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羽越線事故で、事故調が報告書を発表

2008-04-02 21:18:50 | 鉄道・公共交通/安全問題
羽越線脱線で事故調が報告書(産経新聞)

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 平成17年に山形県のJR羽越線で特急列車が脱線転覆し5人が死亡、33人が負傷した事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は2日、事故調査報告書を公表した。局所的な突風で車両が傾いたことが原因と結論づけ、「(突風の)予見は厳しかった」とした。

 事故は17年12月25日午後7時15分ごろ、山形県庄内町のJR羽越線砂越-北余目間で発生した。秋田発新潟行き特急「いなほ14号」(6両編成)が第2最上川橋梁(きょうりょう)を過ぎた後の直線で全車両が脱線し、1、3両目が線路脇の堆肥(たいひ)舎に衝突。乗客5人が死亡、乗務員2人を含む33人が負傷した。

 事故調は、いなほ14号の使用車両の40分の1模型を製作し風洞試験を実施。風向きや振動などが最悪のケースだった場合の風速が、時速100キロ走行で1両目が35メートル、2両目が44メートル、時速120キロ走行で1両目が32メートル、2両目が41メートルに達すると脱線すると分かった。

 当時は「積乱雲群が通過し突風などが発生しやすい気象状況」で、周辺の被害状況から「現場の瞬間風速は40メートル程度」と推測。800メートル離れた風速計が最大12メートルだったことから、激しく吹き下ろすダウンバーストか竜巻による突風が局所的に吹いた可能性を指摘した。

 事故調は「少なくとも事故当時、突風の予見は厳しかった」とする一方、所見で国交省、気象庁、鉄道会社に、実効性のある突風対策に取り組むよう求めた。
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報告書は国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調)のサイトからも読めるが、私はいくつか率直な疑問がある。

事故現場となった羽越線では、この事故が起こる以前の2年半で98回も強風による運転規制があったと報道されているのだ。つまり、この地方にとって風は日常茶飯事、ということになる。

そこで「風が吹いたから転覆」というのは、つまり何も言っていないのと同じではないだろうか。「船の転覆は波が原因」というのに等しい。

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http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/134532/

「電車がひっくり返ったのは事実。原因が何であれ、息子を亡くした無念さは変わらない」。JR羽越線特急脱線事故で国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が出した最終報告書を受け、秋田県にかほ市の会社員、畠山学さん=当時(42)=を亡くした父、畠山良一さん(73)=さいたま市=はつぶやいた。

 報告書は、原因は突風で運転士の走行に問題はなかったとしたが、畠山さんは「これでJRは警戒する必要はなかった、責任ないということにはならない。JRがそう思っているなら抗議も考える」と語気を強めた。
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http://www.kahoku.co.jp/news/2008/04/20080403t53039.htm

乗客5人が犠牲になったJR羽越線特急転覆事故で、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は2日、「原因は局地的な突風」とする最終報告書を公表した。「運転方法に問題はなかった」とする結論に、「納得できない」と強い不満を示す遺族ら。猛吹雪の中で事故の悲惨さを目の当たりにした関係者は、再発防止を急いでほしい、との思いを強くした。

 「事故現場は強風がよく吹くことで知られた地域。運転士が状況判断できるように教育され、人命を預かっているという使命感があれば、スピードを落とし、事故は防げたはずだ」
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遺族がこの報告書に納得しないのもうなずける。JRにも行政にも責任がないとしたら、列車が脱線したのは誰のせいなのか?
「風が吹いたから仕方ない」というのなら調査する意味がないし、再発防止にもつながらないと思うのだが…

過去のエントリで述べたとおり、事故調の最大の問題点は政府機関である国土交通省の交通政策を批判できないことだ。
事故現場で、事故直前の2年半に強風によって98回もの運転規制があったという事実はJR東日本自身が発表したものだ。つまり、JRが風の危険を知らなかったとは考えにくいわけで、減速しなかったJRの責任は問われて当然だし、そのようなJR東日本に何の指導もしなかった行政の責任も当然、問われてよいと思うのだが…

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