NHK2023年4月19日(水)午後4時34分 更新
今回、シラベルカに北海道の地名に関する投稿が届きました。
北海道の地名の読み方が昔と変わった気がします。
例えば・・・
厚真:「あづま」が「あつま」に…。 地名の変化、気になります。
道外出身の私は、町名でもある「あつま」が正しいのではと思いつつ、調査をスタート!すると、北海道ならではの特徴が見えてきて…。実際に厚真町で調べてきました。 (札幌局記者 髙山もえか)
町民でも意見が分かれる あつま と あづま
まず訪れたのは、胆振の厚真町! 町の皆さんに、普段使っている「厚真」の呼び方を聞いていきます。
20代男性
「あつまを使います。あまり若い人で『あづま』という人は聞かないかもしれません」
80代女性
「一番先に出るのがね、あづま。特に、自分と同じ歳ぐらいの人と話をするときは、みんな『あづま』ですね」
80代女性
「場合によって両方、使い分けています。誰かに町を紹介するときは、あつまって言いますし、知り合いと話すときは『あづま』って」
今回、町にお住いの10代から80代の42人に協力してもらった、アンケート調査では…
あつま派:27人 あづま派:9人 どちらも使う:6人
という結果になりました。
町の名前は「あつま」 でも、町中には「あづま」がたくさん!?
町民でも分かれる、その読み方。町の担当者に詳しく尋ねてみることに。
役場ができた明治30年から、町としてはあつまと呼んでいます。昔から呼び方に変わりはありません。
しかし、奈良さんに町を案内してもらうと、様々な場所に「あづま」の文字が!
「あづま」の文字を創業当時から使っている、精肉店の店長は…。
「創業当時、近隣のお客さんたちが、「あづまのジンギスカン、あづまのジンギスカン」と呼んでいたことが、名前の由来になったと聞きました。ただ、どうして「あづま」だったのかは、わからないですね」
道南中心に残る「カ行」と「タ行」が濁音化しやすい特徴がカギ!
真相を探るため、言語学が専門で、北海道方言研究会の会長も務める大鐘秀峰教授に取材を決行。先生、どうして厚真町で「あづま」が定着しているの?教えてください!
「この地域は、アイヌの言葉が転じて「あつま」と呼ばれるようになりました。江戸時代になると、そこに松前藩の人たちが入ってきて「あづま」という呼び方が広がり始めます。
なぜかというと、北海道の沿岸部や南部を中心とした場所に見られる、カ行音とタ行音の濁音化しやすい特徴がカギを握っています。この特徴、対岸の青森県でもともと見られた音声的な特徴で、東北の人たちが北海道に来た際、一緒に持ち込んだわけですね」
東北から持ち込まれた、カ行とタ行が濁音化しやすい特徴。道南の地域では、特徴が反映された呼び方が広がったということです。
(はこだて→「はごだで」 まつまえ→「まづまえ」)
地名だけではありません。日ごろから使う言葉の中にも、濁音化したものが!
イカは「イガ」、サカナは「サガナ」。 オホーツクでは、着岸していた流氷が離れる日を海明け(うみあけ)と言いますが、「うみあげ」と話す人もいるんだとか!
大鐘秀峰教授
「言葉は、歴史的なものすべてを背景として、生活や文化に根ざしたとても貴重なものだと私は考えています」
【取材後記】
今回はじめてシラベルカの公式SNS(LINE・Twitter・Instagram)を使い、取材期間中に厚真町と同じく「地名の読み方で気になる場所はないか」と、広く皆さんに調査しました。
すると、実際に公式LINEには、こんな投稿が…!
「呼び方でずっと気になっていたことが!私の故郷は旭川(あさひかわ)ですが、子どものころ「あさひがわ」とも呼ばれていた気がします…」
こちらも大鐘教授に確認してみると、「あつま」と同じ濁音化する特徴が考えられるということです。このほかにも、意見を寄せてくださった多くの皆さん、ありがとうございました!
みなさんの気になる疑問は随時、募集しています。 取材班が責任をもって、調査しますので、ぜひ投稿してください!
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n04ee29fc5dab
今回、シラベルカに北海道の地名に関する投稿が届きました。
北海道の地名の読み方が昔と変わった気がします。
例えば・・・
厚真:「あづま」が「あつま」に…。 地名の変化、気になります。
道外出身の私は、町名でもある「あつま」が正しいのではと思いつつ、調査をスタート!すると、北海道ならではの特徴が見えてきて…。実際に厚真町で調べてきました。 (札幌局記者 髙山もえか)
町民でも意見が分かれる あつま と あづま
まず訪れたのは、胆振の厚真町! 町の皆さんに、普段使っている「厚真」の呼び方を聞いていきます。
20代男性
「あつまを使います。あまり若い人で『あづま』という人は聞かないかもしれません」
80代女性
「一番先に出るのがね、あづま。特に、自分と同じ歳ぐらいの人と話をするときは、みんな『あづま』ですね」
80代女性
「場合によって両方、使い分けています。誰かに町を紹介するときは、あつまって言いますし、知り合いと話すときは『あづま』って」
今回、町にお住いの10代から80代の42人に協力してもらった、アンケート調査では…
あつま派:27人 あづま派:9人 どちらも使う:6人
という結果になりました。
町の名前は「あつま」 でも、町中には「あづま」がたくさん!?
町民でも分かれる、その読み方。町の担当者に詳しく尋ねてみることに。
役場ができた明治30年から、町としてはあつまと呼んでいます。昔から呼び方に変わりはありません。
しかし、奈良さんに町を案内してもらうと、様々な場所に「あづま」の文字が!
「あづま」の文字を創業当時から使っている、精肉店の店長は…。
「創業当時、近隣のお客さんたちが、「あづまのジンギスカン、あづまのジンギスカン」と呼んでいたことが、名前の由来になったと聞きました。ただ、どうして「あづま」だったのかは、わからないですね」
道南中心に残る「カ行」と「タ行」が濁音化しやすい特徴がカギ!
真相を探るため、言語学が専門で、北海道方言研究会の会長も務める大鐘秀峰教授に取材を決行。先生、どうして厚真町で「あづま」が定着しているの?教えてください!
「この地域は、アイヌの言葉が転じて「あつま」と呼ばれるようになりました。江戸時代になると、そこに松前藩の人たちが入ってきて「あづま」という呼び方が広がり始めます。
なぜかというと、北海道の沿岸部や南部を中心とした場所に見られる、カ行音とタ行音の濁音化しやすい特徴がカギを握っています。この特徴、対岸の青森県でもともと見られた音声的な特徴で、東北の人たちが北海道に来た際、一緒に持ち込んだわけですね」
東北から持ち込まれた、カ行とタ行が濁音化しやすい特徴。道南の地域では、特徴が反映された呼び方が広がったということです。
(はこだて→「はごだで」 まつまえ→「まづまえ」)
地名だけではありません。日ごろから使う言葉の中にも、濁音化したものが!
イカは「イガ」、サカナは「サガナ」。 オホーツクでは、着岸していた流氷が離れる日を海明け(うみあけ)と言いますが、「うみあげ」と話す人もいるんだとか!
大鐘秀峰教授
「言葉は、歴史的なものすべてを背景として、生活や文化に根ざしたとても貴重なものだと私は考えています」
【取材後記】
今回はじめてシラベルカの公式SNS(LINE・Twitter・Instagram)を使い、取材期間中に厚真町と同じく「地名の読み方で気になる場所はないか」と、広く皆さんに調査しました。
すると、実際に公式LINEには、こんな投稿が…!
「呼び方でずっと気になっていたことが!私の故郷は旭川(あさひかわ)ですが、子どものころ「あさひがわ」とも呼ばれていた気がします…」
こちらも大鐘教授に確認してみると、「あつま」と同じ濁音化する特徴が考えられるということです。このほかにも、意見を寄せてくださった多くの皆さん、ありがとうございました!
みなさんの気になる疑問は随時、募集しています。 取材班が責任をもって、調査しますので、ぜひ投稿してください!
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/articles/slug-n04ee29fc5dab