7月も終わろうとしている。
つまり、祇園祭も終わろうとしているということである。
祇園祭の掉尾を飾るのは、疫神社での夏越祭である。
夏越祭、というのは、他の神社の多くが6月30日に行う、夏越の祓えとほぼ同じである。
なぜ、祇園祭では7月なのか。
それは、そもそも祇園祭が、旧暦時代は6月に行われていた名残である。
旧暦6月に行われていたものを、現行暦にすると比較的重なる7月に移してきたわけである。
しかし、旧暦6月と現行暦7月では、必ずしも一致するわけではない。
というか、一致することは稀である。
実は今年は、この稀な年なのである。
今年の7月1日は、旧暦の6月1日にあたる。
つまり、今年の祇園祭は、旧暦で行われていても同じ日程だったということだ。
ただ、惜しむらくは、6月は30日まで、7月は31日まであるので、夏越祭だけは、一日ずれる。
さて、夏越祭の行われる疫神社だが、これは八坂神社の境内にある。
映像などでおなじみの、四条通の東のとっつき、西楼門を入ってすぐのところだ。
とても小さい神社である。
ここの祭神は蘇民将来という神様である。
この蘇民将来が神様に祀られることになる由縁となる説話がある。
蘇民将来には金持ちの兄がいた。
その兄の家に、あるとき旅の者が宿を乞うて訪れきた。
兄は冷たく追い返したという。
続いてその旅の者は、蘇民将来の家を訪れた。
蘇民将来は、貧しいながら、その旅の者をもてなした。
さて、この旅の者というのが、実はスサノオノミコトという神様だった。
スサノオノミコトは感謝の気持ちから、蘇民将来の子孫までも、疫病から守ることを約束したという。
説話としては、よくあるパターンの話である。
ともかく、そんなことから、防疫の神様として、疫神社に祀られているわけである。
疫神社の夏越祭は、他の神社の夏越の祓えと同様、茅の輪くぐりをする。
雅楽の生演奏が流れており、なんとも優雅な雰囲気である。
お神酒もいただけるし、そのお神酒をいただいたかわらけももらえる。
ちょっとお得な神事である。
”あいらんど”