気軽に茶道をしてます。

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不腿寺(業平寺)にお邪魔しました

2015-08-08 14:14:42 | 散策
酷暑の中、佐保路にある不腿寺(業平寺)を訪れました。
都が京都に移った後も奈良を愛し続けた平城(へいぜい)天皇が、
譲位後に住んだ御殿で、萱葺きだったことから「萱の御所」と。
ここを孫の在原朝臣業平が「法輪を転じて退かず」と発願し、
「金龍山 不退転法輪寺」として開祖されております。
現在は南都花の古寺とも称されておりますが、今は夏ですね。
   
 南大門、重文(鎌倉時代後期)   板蟇股(かえるまた)

JRの線路を渡ると、うっそうとした森の中に
ニイニイゼミの鳴き声が時おりひびくのみで、
ひっそりと、人影もなく、お寺が佇んでおりました。
  睡蓮
南大門をくぐり、受付へ
奥が本堂芙蓉
おそるおそる小声で案内を乞うと、住職がお見えに。
ご高齢で、押し車を押されて本堂へ誘われました。
 
『観音をただ一筋にたのみつつ 
      不腿の寺に急ぎまいらん』
        大和北部八十八ケ所御詠歌
本堂に入り、手を合わせ、お参りの最中に
後ろから、ご住職の説明の声・・・
御本尊は、重文『聖観世音菩薩立像』平安初期
業平朝臣御自作で、全身胡粉地(ごふんじ)で、・・・
聞きづらいですが、その上に極彩色の名残も。

両耳のリボン様の飾りがなんとも、
本当に姿形が、なまめかしくもあり、
平安のはじめにタイムスリップ。
観音様の慈悲の笑顔に包まれて辞去しました。
  
境内の池の向こうに、木々に囲まれ、多宝塔が
不思議なことに、上層がありません。
池の周りには3か所の歌碑が置かれております。

『ちはやぶる 神代もきかず 竜田川
    からくれなゐに 水くゝるとは』
        『百人一首』第17段

『おほかたは 月をもめでじ これぞこの
      つもれば人の 老いとなるもの』
        『伊勢物語』第88段

一番奥に説明文もなく、ひっそりと歌碑が

『佐保山は 終の棲家よ つく法師』


本堂の左手に石柱が、梵字で、わかりません。
また、不思議なことに石棺が横たわっています。

ウワナベ古墳南側の平塚古墳からのものだそうで、
佐保路にはたくさんの古墳が点在しております。
ここ佐保路は平城京の中つ道に通じており、
平安京へと向かう道筋にあたり、
業平の地位の高さが伺えますね。
平安貴族の優雅な邸宅のたたずまいが
感じられました。