安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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福知山線事故でJR西日本社長ら書類送検へ

2008-06-06 22:57:31 | 鉄道・公共交通/安全問題
福知山線事故でJR西日本社長ら書類送検へ(読売新聞) - goo ニュース

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 兵庫県尼崎市で2005年4月、107人が死亡、562人が負傷したJR福知山線脱線事故で、県警尼崎東署の捜査本部は、死亡した高見隆二郎運転士(当時23歳)に加え、JR西日本の山崎正夫社長(65)ら歴代幹部数人を業務上過失致死傷容疑で神戸地検に書類送検する方針を固めた。

 県警は、1996年12月の現場カーブ付け替え時に、当時、列車運行や鉄道の安全対策を統括する常務取締役鉄道本部長だった山崎社長らが、自動列車停止装置(ATS)を設置しなかった過失が事故につながったと判断した。

 捜査関係者によると、JR西は96年12月20日、半径600メートルだった現場カーブを同304メートルの急カーブに付け替えたが、列車の速度超過を防止するATSを設置しなかった。

 また、カーブ付け替えの約2週間前、JR函館線(北海道)の半径300メートルのカーブで速度超過による貨物列車の脱線事故が発生。この事故がJR西社内で正式に報告された97年3月の「総合安全対策委員会」で、山崎社長は鉄道本部長として委員を務めていた。こうした点から、県警は業務上過失致死傷罪の構成要件である「予見可能性」を立証できるとしており、ATS設置について判断する立場にあった山崎社長らに大幅な速度超過による福知山線脱線事故を防げなかった刑事責任があるとみている。
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幹部を立件することは妥当だと思うが、高見運転士を立件することには反対である。個人の資質を事故原因に据えることは妥当でないし、国土交通省の事故調報告でさえ認めたJR西日本の責任が曖昧になりかねないと思うからだ。

事故原因が運転士個人の資質かどうかは、高見運転士でなかったとしたら同様の事故が起こりえたかどうかを検証してみるとよい。余裕のないダイヤ、遅れを出した運転士の「乗務外しと日勤教育」、半径304メートルという現場カーブの異常性などなど、事故を誘発した背景要因がいくつも浮かび上がる。つまり、高見運転士でなくても事故は起こりえたものと当ブログは考える。

マスコミにもJR西日本の企業体質を糾弾する声はあるが、高見運転士個人の責任を問う声はない。この事故に関する限り、世論は運転士に極めて同情的である。
今さらではあるが、この自己の責任追及はJR西日本という企業自身と国土交通省の鉄道行政に絞るべきだと考える。

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こう言うところが姿勢の表れなのでは?

2008-06-04 21:21:00 | 鉄道・公共交通/安全問題
日航が御巣鷹遺族におわび 遺品焼却は「対応不適切」 (共同通信) - goo ニュース

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 1985年の日航ジャンボ機墜落事故で、焼却するとしていた所有者不明の遺品について日航が、国内の全遺族に「遺品の取り扱いをめぐる対応が誠に不適切で、不快の念を与えたことをおわびする」とする文書を31日までに送付した。遺品の保存や展示を求めても、保管してきた日航が一貫して「すべて焼却する」と表明し続けたことに、遺族が強く反発。今回、日航が謝罪したことで展示実現がほぼ確実に。
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もし日航が遺族を前にして「お前らの持ち物じゃないんだから、お前らに言われる筋合いはない」と思っているのだとしたら、言っておこう。

そういうところに安全に対する会社の姿勢が現れるのだ、と。

ともかくも、遺品が残ることになったのは幸いだ。遺品は単に持ち主がいないから処分していいというものではない。事故は日本社会、ひいては人類全体の損失であり、その証拠となったものを保全することは安全対策という以上の意味を持っている。もちろん、日航1社の判断で処分を決めるべき性格のものではない。

JR西日本が「鉄道安全考動館」を作ったように、日航も「航空完全資料館」を作り、そこで永久保存にしてはどうか。

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若者の活字離れは本当なのか?

2008-06-03 22:58:59 | その他社会・時事
若者の「活字離れ」や「知的レベルの低下」は本当なのか(ニュース畑) - goo ニュース

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「若者の活字離れ」が嘆かれるようになって久しい今日。最近では、本を読まないだけでなく「映画の字幕も読めない若者」が増え、「若者の知的レベル低下」までが懸念されています。しかし、パソコンや携帯電話でのインターネットの利用状況を見れば分かる通り、若年層は情報収集に多くの時間を割いており、情報の扱いには高い能力を持っていることが考えられます。若者の「活字離れ」や「知的レベル低下」は本当に起きていることなのでしょうか?
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う~ん…
私は、この手のステレオタイプの「若者=活字離れ論」には全く同意できない。
第一、こんなことは、団塊世代以降の若者についてはずっと言われてきたことだし、もう30年近く続いているのではないだろうか。

本当にそうだとしたら、今ごろ新聞の内容がわからない若手社員がごろごろしているはずなのだが、そんな話はどこでも聞かない。

むしろ、本当に活字離れしているのは、団塊世代から「新人類」呼ばわりされた今の40歳代ではないだろうか。いわゆるバブル世代である。私が電車通勤をしている時期、この世代が通勤電車内で本を読んでいるのなんてお目にかかったことがない。

逆に、最近の10~20代の若者は、活字文化への回帰がかなり明確に出ていると思う。それが最近のケータイ小説の隆盛となって現れている。コミケに行っても、小説などのコピー本、趣味分野の解説本を出している20代の若い人のサークルが多いようにみえるし、イラストや漫画で勝負している私の知り合いのあるサークル主宰者は「最近の若い人はなかなか絵描きさんが少なくて」と嘆いていた。
最近では、小説が原作のアニメやゲームも増えており、アニメ業界が小説界に活路を見いだしているような感じさえある。

こうしたことから考えて、おおまかに以下のように分類できるというのが当ブログの仮説である。

◎団塊世代=意味なんかわからなくてもとりあえず岩波文庫を読むことが格好いいと信じている「ええカッコしい的活字世代」

◎40代(バブル世代)=幼少時は鉄腕アトム、成人してからはガンダムに傾倒していた典型的アニメ世代。「自己表現は文字より絵」で活字離れが最も深刻な世代

◎30代=様々な類型があり、世代的分類が不可能。

◎20代以下=芥川賞を取った綿矢りさ氏やケータイ小説に代表される「活字回帰世代」

なお、個人レベルではこの分類に当てはまらない人もたくさんいる。あくまで世代全体の一般的傾向を捉えた当ブログの独断と偏見である。

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07年度平成筑豊鉄道 開業後初の赤字決算

2008-06-02 21:57:42 | 鉄道・公共交通/交通政策
07年度平成筑豊鉄道 開業後初の赤字決算 単年度では4期連続 内部留保金加えても(西日本新聞) - goo ニュース

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 筑豊と京築の両地区を結ぶ第3セクター「平成筑豊鉄道」(本社・福智町)は30日、田川市内で取締役会を開き、2007年度決算を明らかにした。旅客数の減少などで、単年度収支は約5080万円の赤字となり、04年度から4期連続の赤字を記録。県や沿線市町村からの補助金などと内部留保金を加えても、約1380万円分の穴埋めができず、1989年の開業後初の赤字決算となった。6月27日に同市内である定時株主総会で報告される。

 同鉄道によると、07年度の旅客数は前年度比2.1%減の約202万5000人。旅客運賃収入も同2.3%減の約3億2900万円。広告収入などを含めた構内営業等収入も約1200万円にとどまった。

 その一方で、コストである営業費用は同3.6%増の約4億3700万円。営業収入から営業費用を差し引いた営業収支は約9500万円の赤字となった。

 同社は「3月に導入したレトロ調車両『へいちく浪漫(ろまん)号』を活用した企画など観光戦略に沿線地域と連携し、経営改善を図りたい」としている。

=2008/05/31付 西日本新聞朝刊=
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旧国鉄線を転換した第三セクターの中で、早い段階から黒字決算となり、三セク鉄道の優等生といわれた平成筑豊鉄道でさえこの状況である。他の三セクがどれほど苦境かはいうまでもない。

平成筑豊鉄道が好決算を続けて来られたのは、沿線人口がそれなりに多いことに加え、セメント貨物輸送という安定した収入源もあったからだろう。それが、セメント貨物列車が廃止になってからは、安定した収入が途絶えてしまった。
記事には、単年度決算が赤字になったのは「04年度」とあるが、平成筑豊鉄道の貨物列車がなくなったのは03年度末である。やはり、貨物収入の消滅がモロに響いた結果の赤字転落と言えそうである。

過去のエントリでも取り上げた門司港レトロ観光列車の運行主体として、平成筑豊鉄道がいち早く名乗りを上げたのも、ひょっとするとこの貨物輸送問題とつながっているのかもしれないという気がする。なにしろ平成筑豊鉄道の貨物列車は金田駅から平成筑豊鉄道経由で直方まで行き、そこから筑豊線~鹿児島線~田野浦公共臨港線経由で門司港までがルートだったからだ。

平成筑豊鉄道としては、可能性は薄いかもしれないが、自社に安定収入をもたらしてくれた貨物列車の復活の目が絶たれることがないよう、田野浦公共臨港線を維持しておく必要があると考えたのかもしれない。

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ボンバル機胴体着陸事故で事故調が報告書

2008-06-01 10:28:58 | 鉄道・公共交通/安全問題
「作業手順に不備」事故調が報告書(毎日新聞)

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 高知空港で昨年3月、全日空のボンバルディア製DHC8-Q400型機(乗員乗客60人)の前脚が出ずに胴体着陸した事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日、前脚の格納ドア開閉装置の「スペーサー」と呼ばれる筒状部品が飛び出し、開扉を妨げたのが原因とする報告書を公表した。スペーサーを所定の位置に留めるボルトが欠落したまま機体が納入された疑いが強いという。ボ社は05年6月の納入前試験で事故機の開閉装置を損傷、修理の際の不手際でボルトを付け忘れたとみられる。

 事故調は同日、「重要な部品の交換作業で会社側の手順の指示が具体的でなかったことがボルトの付け忘れミスにつながった」として、製造国・カナダの運輸省に対し、品質管理体制の強化をボ社に指導するよう求める安全勧告を出す。

 報告書によると、前脚格納ドアの開閉装置を動かすアーム状の部品「トグル・リンク」の支点から金属製のスペーサー(直径1センチ、長さ3センチ)が約1センチ飛び出し、「サポート・フィッティング」と呼ばれる固定板に引っかかって開扉できなかったことが分かった。スペーサーはトグル・リンクの動きをスムーズにする部品で、本来はボルトによってリンクの支点に固定される。

 しかし、調査の結果、外部機関の鑑定でボルトを付けた形跡がない▽全日空側は機体を受領した05年7月以降、開閉装置に触れていない--ことが判明。ボ社のボルト付け忘れの疑いが強まった。

 ボ社は05年6月16日、納入前の機能試験を行った際、前脚ドアを開けたままにする安全ピンの差し込みが不十分だったため、不意にドアが動き、トグル・リンクとサポート・フィッティングを損傷した。作業現場に開閉装置一式の交換を指示したが、現場は損傷したこの2部品だけを交換していた。

 開閉装置は、米国の部品メーカー「グッドリッチ」が組み立てた状態でボ社に納入している。ボ社の作業現場に問題部分の修理用マニュアルはなく、事故調は、会社が作業手順を徹底しなかったことがミスにつながったと結論付けた。ただ、「海外の製造会社に対する調査権はその国にある」との原則から、事故調はボ社の社員らから直接の聞き取りができなかった。このため、ボルト付け忘れの詳しい経緯は不明で、報告書には具体的な対策を盛り込んでいない。【窪田弘由記、高橋昌紀】

 ◇ボンバルディア機事故報告書の骨子

・前脚ドア開閉装置の部品「スペーサー」が飛び出して固定板に引っかかり、開扉しなかった
・スペーサーを留めるボルトを付けた形跡がない
・ボ社が納入前試験で開閉装置を損傷。部品交換の際、ボルトを付け忘れた
・ボ社は作業現場に具体的な修理手順を示さなかった
・乗務員の乗客への指示と着陸操作は適切

 ◇ボ社「改めて深くおわび」
 ボ社のトッド・ヤング副社長は28日、国土交通省で会見し、「多くの皆様にご心配やご迷惑をおかけしたことを改めて深くおわびする」と陳謝した。

 日本でのボ社製航空機への不信感について聞かれると「事故後、修理マニュアルを具体化するなど5段階の改善策を実行した。安全性には自信を持っている」と強調した。【窪田弘由記】
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高知空港での衝撃的な胴体着陸事故は、「ボルト付け忘れ」という単純ミスが原因だった。

そのことももちろん大きな問題だが、よりいっそう深刻なのは、ボンバルディア社が現場に作業手順書を示していなかったことである。作業手順書は航空機の修理、点検作業の手順を示すもので、いわば「航空機の取扱説明書」というべきものだ。

家電製品だって、「うちの製品には取説はありません」といわれたら、ユーザーは「ふざけるな」と怒って即刻その場で返品だろう。それが、人の命を預かる航空機メーカーが取説を作っていないなんて全くあり得ない話だ。ボンバルディア社は、「事故を受けて手順書を作った」などと強弁しているが、そういう問題ではないだろう。

全日空が、こんなメーカーの航空機でも購入せざるを得なかった背景には、定員50人~100人クラスの航空機が、世界的に見てもDHC8-Q400くらいしかないという事情が見え隠れする。かつては国産プロペラ機YS-11や、今も成田~中部空港線などで使われているフォッカー50などがこのクラスの代表だったが、YS-11は製造中止になり、フォッカー社は1996年に倒産したため、ボンバルディア社の独占に近い状態となっている。その上、DHC8-Q400は低燃費で高性能と来ている。経費節減のため、多少の欠陥には目をつぶらざるを得なかったということらしいのだ。

全日空は、ボンバルディア社に賠償請求する方針と伝えられる。全日空にも欠陥飛行機を導入する決定をした責任があると当ブログは考えるが、せめて少しでも事態を改善してゆくため、被害を受けた航空会社はどんどん訴訟を起こすべきだ。
作業手順書も作らず、事故発生後「今作ったからいいだろ」と開き直るような航空機メーカーにお灸を据えるには、「安全を軽視することがいかに高くつくか」をわからせる以外にないからだ。

事故調の報告書も突っ込み不足だと思う。
今回、事故調は「海外の製造会社に対する調査権はその国にあるとの原則」から、「ボ社の社員らから直接の聞き取りができなかった」などとヌルいことを言っているが、そもそも日本の空を飛んでいる飛行機は全部外国製だ。

ボーイングもエアバスも外国メーカーだが、それでも事故調は可能な限りの手段で外国メーカーから事情聴取をして事故を調査してきた。それが今回に限って、こんなに弱腰なのはいったいどうしたことなのだろうか。

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