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原告弁護団長・田中宏弁護士に聞く 判決の原点 基に議論を 二風谷ダム判決25年

2022-03-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/27 05:00

たなか・ひろし 1946年、小樽生まれ。北大法学部卒業。72年司法試験合格。札幌弁護士会会長、日本弁護士連合会副会長などを歴任。札幌在住。75歳。
 二風谷ダム訴訟で原告弁護団長を務めた田中宏弁護士に判決の意義や先住民族政策の課題を聞いた。(聞き手・田鍋里奈)
 今振り返っても画期的な判決です。アイヌ民族が征服者の日本の法律をたてに、日本の裁判所で自分たちは先住民族だと認めさせ、民族固有の文化を享有する権利を認めさせました。
 原告2人の裁判の目的はアイヌ民族の復権でした。損害賠償請求などお金が目的ではなかったので、かえって難しく、最初は途方に暮れました。
 訴訟の準備では2人から話を聞き、アイヌ民族の誇りをどう取り戻すか弁護士13人で議論しました。その結果、国は当時、立法、行政、司法のいずれもアイヌを先住民族と認めたことがないと気づき、まず司法の場で先住民族と認めさせることを目標にしました。
 訴訟では北海道の歴史を掘り下げ、アイヌ民族が今のような状況に置かれるようになった歴史的な経緯を明らかにしました。さらに国際的な動きも伝えました。オーストラリアでは1992年、先住民の伝統的な土地所有権を認める判決があったほか、国連でも当時、先住民族権利宣言の起草作業が進んでいました。こうした国際的な潮流も追い風になったと思います。
 2007年に宣言が採択された時、日本政府はアイヌを先住民族と認めていませんでしたが、採択に賛成しました。あの判決から変化が生まれたと思います。
 アイヌ施策推進法はアイヌを先住民族と位置づけましたが、政策の目指すべき姿が見えず、先住権にも触れていない点が問題です。政府は先住権を認めるのか、認めるならどこまで認めるのか、基本的な考え方について何も議論していません。早急に議論を始めるべきです。
 ただ、長い目で見ればアイヌ政策は進展するでしょう。米国での黒人差別の解消も長い年月がかかっています。判決の原点を忘れず、進むことが大切です。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/661652

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二風谷ダム判決25年 先住権回復 足踏み 原告「変わると思ったが…」 アイヌ新法制定 「交付金は箱物ばかり」

2022-03-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/27 05:00

建設が進み、4月にも運用開始となる見通しの平取ダム。アイヌ民族の聖地がダム建設で損壊を余儀なくされた=23日
 アイヌ民族を司法の場で初めて先住民族と認めた二風谷ダム(日高管内平取町)訴訟の札幌地裁判決から27日で25年を迎えた。判決はアイヌ民族の文化や価値観がいかに軽視されたかを明らかにし、国の政策に影響を与えた。だが、先住権回復は足踏みしたままだ。社会で判決の記憶が薄れつつある中、関係者はいま一度、判決が問うたアイヌ民族の現状に目を向けるよう願っている。
 「できてしまったものは仕方ない。ただ、ダム建設がアイヌの文化や権利にどんな影響を及ぼしたのか、国はきちんと研究して総括すべきだ。あの判決で終わりではない」。原告の一人、貝澤耕一さん(76)は二風谷ダムそばにある自宅で、1997年3月の判決を振り返り、こう強調した。
 98年に完成した二風谷ダム建設は地域のアイヌ民族が神に祈りをささげる聖地「チノミシリ」と位置づけていた複数箇所の岩山を破壊し、水没させた。訴訟では貝澤さんとアイヌ民族初の国会議員となった故萱野茂さんの地権者2人がダム建設は聖地を奪うとして土地収用の取り消しを請求。判決はダム本体が完成しているとして請求は棄却したが、建設は先住民族であるアイヌの文化享有権などを「軽視ないし無視」し、違法だと認定した。
 だが、ダム建設はその後も続いた。二風谷ダムとセットで計画された平取ダムは2013年に着工し、間もなく完成する。同ダム建設でもチノミシリは損壊を余儀なくされた。国は判決を踏まえ、平取アイヌ協会と事前に協議し、チノミシリの一部をコンクリートなどで復元する工事を施したが、貝澤さんは「復元はアイヌ文化を保存しているというアリバイづくりでしかない」と批判する。
 権利回復の動きも鈍い。国は19年、法律で初めてアイヌを先住民族と位置づけるアイヌ施策推進法を制定したが、伝統的資源の優先使用など先住権を認める法律はなく、儀式で使うサケの漁も許可制だ。北欧など諸外国と比べると先住民族政策は遅れ、十勝管内浦幌町のアイヌ民族団体がサケ漁を行う権利の確認を求めた行政訴訟も進行中だ。貝澤さんは「あの判決で状況が変わると思ったが、四半世紀たっても権利回復は進んでいない」と嘆く。
 萱野さんの次男志朗さん(63)も「アイヌ施策推進法に基づく国の交付金は箱物ばかりに使われ、権利回復につながるような人材育成に振り向けられていない」と指摘する。ただ先住権回復が簡単ではないことも認識しており、「父は『一本の毒矢や切れ味の良い刀より、話し合うことが大事だ』と言っていた。権利回復には、社会に共感してもらえるような活動を進めることが重要だ」と話した。(田鍋里奈、杉崎萌)

 <ことば>二風谷ダム訴訟 ダム建設地の地権者2人が道収用委員会に土地収用の裁決取り消しを求めた行政訴訟。札幌地裁の一宮和夫裁判長(当時)は判決で、原告の請求は棄却したが、アイヌ民族について「わが国の統治が及ぶ前から北海道に居住し、わが国の統治に取り込まれた後も経済的、社会的打撃を受けつつ、なお独自の文化を喪失しない社会的集団であるから先住民族に該当する」と認定した。
 その上でダム建設について「国は事業の達成で得られる公共の利益が、失われるアイヌ民族の文化享有権などの価値に優劣するか判断するための必要な調査を怠り、アイヌ文化への影響を可能な限り少なくする対策を講じないまま事業を認定し、裁量権を逸脱した」として違法性を認めた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/661651

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<美幌 メープルシロップ物語>下 夢あふれる希望の樹液

2022-03-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞03/26 09:17

執筆した論文の要旨が掲載された雑誌を手にシロップへの思いを語る平野茂夫さん(岩崎勝撮影)
 「マチの新たな名物にしたい」。オホーツク管内美幌町の菓子店「山本菓子舗」のパティシエール伊藤枝里さん(35)は、美幌産メープルシロップを使って商品開発を進めている。
 1964年創業の老舗。美幌産小豆のようかんなど地元素材にこだわる。昨年12月、美幌町樹液研究会代表の平野茂夫さん(84)からシロップを受け取り、新商品の創作に乗り出した。
■町内で活用も
 研究会など関係者が課題と捉えるシロップを町内に浸透させる方策として、平野さんは町内の菓子店に協力を求めることを選択。この数年、各店にシロップを配り、商品作りを依頼している。
 伊藤さんはシロップを使ってマドレーヌを試作。焼き菓子はある程度日持ちし、土産にもなるからだ。クリスマスケーキ作りの合間などに試作し、市販のシロップより香りが少ない美幌産の特徴も把握した。「味は満足できたが、食感に納得がいかない。もう少しふわっとさせたい」。伊藤さんは「平野さんの思いを形にしたい」と、今夏の発売を目指して試作を重ねる。
 4月21日に改装オープンする観光名所・美幌峠の美幌峠レストハウスでは、新規テナントの飲食店がシロップを使ったメニューを提供する予定だ。アイヌ民族の伝統料理を提供する札幌の「海空のハル」が、シロップを入れたジェラート、芋餅などの販売を検討する。町内でシロップ活用の動きが広がってきた。
■「母乳」出る木
 シロップの浸透に腐心する一方、平野さんは栄養面に興味を抱いた。原料の樹液を採取するイタヤカエデはアイヌ語で「トペニ(母乳の出る木)」と呼ばれるため、根拠を探った。
 日本食品分析センター(東京)に樹液を送り、成分分析を依頼。樹液に含まれるカリウムやカルシウムなどのミネラル類の栄養成分比が母乳に似ていることが分かった。
 約2年かけて研究し、まとめた論文の要旨は2020年9月、NPO法人「日本栄養改善学会」発行の「栄養学雑誌」に掲載。平野さんは「アイヌ民族は、樹液に母乳と同じような栄養があることを知っていたのではないでしょうか。感激しました」と話す。
 この研究成果を得て、平野さんの夢は広がる。栄養価を生かし、企業などと共同で樹液からサプリメントや化粧品などを開発することだ。平野さんは言う。「あと15年、100歳まで妻と頑張りますよ」
 研究会の今春の製造目標は2千本。3月中旬、製造拠点の平野さん宅のハウスでは、ぐつぐつと樹液を煮込む音がした。出来上がったシロップが店頭に並ぶ日は近い。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/661443

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「ドライブ・マイ・カー」ノミネートで注目! 米アカデミー賞作品賞ノミネート作紹介【上】

2022-03-27 | 先住民族関連
スポーツ報知3/26(土) 18:00
 米映画芸術科学アカデミーが主催する第94回アカデミー賞は、27日(日本時間28日)に発表・授賞式が米ロサンゼルスで行われる。今年は、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が、日本映画史上初の作品賞をはじめ、4部門にノミネート。前哨戦と言われる全米映画批評家協会賞などを受賞していることから、いやが応でも期待が高まる。オスカーの行方が注目される中、「ドライブ―」を含め作品賞にノミネートされた全10作品を紹介する。
 ◆「ウエスト・サイド・ストーリー」
 <他のノミネート>監督賞、助演女優賞(アリアナ・デボーズ)、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、音響賞
 <あらすじ>1957年に発表されたブロードウェーミュージカルを60年ぶりに映画化。米ニューヨークのウエスト・サイドでは若者たちが貧困や差別に不満を募らせ、プエルトリコ系移民によるチーム「シャークス」とヨーロッパ系移民の「ジェッツ」が対立していた。ある日、シャークスの元リーダーの妹・マリアは、ジェッツの元リーダー・トニーと運命的な出会いをするが、2人の”禁断の愛”は、衝撃的な結末を生む。
 <ひとこと>オープニングでジェッツのメンバーが街を闊歩(かっぽ)するシーンから、いやが上にも気持ちが盛り上がる。マリアとトニーが愛を確認するダンスパーティーのシーンを始めとした光の使い方も効果的だと思うが、主人公の2人、特にトニーのインパクトが弱いというイメージ。
 その分、助演女優賞の絶対的本命とされるシャークスの元リーダーの恋人・アニータを演じるアリアナ・デボーズが圧倒。特に、道の真ん中で踊るシーンに注目だ。また、出番は少ないがトニーが働いている店の女主人・バレンティーナの存在感にも注目。演じるリタ・モレノは、1961年の映画でアニータ役だった。
◆「コーダ あいのうた」
 <他のノミネート>脚色賞、助演男優賞(トロイ・コッツァー)
 <あらすじ>港町に住む女子高生・ルビーは、両親と兄との4人暮らし。他の3人は耳が聴こえないことから、幼い頃から”通訳”として家業の漁業を手伝ってきた。新学期を迎え、あこがれの同級生と同じ合唱クラブに入ったルビーは、顧問の先生から歌の才能を見いだされる。だが、歌声を聴けない両親は信じることが出来ない。自らの夢を追うのか、家業を助けるか悩んだルビーは、いったんは家族を選ぶが…。
 <ひとこと>ストーリーは単純明快。最終的な結末も、おそらく見た人のほとんどが予想していた通りで驚きはないのだが、なぜか物語にグイグイと引き込まれていき、見終わった後にはすがすがしさを覚えるだ
 母親を演じたマーリー・マトリンをはじめ、ルビーの家族を実際の聴覚障害者が演じることで、演技では出すことのできない、心の奥にある思いや考え方が伝わって来る。父とルビーが「娘が健常者として生まれてきた時にどう思ったか」と”会話”するシーンが象徴的だ。
 それにしても、顧問の「V先生」が、宮本亞門さんにしか見えないのだが…。
 ◆「DUNE デューン/砂の惑星」
 <他のノミネート>脚色賞、視覚効果賞、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編集賞、音響賞、メーキャップ賞、作曲賞
 <あらすじ>時は10191年。宇宙帝国の皇帝からの命で、アトレイデス一族は宇宙で最も価値のあるスパイスの産地で、「砂の惑星」と呼ばれるデューンへと移住する。だが、それは皇帝と宇宙支配をもくろむ宿敵ハルコンネン家がアトレイデス一族を滅ぼすために仕掛けたワナだった。父を殺された一族の後継者・ポールも、全宇宙から命を狙われる存在に。母と共に逃亡するポールはデューンの先住民族・フレメンと出会い全宇宙の未来のために立ち上がる。
 <ひとこと>1965年に発表された原作小説は、世界的人気を誇る「スター・ウォーズ」にも多大な影響を与えたとされており、何となく「似てるな」と感じるシーンもあるかもしれない。ただ、愛がメインテーマの「スター・ウォーズ」と比較して、本作の方は一族の誇りや差別などといった要素により、より重層的な物語となっている。
 そこを丁寧に描いていくと仕方ないのかもしれないが、約2時間半の上映時間にもかかわらず、物語の序章が終わり「さあ、これから」というところでエンドロール。尻切れトンボ感は否めない。すでに続編の公開が決まっているので、それを楽しみにしたいところ。
 ◆「ドライブ・マイ・カー」
 <他のノミネート>監督賞、脚色賞、国際長編映画賞
 <あらすじ>舞台俳優でもある演出家の家福は、妻・音と満ち足りた生活を送っていたが、音は秘密を残したまま突然この世を去ってしまった。それから2年後、広島の演劇祭に参加することになった家福は、専属ドライバーの若い女性・みさきと出会う。共に過ごす時間が増えていく中で、少しずつみさきに過去を明かす家福。それに応じるかのように、みさきも心を開いていった。そして演劇祭が始まる直前、ある出来事をきっかけに2人はみさきの故郷に向かう。
 <ひとこと>日本作品として初めて米アカデミー賞にノミネートされたが、イメージとしては米国よりも欧州の方がウケが良さそうな印象を持った。
 多言語を使って繰り広げられる舞台、脚本の読み合わせを意識的に感情を込めないようにして行うことから生まれる「違和感」を知ることによって、逆に人間の持つ感情を喚起させようとするという点は面白い。また、家福とみさき、岡田将生演じる高槻の三者三様の死に対する向き合い方の違いも興味深かった。
 チェーホフの代表的戯曲「ワーニャ伯父さん」を知っていれば、より作品の本質が分かると思うが、なかなかハードルが高いかも。
◆「ドリームプラン」
 <他のノミネート>脚本賞、主演男優賞(ウィル・スミス)、助演女優賞(アーンジャニュー・エリス)、編集賞、主題歌賞
 <あらすじ>テニスの世界的プレーヤー、ビーナス&セリーナのウィリアムズ姉妹の父リチャードを描いた実話。2人の娘を世界最強に育てる夢を持つリチャードは、テニス未経験にもかかわらず娘たちが生まれる前から壮大な計画を立てていた。その常識外れな計画は周囲の困惑や反発を生むが、リチャードは意に介さず己の道を突き進むのみ。そして、姉のビーナスはついに世界のトッププレーヤーと対戦するにまで成長する。
 <ひとこと>リチャードを演じるウィル・スミスは主演男優賞の大本命。最近はパッとした作品が無かったが、本作で一気に”返り咲き”を果たした。
 見た目はさえない中年男だが、娘を世界一にするという夢に向かって、子供のように周囲を顧みずに突き進むというギャップをうまく演じている。まさに原題の「キング・リチャード」。多少分かりにくい点はあるが、邦題よりもそのままの方が良かったような気がする。また、あくまでも父リチャードを描いた作品であるため仕方のない部分はあると思うが、セリーナの成長がほぼ描かれていない点は寂しかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb40401ac5bf5f1a69b1803382c758d7159334ad

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鎌倉時代前期の五輪塔や中世の骨角器類など4件 新たに青森県文化財に指定

2022-03-27 | アイヌ民族関連
青森放送3/26(土) 10:00
鎌倉時代に建てられたとみられている五輪塔など4件が新たに青森県文化財に指定されました。
県文化財の県重宝には3件が指定され、このうち中泊町にある五林神社の五輪塔は鎌倉時代から室町時代後期に建てられたとみられています。県内に現存する五輪塔の中でも数少ない完全な状態で残っているものの1つです。また弘前市にある乳井神社の五輪塔は鎌倉時代前期に建てられたとみられ、一部が破損していますが県内に現存する五輪塔の中では最古級のものです。さらに中世の遺跡とされる東通村の浜尻屋貝塚から出土した87点の骨角器類も県重宝に指定されました。漁などに用いられたと考えられ、北海道のアイヌ文化との関連性もうかがわせる貴重な資料です。一方県無形民俗文化財には弘前市の鬼神社などで行われている「津軽の七日堂祭」が指定されました。これら4件を含めて県文化財は291件となりました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/25060e685e79a49344987546f9c09308ee2c13f3

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