公園の池で、小学生たちがザリガニ釣りをしていました。
長い棒の先に餌をつけて、どろっと濁った池にそれをおろしていきます。
「釣れるの?」
そう尋ねたら、
「はい」
礼儀正しく答えてくれました。
ザリガニ釣りで思い出すのが、広尾の有栖川公園です。
まだ息子が小学校低学年だったころ、小さかった娘と一緒に、お休みになると夫の運転する車で246を走り、ザリガニ釣りのため、広尾の有栖川公園によくいったものです。
あの頃、広尾のインターナショナルマーケット界隈を歩きながら思い浮かんだのが、28年前のデビュー作『初恋クレージーパズル』(ポプラ社)の構想です。
昨晩、奇遇にも、小学校のころこの本を読んで下さったという読者の方から、
「初めまして 私が小学校高学年の頃に読んだ先生の「初恋クレイジーパズル」をもう一度読みたくて手に入れられないかと色々調べてみたのですが出版社でもネットでも絶版なので入手出来ないとの事で非常に残念ですが中々諦めきれず古本を扱っている場所も探してみましたが見つけられず…小学生ながら切ないような複雑な感覚を覚えたあの本をもう一度手に取る方法はないのでしょうか? 再度出版される事はないのでしょうか?」
と言う、メールをいただきました。
しかし私も、色あせたその本を一冊持っているだけです。
なにしろ28年前の本です。
けれど、こうしていまでもあの作品を忘れず覚えていてくださって、私のHPを見つけそこからメールを下さる方がいらっしゃることに、作家冥利に尽きる思いです。
(写真はデビュー作『初恋クレージーパズル』(加藤純子・ポプラ社)