江戸時代の俳人、森川許六はひねる。
清水の上から出たり春の月
与謝野晶子は詠む。
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢う人みなうつくしき
春はあけぼのと、清少納言は言ったという。
春は明け方こそ趣があるという。
が、春の夜、月夜もまた良いものだろう。
「清水の上から」というのは、要するに「東山の上」にということだろう。
森川許六は、松尾芭蕉の門人だった。
布団着て寝たる姿や東山
という句を詠んだ服部嵐雪も、芭蕉の門人である。
東山の寝姿が月に照らされているのも、趣だ。
与謝野晶子の短歌には、夜桜見物のにぎやかさを感じる。
ただ、春の月は、
♪月は朧に東山~
になることも多い。
よく知られるこの祇園小唄は、長田幹彦の作詞である。
長田幹彦は、明治~昭和に活躍した文人である。
祇園モノを多く書いたが、時代の流れの中で忘れられていった人物である。
名前は消えたが、フレーズは残り続けている。
京都を訪れた夜、宿の部屋でのんびり、というのも良し。
しかし、外へ出て見て、空を眺めるのもまた一興。
どこかのお寺に入るわけではなしに、のんびり町を逍遥してみては。
昼間の京都とは別の景色に出会えることでしょう。
”あいらんど”