20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊4冊ご紹介

2011年08月04日 | Weblog
 一昨日に続き、新刊、4冊をご紹介いたします。

           

『スーパー・キッズ』(佐藤まどか・講談社)

 イタリアにお住まいの佐藤まどかさんだからこそお書きになれた、インターナショナルな冒険ストーリーです。
 世界中から選ばれ,集められた「特殊な才能」を持つ子どもたちの住む地中海にある学校。
 サブタイトルには「最低で最高のボクたち」と書かれていますが、とにかくこの子どもたち、サイコーです!
 それぞれの「特殊な才能」が実に見事に、鮮やかに描かれています。
 生まれ育った国の味つけまで残しながら。
 国も人種もさまざまな子どもたちが、ある日国際的なシンジケートに集団誘拐されます。
 登場する世界各国さまざまな子どもたち、ひとりひとりのキャラクターがとても個性的で魅力的でおもしろいです。
 とにかく、キャラクターの書き分けがすごい。
 誘拐犯と格闘する暴れっぷりもスケールが大きくて、まさにインターナショナルです。
 また、文章もテンポがよくて、ぐいぐい惹きつけられます。
 力のある新人作家の、異色のYA作品が生まれました。

           
           
『すがたかえ』(高田桂子・文研出版)
 
 次にご紹介するのは、絵本です。
『からからからが・・・』『あれから それから』に次ぐ、高田桂子さんの創作民話シリーズの第三巻です。
 高田さんのうつくしい文章に、木曽秀夫さんのモダンでユニークな絵がとても合っています。
 なんとも不思議な絵本です。
「すがたがかわる」という伝説の穴の「入り口村」から飛び込んだ男の子と、「出口村」の穴から飛び込んだ女の子。
 はてさて、ふたりはいったいどんな姿で出てくるのでしょう。
 中国起源のゲーム「タングラム」という折り紙ゲームの遊びもついていて、なかなかユニークな絵本です。
 
           

『わたしのにわ』(ケビン・ヘンクス作・石井睦美訳・BL出版)

 こちらも絵本です。
 ケビン・ヘンクスのご本は、『とってもいいひ』『はるまちくまさん』に続き、石井睦美さん翻訳は三冊目です。
 自分ひとりのお庭を空想した、女の子の夢がひろがっていく絵とストーリーです。
 だいすきなものばかりのなる、お庭。
 チョコレートや、ジェリービーンズや、かいがら・・・。さらに、女の子が集めているボタン、かさに、さびたクギ。
 空想はさらにひろがります。
 夜にひらいたままの、あさがおや、ランプをともす、いちご・・・。
 やさしくて、楽しい絵本です。

           

『ゆらゆら橋からおんみょうじ』(広瀬寿子・佼成出版社)

「サトシ」が深い谷にかかる吊り橋をながめていたら、そこを渡るチョウチョの姿が・・・。
 その話をおばあちゃんにすると、「安倍晴明の子孫どすがな、うちは」と衝撃的な発言が。
 そこから物語は動いていきます。
 ふたたび、「サトシ」は吊り橋で「捨丸」と名乗る「安倍晴明」の弟子に出会います。

「サトシ」と「捨丸」の夏の日の出会い。そしてふたりで「サトシ」のおじいちゃんを元気にしていくお話です。
 磨き上げた文章で、不思議な世界を描き出していらして、一服のさわやかな風をいただいたような気がしました。

 ぜひ皆さま、お読みになってください。
コメント (2)
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