ヒロシの日記

たくさんの人たちの幸福を願いつつ、常に自然な生き方を望む私の日記です。

時々絵本のレビューを書きます

2009-02-03 23:02:09 | 日記
レビューを書いて、初めて自分に伝わる作品もあることに気付きました。

読みっぱなしは、実にもったいないですね。
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風が吹くとき

2009-02-03 23:00:34 | 日記
風が吹くとき
作・絵: レイモンド・ブリッグズ
訳: さくまゆみこ
出版社: あすなろ書房  


放送「本日午後、首相が・・・声明を発表・・・悪化する国際情勢について・・・国民に警告を発し・・・戦闘準備が進行し・・・戦争の勃発は・・・死の灰を避けるシェルターを・・・3日のうちに・・・」
ジム「ええっ!」
妻「どうしました?舌にやけどでも?」
ジム「とうとう、くるものがきたぞ!」
妻「(ソーセージを)もう一本いかが?」
妻「そんなに心配しなくたって。そのうち、なーんだってことになりますよ」
ジム「3日だと!ちくしょう!」
妻「まあ、ひどい言葉ね、ジム」
ジム「けさ、図書館からパンフレットや広報をもらってきてよかったよ」
ジム「ほら、これだ。『自宅でのサバイバル・ガイド


-上記は引用箇所です-

退職したばかりのジムとその妻の穏やかで平和な生活は、東側から放たれた一発の核弾頭の爆発により一変します。
政府が各家庭に作り方を広めたささやかなシェルターは、爆発の衝撃から身を守ることまでは出来ましたが、核爆発の時の放射線やその後にやってくる死の灰の危険から逃れることは出来ませんでした。

世界は息をしなくなり、読んでいる私は言葉を交わしている人間が世界でたったこの夫婦だけとしか思えなくなります。

それでも、二人は爆発の前と変わりなく、屈託のない夫婦の会話を続けます。
二人は毛が抜けて血を吐いても明日がやってくることを微塵も疑っていないのです。

そして、この二人を見て絶望したのは、何と主人公ではない読者の私でした。
絵本の中の二人に向かって、何度心の中で「もう終わりなんだよ!」と叫んだことでしょう。

世界が破滅に向かう状況下においても尚、絶望しない二人に対して絶望を強いる読者の私がいたのです。

決して絶望しない相手に対して、「無知だから」と言うのはたやすいことでしょう。しかしそれは、知っているつもりの人間のおごりか自惚れなのだと私は思います。
救いのない状況下の相手に向かって「絶望しろ!」と叫ぶのは、目の前の「絶望」を受け入れることが出来ないことの裏返しのような気がしました。


この絵本の裏書きに“Copyright ℂ 1982”とありますので、1982年の作品だと思いますが、東西の対立は続いていて駆け引きはあったものの、この頃に核戦争の恐怖を感じることはあまり無かった筈です。
日本では1998年に初版が発行されましたので、ソビエト連邦解体の後でした。
日本で出版された時の反響を今は思い出すことが出来ませんが、核戦争のキーワードとともにこの作品の名前の記憶だけはありました。


この作品の中の東西の指導者たちは、風刺漫画の如く描かれていましたが、この作品は核兵器や冷戦の導く結果の恐ろしさを伝えることが本意ではなく、読む私たちに「絶望」の意味を問いかけていたのではないでしょうか。
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さむがりやのサンタ

2009-02-03 22:57:21 | 日記
さむがりやのサンタ
作・絵: レイモンド・ブリッグズ
訳: すがはら ひろくに
出版社: 福音館書店
税込価格: \1,260
(本体価格:\1,200)
発行日: 1974年10月25日


とにかく美しい絵本です。

クリスマスを描いた本は、ある種の期待感をもって開くのですが、これもまた期待を裏切ることはありません。
ヨーロッパの雪降るクリスマスの美しい情景が次から次と展開されるからです。
以前紹介した「ゆきだるま」もそうでしたが、見開きの画面はただ大きく画いただけでなく、美しさが増幅されて見る者を圧倒します。

しかしこの絵本には、筋書きを書くような物語と言えるほどのものはありません。
職業としてのサンタクロースのクリスマスイブの一日を描いたものだからです。

タイトルの「さむがりやのサンタ」は、このサンタが、こんな愚痴をこぼすところから付けられたものでしょう。

-サンタ 愚痴語録-
「ふゆはいやだよ まったく!」
「なんてこったい いやなゆきだよ まったく!」
「はやく なつにならんかねぇ」
「うー さむ」
「えんとつなんて なけりゃいいのに!」
「すすだらけに なっちまった」
「ふん なんだ ジュースかい」
「ちぇっ まったく」   ・・・屋根の上での夜食で、どこも天気が悪いことを告げるニュースを聞きながら
「じゃまっけな アンテナだ」
「やれやれ あしが こごえちまった」

しかしこのサンタはクリスマスイブの晩にプレゼントを届けるプロなので、愚痴は言いつつも仕事はきちんとこなします。
トナカイの飼育も、空中を滑るソリを操る高度なテクニックも、全てはこの日のためのものでした。

そして彼の一番のプロ意識を見ることが出来たのは、サンタであるこの老人自身の健康管理とも言えるものでしょうか。

彼はひとり住まいです。
家で犬と猫を飼い、決められた時間に起きて、自分一人で生活の全てを賄うのですが、美味しいものを食べ、美味しいお茶を飲み、お酒も喫煙も嗜みます。
生活の手抜きは一切なく、そこでは生きていく上でのストレスを全く感じさせません。
仕事終えて入浴を楽しむサンタが見せた健康美溢れる肉体は、彼よりまだ少し若いであろう私ですら憧れてしまいます。
家族(親戚?)からは郵便でクリスマスのプレゼントも届きますし、独居老人ではあっても決して孤独ではありません。
地域にあっても、又一人の人間としても、これはひとつの理想ではないでしょうか?

このサンタは、これから老境に向かおうとする私の人生の目標でもあります。
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お向かいの家のブロッコリーはこんな感じです

2009-02-03 22:07:37 | 日記
しかし、今日は他に何もありません。

水面下では、まあぼちぼちですが。。
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