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揺らぐ五輪憲章の「人権尊重」 北京はウイグル弾圧置き去り 札幌招致はアイヌ権利回復注視

2022-03-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/11 05:00

中国大使館前で妹とともに兄の安否確認を求める由理知沙見さん(右)=2月18日、東京都港区(富田茂樹撮影)
 五輪憲章が掲げる「人間の尊厳の保持」の理念が揺らいでいる。国際オリンピック委員会(IOC)は2月の北京冬季五輪に際し、「政治的中立」を理由に少数民族ウイグル族に対する中国政府の弾圧問題と距離を置いた。人権問題に目をつむり、「平和の祭典」の名にふさわしいのか。日本も先住民族アイヌへの差別の歴史を抱える。その地元札幌市は2030年冬季五輪・パラリンピックの招致に向け、アイヌ民族の権利問題にどう向き合うのか。
 北京五輪開催中の2月18日、東京都港区の駐日中国大使館前。中国新疆ウイグル自治区出身で日本国籍を持つ由理知沙見(ゆりちさみ)さん(45)=相模原市=は、千葉市に住む妹(40)とともに兄アブドハリリ・アブドレヒミさん(47)の写真を手に無言の抗議を行っていた。
■「中国開催は過ち」
 区都ウルムチに住む兄は昨年6月、通勤途中で強制収容所に連行されたとみられ、今も所在不明だ。「兄がどんな目にあっているのか、考えるだけでつらい」。1月中旬から連日抗議に立つ由理知さんは「ウイグル族のジェノサイド(民族大量虐殺)を進める中国に五輪開催を認めたのは歴史的な過ちだ」と憤る。
 中国政府は16年ごろから過激派対策を名目にイスラム教徒のウイグル族への弾圧を強めた。これまで300万人を強制収容したとの推計もあり、遺体で戻ってきたとの報告は絶えない。
 米英などはこうした中国の人権状況を問題視し、北京五輪に政府代表を派遣しない外交ボイコットに踏み切ったが、IOCは傍観する姿勢を崩さなかった。
 IOCはアパルトヘイト(人種隔離政策)を理由に南アフリカの五輪参加を30年余り認めなかったこともある。国際世論の後押しもあった。ただ近年は巨額な開催費を敬遠して招致を目指す国が減っている一方、中国の影響力が増大。由理知さんを支える日本ウイグル協会のアフメット・レテプ副会長(44)は「IOCは五輪開催を優先して中国にすり寄った。平和や人権を脅かす行動には毅然(きぜん)と対応すべきだ」と批判する。
■当事者抜きで議論
 日本は中国ほど露骨な民族差別はないが、アイヌを初めて先住民族と位置付け、差別を禁じたアイヌ施策推進法が19年に施行されたばかりだ。
 昨夏の東京五輪ではアイヌ民族が伝統舞踊を披露する機会があり、札幌市も30年大会概要案で「アイヌ文化をはじめとした多文化への理解促進」を掲げる。
 だが、札幌アイヌ協会の阿部一司会長(75)は「文化発信は大切だが、それだけでは不十分だ。日本のアイヌ政策は、先住民族の土地資源の権利回復などに取り組む世界各国より遅れている」と指摘。さらに概要案策定に際して協会には相談がなかったといい、「当事者抜きの議論で『理解促進』になるのか」と市の姿勢に疑問を投げかける。
 日高管内平取町の萱野茂二風谷アイヌ資料館の萱野志朗館長(63)も「文化を紹介するだけなら先住民族政策を進めているというポーズにすぎない。五輪を招致するなら権利回復の議論に踏み込んでほしい」と訴える。
 IOCは24年のパリ大会以降、開催都市との契約に「人権尊重」条項を明記する。この条項に恥じぬ大会にできるか、IOCも開催都市も本気度を問われる。(山田一輝、田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/655535

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丸井今井と三越 周年で共通ロゴ アイヌ文化モチーフ

2022-03-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/10 05:00

丸井今井の創業150周年と札幌三越の開店90周年を記念したロゴ
 札幌丸井三越は9日、丸井今井の創業150周年と札幌三越の開店90周年を記念したロゴを発表し、丸井今井札幌本店の9階催事場に掲示した。アイヌ文化を取り入れたデザインで、一般社団法人札幌大学ウレ◆パクラブと共同制作した。
 丸井と三越は、いずれも5月1日に周年を迎える。記念ロゴは民族楽器のムックリや首飾りのタマサイなどを数字に見立て、「150」と「90」を表現した。今後、店内のドアにも掲示し、デジタルサイネージ(電子看板)でも活用する。
 同社は2017年、丸井の紙袋をアイヌ民族の刺しゅうをあしらったデザインに切り替え、北海道に根差した企業であることをPRしてきた。今回は文化の若い担い手とともに表現したいとして、ウレ◆パクラブと協働したといい、「こうした活動を通じて北海道の魅力を日本や世界に発信する企業になっていきたい」としている。(生田憲)
◆は小さいシ
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/655021

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<社説>水平社宣言百年 差別解消へ理念生かせ 

2022-03-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/10 05:00
 差別のない自由で平等な社会を訴えて被差別部落の人たちが立ち上がり、全国水平社を創立してから今月で100年がたった。
 差別からの解放と人間への尊厳を求め、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という言葉で結ばれた「水平社宣言」は、日本で最初の人権宣言といわれている。
 宣言では、差別されてきた自らの存在を肯定的に捉え、人間は同情や哀れみではなく尊敬されることで解放されるという人権の核心を突いた内容となっている。
 長きにわたって部落差別解消への取り組みが重ねられてきたが、なお根絶されていない。結婚や就職などで苦しんでいる人がいる。
 いま改めて水平社宣言の意義をかみしめ、法の下の平等や個人としての尊厳など憲法の価値が実現するよう前へ進みたい。
 江戸時代には武士や百姓、町人の下に置かれ、蔑称で呼ばれた被差別身分の人たちが存在した。明治政府は1871年(明治4年)に「解放令」を出して身分制度を廃止した。
 だが、社会に一度根づいた構造や偏見は解消されず、その後も厳しい差別が続いた。
 大正デモクラシーの自由主義的な機運の高まりの中、1922年(大正11年)に京都市で全国水平社の創立大会が開かれた。そこで奈良県出身の西光万吉が起草した「水平社宣言」が採択された。
 戦後、国は同和対策事業を続け、住環境の改善などはあったが根本的な解決には至らなかった。
 そのため2016年に部落差別解消推進法が施行された。「現在もなお部落差別が存在する」とし、国や自治体の責務として教育や啓発などを明記した。
 近年はネット上で差別をあおる書き込みが氾濫している。同和地区とされる地域を動画で撮影して公開する行為も後を絶たない。
 昨年9月には東京地裁で、被差別部落の地名をまとめた本の出版やネット公開の差し止めを出版社に命じる判決が出された。
 差別投稿を見つけて削除につなげる自治体のモニタリング事業のさらなる強化や、被害者の早期救済などの仕組みが必要である。
 今の社会ではアイヌ民族や沖縄出身者、在日朝鮮人などに対しても差別的な言動、中傷が見られ、見過ごすことはできない。
 少数者への差別は無知や無理解に基づくものだ。それを正すには教育の場などできちんと歴史を教え、憲法の普遍的な価値を浸透させていくことが欠かせない。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/655013

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アイヌ工芸、道内クラフト共演 丸井今井150周年で記念イベント

2022-03-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/10 05:00

アイヌ民族の工芸品などが並ぶ会場(石川崇子撮影)
 5月に創業150周年を迎える札幌市中央区の百貨店、丸井今井札幌本店の大通館9階催事場で9日、記念の大型催事が始まった。アイヌ民族の工芸品と北海道ゆかりの手作り作品「北海道クラフト」を紹介する催し。計約80人の作家らが作品や商品を販売し、ワークショップ、トークイベントも行われる。
 「北海道の祖(はじ)まり~アイヌ文化の新しいものがたり~」と「Life is Craft Hokkaido」。「北海道の祖まり」には約20人の作家が参加。立体造形物を作る「3Dプリンター」で木彫りの熊を樹脂で再現した置物や、アイヌ文様入りの有田焼、切子グラスなどが並ぶ。
 「Life―」には、57人の作家や生産者が出品した。釧路管内標茶町の工房「トナカイ」による草木などの天然素材を使った手作りクレヨンや、旭川市の「リアンファーム」のハーブティーのほか、アクセサリーやスイーツもある。
 ワークショップはアイヌ刺しゅうの額縁制作やブローチ作りなど計12種類で、連日開催する。トークイベントは11~13日で、出品した作り手たちが北海道の未来への思いを語る。
 担当する札幌丸井三越の本間彩織さん(27)は「150周年を節目に、今まで以上に北海道の文化や魅力を日本や世界に発信していきたい」と話す。
 13日まで。午前10時半~午後7時半、最終日は午後6時まで。(高田かすみ)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/654993

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長万部ホタテ「湾宝」に 地元産養殖ブランド名 推進協 飲食店とコラボで浸透図る

2022-03-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/10 05:00

長万部産養殖ホタテなどを手にブランド名決定をPRする漁協の職員ら
 【長万部】長万部漁協や町などでつくる「長万部ホタテ貝アイヌブランド化推進協議会」(会長・高野勇一同漁協組合長)が投票を呼びかけていた地元産養殖ホタテのブランド名が「シャマンのほたて『湾宝(わんぽう)』」に決まった。投票数全体の半数近くを占めるダントツの人気。同協議会は今後、飲食店とのコラボ企画や長万部産養殖ホタテをPRする特設ホームページの開設などを通してブランド名の浸透を図る。
 ブランド名は「噴火湾産」と表記されることも多い長万部産の養殖ホタテを差別化し、地域ブランドとして発信力を高めるのが狙い。同協議会が6候補を示し、2月に投票を受け付け、町内外から1373票が寄せられた。
 最も多かった「湾宝」は633票で、全体の46・1%を占めた。次いで「ハルコロ」(210票)、「ヒンナホタテ」(208票)となった。同協議会事務局は「読みやすさ、意味の分かりやすさから『湾宝』が選ばれたのでは」とみる。
 また「シャマン」は、長万部の地名の元になったとも言われ、アイヌ語で「カレイ」を意味する「シャマンペ(サマンペ)」からとった。町北東部にある写万部(しゃまんべ)山(通称・写万岳)など町民にもなじみがあり、ブランド名に加えた。
 将来的には、長万部で水揚げする養殖ホタテはすべて「シャマンのほたて『湾宝』」に統一する。高野会長は「町外からも問い合わせをもらい、子どもから大人まで多くの人が協力してくれた」と感謝している。湾宝に投票した人に抽選で貝付きホタテなどを贈るが、反響の大きさを受け、当選者を当初の30人から50人に増枠した。
 養殖ホタテのブランド化は、内閣府が2019年に創設したアイヌ政策推進交付金を活用。23年度までの5カ年計画で進めている。(水島久美)
※「ハルコロ」の「ロ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/654897

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デンマーク首相が先住民に謝罪 70年前の同化実験、イヌイット

2022-03-11 | 先住民族関連
共同通信2022/3/10 09:25 (JST)

約70年前の先住民同化実験を巡り、謝罪するデンマークのフレデリクセン首相=9日、コペンハーゲン(ロイター=共同)
 【ロンドン共同】北欧デンマークのフレデリクセン首相は9日、デンマーク領グリーンランドの先住民族の子供22人を同国本土に移住させ、現地の社会や文化に事実上同化させることを狙った約70年前の社会的実験を巡り、存命する6人の被害者に直接謝罪した。ロイター通信が伝えた。
 フレデリクセン氏は6人を招いた式典で、「間違いであり、冷酷で無情、理不尽だった」と謝罪した。
 4~9歳だった先住民族イヌイットの子供は1951年、デンマーク本土の文化や言語などを習得させ、イヌイットが人口の大半を占めるグリーンランドの現代化の推進を担わせることを目的に家族と離れて移住させられた。
https://nordot.app/874444197669109760?c=39546741839462401

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