京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

鳥人

2011-07-27 | インポート

 7月も終わろうとしている。

 つまり、祇園祭も終わろうとしているということである。

 祇園祭の掉尾を飾るのは、疫神社での夏越祭である。

 夏越祭、というのは、他の神社の多くが6月30日に行う、夏越の祓えとほぼ同じである。

 なぜ、祇園祭では7月なのか。

 それは、そもそも祇園祭が、旧暦時代は6月に行われていた名残である。

 旧暦6月に行われていたものを、現行暦にすると比較的重なる7月に移してきたわけである。

 しかし、旧暦6月と現行暦7月では、必ずしも一致するわけではない。

 というか、一致することは稀である。

 実は今年は、この稀な年なのである。

 今年の7月1日は、旧暦の6月1日にあたる。

 つまり、今年の祇園祭は、旧暦で行われていても同じ日程だったということだ。

 ただ、惜しむらくは、6月は30日まで、7月は31日まであるので、夏越祭だけは、一日ずれる。

 

 さて、夏越祭の行われる疫神社だが、これは八坂神社の境内にある。

 映像などでおなじみの、四条通の東のとっつき、西楼門を入ってすぐのところだ。

 とても小さい神社である。

 ここの祭神は蘇民将来という神様である。

 この蘇民将来が神様に祀られることになる由縁となる説話がある。

 蘇民将来には金持ちの兄がいた。

 その兄の家に、あるとき旅の者が宿を乞うて訪れきた。

 兄は冷たく追い返したという。

 続いてその旅の者は、蘇民将来の家を訪れた。

 蘇民将来は、貧しいながら、その旅の者をもてなした。

 さて、この旅の者というのが、実はスサノオノミコトという神様だった。

 スサノオノミコトは感謝の気持ちから、蘇民将来の子孫までも、疫病から守ることを約束したという。

 説話としては、よくあるパターンの話である。

 ともかく、そんなことから、防疫の神様として、疫神社に祀られているわけである。

 

 疫神社の夏越祭は、他の神社の夏越の祓えと同様、茅の輪くぐりをする。

 雅楽の生演奏が流れており、なんとも優雅な雰囲気である。

 お神酒もいただけるし、そのお神酒をいただいたかわらけももらえる。

 ちょっとお得な神事である。

”あいらんど”