ある時、とんでもない話しが聞こえて来ました。
それは試合中に監督が選手に暴行を働いたと言うものです。
俄かに信じ難い話しですが、この監督の性格や過去の経歴を知っていた僕には、来るべき時が来たかと言う感じでした。
詳細を聞いてみると、まだ試合中だと言うのにある選手をベンチ前に立たせ、殴る蹴るを繰り返し最後はひっくり返して蹴飛ばしていたと言う事です。
理由はピッチャーだったこの選手がストライクが入らないから。
そしてこの暴行を受けていた選手は、僕が必ずこうなるからと居酒屋に呼び出して注意をしていた父兄の息子でした。
何と言う事でしょう。
この監督の犠牲になるのは、いつも力の弱い女性や子供だけです。
いったい何人の犠牲者を出せば気が済むのでしょう。
なぜ、この時に他のコーチ達は彼を殴ってでも止めなかったのでしょう。
このチームではこれが当たり前なのでしょうか。
暴行を受けた選手の父親は、なぜあの時に僕の忠告を聞かなかったのでしょう。
そして、なぜその忠告をこの監督に伝えたのでしょう。
全ては僕が心配していた通りになりました。
この暴行を受けた選手の弟も足立ポップスに在籍していましたが、年末には2人揃って退団しました。
この父親は、彼らに土下座して謝るべきでしょう。
この後、足立ポップスは選手がどんどん減って行きます。
最後の年には6年生が9人、そしてその選手の弟がひとりの僅か10人のチームになりました。
それでも、このチームが数年続いたのは、監督を交代させたり新監督に食事や酒と寝床を用意する、チーム結成当初から居た父兄がいたからでしょう。
この父兄と言っても父親は、今から思えば姑息に立ち振る舞う狡猾な方だったと思います。
この父親の末っ子がいる内は全力で選手を集め、特に足立ポップスの行く末や参加している他の子供達の家庭の事など何も考えていなかったでしょう。
また、監督交代にこの新監督を指名した理由は、自分が扱い易かったからでしょうね。
野球経験も無く、野球チームがどういうものかすら理解していなかったこの父親は、自分の意見が通り易くコントロールできる体制を望んでいたのです。
このたった一人の父親の為に、子供達の3年後を見据えたチームは滅茶苦茶になりました。
最も可哀想だったのは、こんな父兄と監督に大切な時間を奪われた子供達ですね。
こうして足立ポップスは選手がいなくなり自然消滅しました。
この時、僕が足立ポップスを去ってから、まだ10年も経っていません。
あれだけ多くの選手達が所属していた、巨大なチームは勘違いした大人数名によって無くなりました。
このチームに所属した選手達の内、最初の頃に在籍していた選手達は、その後に色んなチームで活躍してくれました。
教えて来た事は間違い無かった、そして何より選手を大切にして来て良かった、そう思えた瞬間でしたね。
当時の選手達は、今でもたまに僕の家を訪ねて来ます。
みんなもうお酒の飲める年になりました。
そしてバリバリと働いています。
そんな話しを元の選手達から聞かされる度に、あの時間は無駄じゃ無かったと心から思えます。
最新の画像[もっと見る]
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 戸田対日立 場外乱戦 2年前
- 新メンバー 2年前
- 新メンバー 2年前
- 新メンバー 2年前
- 新メンバー 2年前