害者の現在の生活実態やニーズなどに十分配慮した上で、権利条約の批准に向けた障害者の権利に関する議論や、「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」(平成21年11月26日公表)の結果も考慮し、しっかり検討を行い、対応していく。
① 利用者負担のあり方
② 支給決定のあり方
③ 報酬支払い方式
④ 制度の谷間のない「障害」の範囲 
⑤ 権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥ 障害関係予算の国際水準に見合う額への増額

四 利用者負担における当面の措置
 国(厚生労働省)は、障害者自立支援法廃止までの間、応益負担(定率負担)制度の速やかな廃止のため、平成22年4月から、低所得(市町村民税非課税)の障害者及び障害児の保護者につき、障害者自立支援法及び児童福祉法による障害福祉サービス及び補装具に係る利用者負担を無料とする措置を講じる。
 なお、自立支援医療に係る利用者負担の措置については、当面の重要な課題とする。

五 履行確保のための検証
以上の基本合意につき、今後の適正な履行状況等の確認のため、原告団・弁護団と国(厚生労働省)との定期協議を実施する。
  以 上