道中、変化する山容を楽しんでいるうちにシャモニーの町(1,037m)に到着した。いたるところに優雅な山荘が、緑に囲まれて建っている。アルヴ川の北側にはホテルが林立している。この町の人口は1万人程度だが、夏季には3倍にも4倍にもふくらむらしい。
モン・ブランに初登頂したソシュールとバルマの銅像を横目で見て過ぎる。銅像の指さす先がモン・ブランの山頂である。
まずは、ロープ・ウェイに乗りこむ。
60人乗りの鉄の箱がおもむろに動きはじめ、大地を離れた。地を舐めるように這い、急上昇していくにつれて、丘陵から緑がうせて岩肌の灰褐色が、そしてさらに灰褐色から氷雪の白色に変わっていく。町はどんどん小さくなり、掌くらいの大きさになると、盆地を囲む連山が全貌をあらわす。
中間駅(2,310m)に降りた。寒気が身を包み、もはや半袖の軽装ではしのげない。セーターを着る。
ナップ・ザックを背負った数人が駅を出て、下界へむかって歩き出す。
呼吸をととのえたのも束の間、ふたたび鉄の箱の人となる。
こんどは、刻一刻急速に眺望が開けていく。
先ほどからキャピキャピ騒いでいた若い女族も鳴りを静め、窓の外に見いっていた。
沈みゆく尾根に山頂。その向こうの、波うつ山岳が目にはいる。
ロープ・ウェイは険しい絶壁に近づき、また遠ざかる。
北の峰ことピトン・ノール(3,777m)の駅に降り立ち、トンネルを歩みだすと、不覚にも体がぐらりと傾いた。希薄な空気に一瞬貧血状態になったらしい。
展望台に立つや、絶景が目を奪った。見上げれば、エギーユ・デュ・ミディの山頂(3,842m)が指呼の先にある。正面の高みにモン・ブラン(4,807m)の白くたおやかな、ほとんど優雅といってよい稜線が、青空をくぎって輝いている。
見わたすかぎり、峻険な山また山。
ノコギリの歯のように連なるシャモニー針峰群、剣のように屹立するベルト針峰。重畳する山なみ。陽を受けて赤く燃える岩屏風のような山塊は、いくたりかのアルピニストが北壁で命を落としたグランド・ジョラスか。そして、足元から下方になだれ落ちるボソン氷河。
人類が登場する以前の世界である。人間の存在を必要としない自然がそこにある。
頭をめぐらせば、遥かかなたに、孤影が見える。天をめざして雄壮にそそり立つマッターホルン(4,477m)である。
雪片が頬をうった。古代から堆積した雪のひとカケラであろう。
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モン・ブランに初登頂したソシュールとバルマの銅像を横目で見て過ぎる。銅像の指さす先がモン・ブランの山頂である。
まずは、ロープ・ウェイに乗りこむ。
60人乗りの鉄の箱がおもむろに動きはじめ、大地を離れた。地を舐めるように這い、急上昇していくにつれて、丘陵から緑がうせて岩肌の灰褐色が、そしてさらに灰褐色から氷雪の白色に変わっていく。町はどんどん小さくなり、掌くらいの大きさになると、盆地を囲む連山が全貌をあらわす。
中間駅(2,310m)に降りた。寒気が身を包み、もはや半袖の軽装ではしのげない。セーターを着る。
ナップ・ザックを背負った数人が駅を出て、下界へむかって歩き出す。
呼吸をととのえたのも束の間、ふたたび鉄の箱の人となる。
こんどは、刻一刻急速に眺望が開けていく。
先ほどからキャピキャピ騒いでいた若い女族も鳴りを静め、窓の外に見いっていた。
沈みゆく尾根に山頂。その向こうの、波うつ山岳が目にはいる。
ロープ・ウェイは険しい絶壁に近づき、また遠ざかる。
北の峰ことピトン・ノール(3,777m)の駅に降り立ち、トンネルを歩みだすと、不覚にも体がぐらりと傾いた。希薄な空気に一瞬貧血状態になったらしい。
展望台に立つや、絶景が目を奪った。見上げれば、エギーユ・デュ・ミディの山頂(3,842m)が指呼の先にある。正面の高みにモン・ブラン(4,807m)の白くたおやかな、ほとんど優雅といってよい稜線が、青空をくぎって輝いている。
見わたすかぎり、峻険な山また山。
ノコギリの歯のように連なるシャモニー針峰群、剣のように屹立するベルト針峰。重畳する山なみ。陽を受けて赤く燃える岩屏風のような山塊は、いくたりかのアルピニストが北壁で命を落としたグランド・ジョラスか。そして、足元から下方になだれ落ちるボソン氷河。
人類が登場する以前の世界である。人間の存在を必要としない自然がそこにある。
頭をめぐらせば、遥かかなたに、孤影が見える。天をめざして雄壮にそそり立つマッターホルン(4,477m)である。
雪片が頬をうった。古代から堆積した雪のひとカケラであろう。
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