難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

情報アクセスにおける「手話」と「手話通訳」【試論】(2)

2010年11月27日 22時13分20秒 | PHSから
【ろう者のコミュニケーション方式は手話】
ろう者にとって、手話が自分の言葉であり受発信方式だ。ろう者どうしのコミュニケーション方式は手話だ。
そうでない人とは「手話通訳」を介してやはり手話でコミュニケーションする。

ろう者は実際の生活では視覚情報を活用しているので、全部手話で表現されればいいわけではない。音声にアクセスする場合が多い。
例えば、アナウンスで時間を告げている時、手話で表現することは求めていない。時計の表示が長針と短針で示されるか、数字で「10:30」とあればそのままアクセスできる情報だからだ。

【手話通訳の役割はメディア変換】
手話通訳は音声と手話の一種のメディア変換機能を持つとする。

【ろう者の情報アクセスの保障】
情報の種類や形式に関わらず、手話でアクセス出来ること。アクセスには手話で表現、発信することも含む。
・音声を手話でアクセスできること。
・文字や字幕も手話でアクセスできること。
 書籍を手話で読む権利が必要。
・ろう者同士の手話での会話を音声に変換する権利
 複数の聴覚障害者のパネルのいるディスカッションなど。

【情報アクセスと行政サービス】
情報一般にアクセスする権利と行政のサービスを受ける権利との関係。

学校教育は義務教育は教育行政によって行われ、公立校私立校に関わらない。
ろう者は手話で教育を受ける権利がある。教育が音声によってのみ行われるならろう者は教育を受ける権利が保障されない。
教育は障害の有無、種類に関わらず保障される権利だからだ。
このことは実際の授業が手話でどのように行うか、行えるかの問題とは別という考えが重要である。
情報アクセスの保障が教育を受ける権利と密接に結びついている。

裁判における情報アクセス保障の問題も、情報アクセスの保障が裁判を受ける権利と結びついている。
(続く)


ラビット 記

情報アクセスにおける「手話」と「手話通訳」【試論】(1)

2010年11月27日 22時11分12秒 | PHSから
【情報アクセス権】
情報は、障害を有無に関わらず、生活に必要であり、情報アクセスは普遍的、基本的権利である。

情報アクセスは機能障害を持たない場合でも障害となることがある。
・たとえば、子供にとっては普通の新聞はアクセスしにくい。書かれていることが難しいからである。
・病気や事故で手が怪我をしている人は本にアクセスできない。本のページがめくれないからだ。
・電車の通過が頻繁なホームではアナウンスが分からない。騒音で聞きにくいからだ。

障害を持つが故の制約はこれは国や社会により保障されるべきであり、権利である。普通の人にも保障されるからだ。

【障害と情報アクセス】
機能障害を持つものはアクセスが制限を受けやすいとういう特徴がある。
機能障害は情報アクセスとの関係が深いからである。
・聴覚障害者は音声情報にアクセスできない。聞こえないからだ。部分的に聞こえても情報の意味を理解できなければ「聞こえた」ことにならない。
・視覚障害者は文字や字幕による情報にアクセスできない。読めないからだ。
・車いすの障害者はコンビニの端末は使えない。端末が高く画面が見えないからだ。

【情報アクセスとコミュニケーション】
情報は、音声、文字、映像、形状など様々な形がある。
温度、湿度その他の物理現象、風、天候など自然現象などの状態も情報と言える。

情報アクセスの対象では、人間の普通の生活に必要な情報に限定する。
時間は物理現象だが、それを伝える時計や電話の時報サービス、放送内容の情報は保障されるべきだ。
台風は自然現象だが、それを伝える有線放送、テレビのニュースは保障されるべきだ。

機能障害を持つ人はその機能障害により情報の受発信に必要なコミュニケーション方式は多様だ。
情報アクセスとは、その人の必要とする方式で情報の受発信、コミュニケーションすることだ。
(続く)


ラビット 記