両国駅発行 東京都区内発用補充片道乗車券

見本券ですが、両国駅で発行された東京都区内発用の補充片道乗車券(補片)です。


   


青色こくてつ地紋の軟式補充片道乗車券で、東京印刷場で調製された活版印刷時代のものです。

まだ印発機やマルス端末が発達していなかった時代、東京都区内および近郊の駅では業務の効率化を図るため、補充片道乗車券については自駅発(発駅常備)および他駅発(発駅記入式)の他に東京都区内発および東京山手線内発の券が設備されている駅が多くあり、窓口には補片だけで4種類の券種が置かれていました。実際にこのような券を複数用意することで効率化・省力化が図られたかどうかは定かではありませんが、当時としては意味のある事であったのでしょう。
この券にはありませんが、乙片(報告片)に穴を開け、金属リングで束ねて置いてあることが多かったように思います。


   


旅客に渡す甲片を拡大してみました。
国鉄末期の民間外注による印版印刷のものと異なり、国鉄直営の印刷場で調製された活版印刷による様式は硬券に使用するものと同じ活字が使用されていたようで、文字が細い印象を受けます。


国鉄時代の窓口氏は、時刻表や距離程表とそろばんを駆使してどのような区間の乗車券でもその場で作成していましたから、当時と比べますと、今の出札窓口に設置されているマルス端末はかなり高性能になっており、相当な効率化・省力化が図られたものだと思います。

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