西荻窪駅発行 平泉駅ゆき 補充片道乗車券

国鉄発足前の運輸省時代の昭和23年8月に中央本線西荻窪駅で発行された、平泉ゆきの補充片道乗車券です。



   



桃色GJRてつだうしゃう地紋のB型硬券が原型と思われ、右側の一部が報告片として切り取られたものです。真ん中に「二割」と押印されていますので、学割等の割引運賃にて発売されたものと思われます。



戦時末期から戦後の混乱期おける物資の欠乏時、貴重な紙資源を節約するため、鉄道乗車券は様々な倹約に対する工夫が凝らされました。この券はそのような中で誕生した様式で、従来D型硬券を使用していた補充片道乗車券のサイズをB型まで切り詰めて作成されたものです。



御覧の通り、必要事項を記入したらいっぱいになるような券面で、経由欄には殆ど記載するスペースが与えられていません。
また、運賃欄もぎりぎりに印刷されており、入鋏を入れれば記載事項が切り落とされてしまうような状況です。
報告片に至っては、残された片から察しますと約1.4cm幅しかありませんので、記載するには相当大変であったことが想像できます。


このような様式では、経由欄の記載は現在のように詳細に記載することはかなり至難であり、御紹介の券のように、比較的簡易に記載されていたものが大多数であると思われます。



経由は「仙台」とのみ記載されており、考えようによっては様々な経路で旅行することが可能であったと思われますが、まだ食べることさえ満足でなかったこの時代ですので、「呑気」に旅行をするような状況ではなかったことでしょう。

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