彦根の歴史ブログ(『どんつき瓦版』記者ブログ)

2007年彦根城は築城400年祭を開催し無事に終了しました。
これを機に滋賀県や彦根市周辺を再発見します。

映画『一遍上人』

2012年06月02日 | イベント
ついに彦根で『一遍上人』が公開初日を迎えました。
関西ではどこよりも早い上映です。

一遍上人といえば踊念仏ということは、歴史の教科書にも出てくる話です。
踊ることで無我の境地になりながら、仏の教えを受け入れていくようなイメージを管理人は持っています。
よくいうのは北野武監督の『座頭市』で登場した集団でタップダンスを踊るシーンは踊念仏のイメージに合うと思います。

彦根では高宮城主が一遍を招いて、自らの菩提寺を改宗させたという話があり、このお寺が高宮寺と言われています。
そして映画に登場する超一という女性が亡くなったのが彦根から大津のあいだのどこかと言われています。
また、戦国期に一向宗が台頭するまで、国内で一番信者が多かった宗教は時宗でした。この信者の中に多い名前は“○阿弥”という名前です。正式には“○阿弥陀仏”という名前なのを略して“○阿弥”としているそうです。
ですので、羽柴秀吉の義理の父である竹阿弥は、時宗の信者だった可能でいが高くなるのです。
しかし、一遍がどんな人生を送った方なのかを問われるとほとんど解らない人でもあります、それは現在あまり注目されていない人物だからです。


そんな一遍上人を映画化するということだけでも大きな冒険だったのではないかとも思えますが、それと同時にどうしても宗教映画のように思われがちなのかもしれません。

もちろん、一人の聖を描いた作品なので、宗教の話が無いわけではありませんが、作品の中に「教えではなく気付きです」との意味の言葉に代表されるように、宗教の押し付けではなく、当たり前としてあるものをあるがままに受け入れる純真な心こそを重きにおいています。

主人公の一遍上人を演じるのはウド鈴木さん。

「ウドちゃんが主演の映画ってどうなん?」って話は、管理人が勧めた方の中でもよく出てきた言葉でした。僕も観ていない以上は「解らないけど、秋原監督が選んだなら間違いないと思うよ」としか言えませんでした。

でも、今回観て解りました「あっ、ウドちゃんじゃないとできない役なんだ」と。

おバカキャラが表に出がちですが、それと同時にどこまでも素直な印象があるウドちゃんが演じる一遍上人は、まさしく純朴に気付きを伝えていく人物でした。純朴であるがうえに誤解も生みますが、それでもただ己の想いに従って、周りに流されない強い信念がありました。
そんな強さを和らげるように映し出される美しい風景は、かたくな過ぎる一遍上人の生き方に彩りを加えていました。

そして最後に見せるそれまでとは少し違う顔
その直後に流れる宇佐元恭一さんが歌う『雨ニモマケズ』
宮沢賢治が残した詩に曲を付けられて歌われている曲なのですが、これが映画に合ってるんです。


この曲は、映画のために書かれたものではありません。管理人も数年前にFM滋賀で流れているのを聞いたことがあった曲です。
上映が終わったあとで秋原監督と宇佐元さんのトークがあり、その中で出演者よりも先に決まったのが歌だったと監督が仰っておられました。それほどに心に響くんです。

映画と共に楽しんでほしい曲です。
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