堀江さん橋駅発行 仁方ゆき乗車券

昭和55年5月に仁堀航路堀江さん橋駅で発行された、仁方ゆき乗車券です。


   


青色こくてつ地紋のA型一般式券で、広島印刷場で調製されたものです。この券が発行された1か月前の4月20日に運賃改定が行われ、合わせてそれまで営業キロが51km以上の乗車券の有効期間が2日間であったものが101km以上に改定されたため、「運賃変更」と「発売当日限り有効 下車前途無効」の文言が一つにまとめられた特殊な運賃改定印が捺印されています。


   


仁堀航路は呉線の仁方駅と予讃線堀江駅を結ぶ実営業キロは37.9kmの国鉄本四連絡船で、他の民間連絡船との運賃調整のため、擬制キロ70kmの航路とされ、所要時間約2時間でした。


   


昭和48年4月に日本交通公社(現・JTB)で発行された時刻表に掲載されている仁堀航路の時刻表です。
1日3往復の便があり、使用されている船舶は定員196名・車両航送台数8台の安芸丸という総重量234トンの中型船と書かれています。本船は元大島航路に就航していた大島丸を、昭和40年に仁堀航路に転属させて安芸丸と改名のうえ就航しましたが、昭和50年に定員200名・車両航送台数24台・総重量399トンの新造船である瀬戸丸が就航すると大島航路に再就航したという経歴があります。

この券が発行された昭和55年の就航船は瀬戸丸であり、この頃になると航路の赤字は深刻なものとなって1日2便に減便され、この券が発行された2年後の昭和57年6月、仁堀航路は国鉄連絡航路唯一の赤字理由として廃止されてしまいます。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )