20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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キーワードは寓意性・・・?

2008年09月28日 | Weblog
 たとえば、台所でキュウリを切っていたとします。
 とんとんとん・・・。包丁が気持ちがいいように進みます。
 そのリズムに手をまかせながら、ふと思うのです。
「もし、手をすべらせて指を切ってしまったらどうなるだろう。でも急いでくっつければ指はくっついたままでいるかしら?」
 また、たとえばある時は、ヤカンの煮立ったお湯で油揚げに湯通ししているとき、ふと思うのです。
「もし、このお湯を足にこぼしてしまったらどうなるだろう。大やけどで皮膚がめくれて歩けなくなるかしら?」

 こういった感覚にとりつかれるのは、日常茶飯事です。
 駅の階段を下りていれば、10秒後に足をすべらせ、階段下にのびている自分の姿を想像したり・・・。
 
 川上弘美や小川洋子などを読んでいると、そういった日常の生活から違和感なく異界へつながっていくその細部のひとつひとつのすごさに、頭をガツーンと殴られるようなことがあります。
 ただの感受性で終えていないすごさ。
 リアリズムのままで終えていないすごさ・・・。
 台所から異界へ。
 
 それをどう説明したらいいのでしょう。これをもう少しかみ砕き、他者に説明するのには時間がかかりそうです。
 もしかして、キーワードは寓意性・・?。
 ベンヤミンの『パサージュ論』でも読むしかなさそうです。 
コメント
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