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福島交通が会社更生法申請

2008-04-12 21:25:27 | 鉄道・公共交通/交通政策
福島交通が会社更生法申請(毎日新聞)

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<福島交通>東京地裁に会社更生法の適用を申請 [ 04月11日 20時48分 ]

 福島県内を中心に鉄道、バスを運営する福島交通(福島市、武藤孝志社長、資本金27億円)は11日、子会社の「福交整備」とともに東京地裁に会社更生法の適用を申請し、保全管理命令を受けたと発表した。負債総額は福島交通が約73億9000万円、福交整備が約7億1700万円。過疎化による需要低迷や規制緩和による価格競争激化などで収益が悪化したという。鉄道やバスの営業は継続し、新スポンサーは「有力な候補がある」(代理人の弁護士)としている。

 福島交通は、経営難に陥った旧福島交通の受け皿会社として86年7月に設立。福島市を中心に路線、貸し切りバスと鉄道(飯坂線)事業を手がけ、93年9月期には117億1900万円を売り上げた。しかし、少子高齢化などで利用客が落ち込み、不動産の売却や不採算路線の廃止を進めたが、業況は好転せず、07年9月期には売り上げが約59億5100万円まで落ち込んだ。

 国土交通省によると、バス会社の同法適用は京都交通など全国で6番目、私鉄としては水間鉄道(大阪府)に次ぎ2番目という。【西嶋正法】
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経営破綻 市民の足に不安(毎日新聞)

 県内の基幹交通を担う「福島交通」の経営破綻(はたん)が11日明らかになり、利用者や自治体に衝撃が走った。“創業100周年”を目前にして自力での経営再建を断念し、会社側は苦渋の表情で発表した。交通機関の営業は従来通り継続されるが、今後の経営立て直しも苦難が予想され、県内を網目のように走る路線バスや飯坂温泉に通じる飯坂線など「市民の足」への不安が高まった。【西嶋正法、松本惇、今井美津子、坂本智尚、和泉清充、関雄輔】

 ■会見
 福島交通は同日午後6時半から、県庁で緊急の記者会見を開き、武藤孝志社長や保全管理人の小林信明弁護士ら5人が出席した。武藤社長は冒頭、「このような事態を招いてしまい、関係者に多大な迷惑をかけたことを深くおわびしたい」と陳謝し、「どんなことをしても今の会社を引き継がなければならない」と話した。
 現在の経営陣は経営権を失い保全管理人に委ねられ、今後は東京地裁が更生手続きを開始決定し、再建計画が1年以内にまとまる見通し。新たなスポンサー候補は明らかにされなかったが、出席した弁護士は「有力なスポンサー候補があり、前向きに検討するという回答を得ている」と自信を示した。報道陣からは、運賃改定や路線縮小の可能性について質問が飛んだが、いずれも否定した。

 ■県、関係団体
 同社によると、89年から昨年9月期まで、国や県、県内32市町村から総額約113億円の補助金を得てきたという。佐藤雄平知事は報道陣に「福島交通は県内最大の公共交通機関であり、非常に残念。民事再生法(による再建)より重く、厳しい状況だ」とし、「公共交通機関はそれぞれ支援してきたが、それはそのままやっていく。県民に不便がないよう関係部局にきっちり指示し対応したい」と厳しい表情で語った。
 また、飯坂線に集客を依存する「飯坂温泉観光協会」の大宮行雄会長は「ショックだ。営業は継続されるので観光への影響はないと思うが、地元のためにも何とか立ち直ってほしい」と話した。
 一方、福島交通労組の紺野勝芳委員長は「経営陣の責任を追及せざるを得ない。県民の足を守るために正常な運行や労働条件の確保に努めたい」と話した。

 ■利用者など
 利用者からは不安の声が相次いだ。毎日通勤でバスを利用するという福島市内の団体職員の男性(75)は「利便性だけでなく、環境問題のことを考えてもバスは必要。公共性の高い企業なので、県民の不便のないように行政が手を打ってほしい」と話した。同市内のパートの女性(58)は「車の免許がないので移動にはバスが欠かせない。運行は継続してほしいが、食材などが値上がりする中で、バス運賃まで上がったら困る」とこぼした。
 また、福島市東浜町の福島交通福島支社では、社員らがテレビの前に集まり、不安そうな表情を浮かべながらテレビに見入っていた。ある男性社員は「まだ組合からのファクスが来ただけで何の説明もない。お客様の迷惑にならないよう今日は通常通りに営業するだけ」と話した。「何もわかりません」と足早に退社する社員もいた。

 ■市町村
 福島交通は中通り、浜通りを中心に路線バスを運行し、市町村から補助も受けている。バスは地域の貴重な足で、各自治体は将来的な路線見直しなどに不安を募らせている。
 瀬戸孝則・福島市長は「大変驚いている。市民生活に密着した企業だけに影響は大きい」と、原正夫・郡山市長は「1日も早い会社経営の再建を願っている」などとコメントを明らかにした。
 白河市では、福島交通の21路線に補助しているほか、昨年10月からは1年間の予定で、市内循環バスの運行も委託している。市は「詳しい情報を確かめて対応を検討したい。市民生活に影響の出ないようにしたい」と当惑していた。南相馬市内では、相馬市とを結ぶ路線など計8路線14系統が運行され、特に川俣町との路線は、乗り換えで福島市と結ぶ唯一の公共交通機関。市生活安全係は「高齢者ら交通弱者の足を支えている路線が多く、万一にも縮小になれば、通学や買い物など生活に影響が大きい」と懸念していた。

 ◇根本問われている--奥山修司・福島大教授(管理会計)の話
 需要が右肩下がりに落ち込む中で、時代にマッチしていない経営を続けてきたことが要因ではないか。利用者のニーズとサービスのギャップを続けてきた企業に対し、補助金というキャッシュを回すことで投資してきた貸手側にも責任がある。地域経済にとっては、地元市町村が赤字負担をして路線を存続させるか、どうかという根本的な所が問われることになる。

 ◇「もう売却資産ない」--記者会見一問一答
 記者会見での一問一答は以下の通り。
 ――負債が膨らんだ要因は
 (武藤社長)旧会社は740億円の借金があり、新会社は40億円の負債を譲り受けた。土地やバスを切り売りしたら良かったが、できず、ここまで借金が膨らんだ。
 ――最近の経営悪化の理由は
 (武藤社長)モータリゼーションの著しい進展と少子高齢化なども影響してるし、一番は年に約4%お客さんが減っていること。これまでは有形資産を売却してしのいできた。ここに至っては何もないので、やむなく今回の選択をした。
 乗り合いバスは補助金をもらっているので最終的には帳尻が合う。貸し切りバスは県内109社がしのぎを削って価格競争になってしまっている。
 ――将来的に路線を減らしていくか
 (小林保全管理人)今の段階では分からない。今後の再建計画による。
 ――100周年ということだが
 (武藤社長)従業員や地域の皆さんに申し訳ない。今までここまでこれたのは地域の皆さんの利用があったから。それを考えると、どんなことをしても今の会社を引き継いでいかなければならない。
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地元、福島からこんなニュースが飛び込んできた。もちろんショックだ。
ただ、福島交通といえば、かつて東京佐川急便事件などで暗躍した故・小針暦二元社長による乱脈経営の歴史があり、この時代の負債を40億円も引き継いだことが経営破綻の原因となったから、私鉄倒産の中ではかなり特殊な部類に入るかもしれない。

しかし、貸切バスの規制緩和による業績悪化は、全国のバス事業に共通する問題であり、これは明白に国土交通省の責任である。
昨年、あずみ野観光のスキーバスが大阪府内で事故を起こしたが、これも行きすぎた規制緩和の結果、バス会社が利益の出る価格で仕事を受けられなくなった結果の事故といわれた。

交通業界の規制緩和は、乗客の命を預かる産業だけにほどほどにすべきだ。

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