Dutch Life 備忘録

オランダのミュージアム、コンサート、レストランなどについて記録するノート。日常的な雑記も…。

本「ワイルド・ソウル」

2016-01-14 10:40:36 | Book
垣根涼介著「ワイルド・ソウル」を読了。
前後編の二巻からなる長編。男臭さを感じるクライム・エンターテイメント小説。
読みたいと思ったのは、戦後のブラジル移民の話が核になっているからです。南米への移民が戦後多数いたことは知っていましたが、実情はまったく知りませんでした。事実と違う約束を信じて、多数の人がブラジルへ渡り、たいへんな苦労をされたことが、この本を読むとわかります。
戦前の移民で成功された人もいますが、戦後の移民はさらに条件が悪く、人が住めないようなアマゾンの奥地で、農地に適さない酸性の土地と格闘して、土地の病気にかかり、医者にもかかれず、亡くなっていった人々がどれだけいたことか。
日本に帰りたくても日本は遠すぎて、またパスポートを取り上げられるという策も実行されたりして、酷い状況だったようです。
こういう事実を語るとともに、物語は、ある事件を起こすことと、その事件の進行、終焉について、息をつく間もないようなテンポで、語られていきます。
面白かったです。
大藪春彦賞、吉川英治文学賞、日本推理作家協会賞を同時受賞した作品です。
この作家の他の作品も読んでみようかなあと思っています。が、ちょっとハードボイルドすぎて、私には馴染み切れない文章の質感でもあります。
体調は良好です。