氷山の一角 (散歩に出て思うこと ２５)

（氷山の一角）
人は、智恵、意志、感情を持った動物と定義される。
智恵、意志、感情のバランスは、人によって違いはあるが、
智恵、意志が１０％、残り９０％は感情で出来ていると、
言われている。

氷山にたとえれば、水面上に出ている部分が智恵と意志で、
水面下にある氷の部分が感情ということになる。

人を説得する場合、理屈で説得するより感情に訴えた方が、
はるかに好結果をもたらす場合が多い。

「これこれこうだから、こうして？」欲しいと頼むよりも、
「理屈抜きにしてお願いだから、こうして？」と依頼する方が
たやすく依頼に応じてもらえる。

調理器具にしろ、冷暖房気にしろ、自動車にしろ、機械の性能を
こまごま説明するより、調理器具ではこれで調理したほうが美味しく感じます、冷暖房機では快適に過ごせます、自動車では、
長距離ドライヴが楽しくなるとか、婆ちゃんや奥様、
お子さんが喜ぶとか、感情に訴えた方が結論を早く導くことが出来るはず。

そのかわり感情で断られた時は、反論のしようが無い。たとえば
「私はこのメーカーが嫌い」とか「営業マンが嫌い」とか、
「音がうるさい」とか「香りが悪い」などという類である。
感じ方は人それぞれであるから、始末が悪い。

人間の活動は、この感情で左右されながら動いていく。
何と言っても、感情が９０％を占めているのだから、
止むを得ない。
人は感情の動物といっていいだろう。

痛いかゆい、美味しい不味い、好き嫌い、いやだ、
苦しい気持ちいい、楽しい悲しい、格好よい、
などなど、殆どが感情の賜物。

ところがこの感情というやつは、極めて扱いにくい。
何故なら、変わりやすいからだ。
女心と秋の空や、男心と浮気なんていうのは、
感情の変わりやすさを代表している。

特に男の浮気心なんてものは、神様が男を作った時から
付いて回っている。
第一生理的に、男子は種の保存のために、種付けだけに
あるようなもので、いつもどこかに種を保存できる
相手はいないかきょろきょろしている。
それを押さえているのが、意志の力であるが、
意志の力では、感情を抑えることは難しい。

よく社会的に地位のある男性が、
痴漢で逮捕されることが、ニュースになるが、
意志の力では、女性に触れたいという感情を抑えることが、
如何に難しいかを物語っている。

暴力、殺人など、事件が多いが、原因となっているのは、
いつも感情の部分である。

その感情を抑えるのが、智恵であり意志であるが、
智恵、意志が占める割合が少ないことを、
あらかじめ理解して、いつも心を平静に保つことが
大切に思う。