20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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新刊4冊ご紹介

2012年03月17日 | Weblog
 友人の皆さんからご恵贈いただいたまま、慌ただしく過ごしていたため、すっかりご紹介の遅れてしまった4冊のご本のご紹介です。
 まずはこのご本から。

           
『紅に輝く河』(濱野京子・角川書店)
 濱野京子さんの「シューマ平原」シリーズの三巻目です。
 第一巻は『碧空の果てに』第二巻は『白い月の丘で』、そしてこの『紅に輝く河』が第三巻です。
 いずれもスケールの大きなファンタジーです。
『紅に輝く河』では、生まれたばかりの、母の違うファスール王国の王女姉妹は、天の声を聞いた神官による託宣で、次期国母となるべく第一王女と、第二王女が交換させられてしまうところからはじまります。
 この物語では、その第二王女である「アスタナ」が主人公です。
 男装した「アスタナ」は、正義感と知的好奇心を持ち、第一巻、第二巻にでてきた国々出身の若者たちと関わりながら恋に落ち、そしてなおも国のために闘っていく物語です。
 王の第二夫人である、美しき母親との微妙な関係も絡ませながら展開していきます。
 濱野さんらしい確かな筆致で、スケールの大きなひとつの世界が構築されています。

           
 次にご紹介するのは、
『男子弁当部 オレらの青空おむすび大作戦!』(イノウエミホコ・ポプラ社)です。
 このお話も、イノウエミホコさんの『男子弁当部』シリーズの第四巻です。
 今回の男子弁当部は、主人公の「ソラ」の兄で、世界中を放浪している「ミライ」の誘いで、米作りのお手伝いのため、新潟へ行きます。
「ミライ」の友だち「カン」さんの家を訪ね、田植えを手伝ったりしながら、そこに住む人たちと食の原点「米」について、いろいろ知っていくお話です。
 いままでの「男子弁当部」とは違う、ただお米を炊き握るだけのシンプルな塩むすびのレシピ。それなのにどんなお弁当よりおいしそうで、読んでいるだけでできたてのおむすびのほかほかした感じが伝わってきて、しあわせな気持ちになります。
 お米とはの原点が、弁当部を通して描かれています。
 そして「男子弁当部」のメンバーは、「ひとと出会うことで」大きく成長していきます。
 ラストにはおいしいご飯の炊き方や、おむすびの作り方のレシピもついています。

           
『虹色ティアラ 月夜のあぶないセレモニー』(次良丸忍・フォア文庫)
 フォア文庫の次良丸忍さんの『虹色ティアラ』シリーズの第三巻です。
 ティアラーである「ユッコ」は宿題に悩み、ループホールから同じくティアラーの仲間である「シルク」の住むラビューランドへ、タイムスリップしてしまいます。
 そこはちょうど、「月食の儀」の準備の真っ只中。「シルク」も「ユッコ」の相手どころではありません。
 あわてて元の世界へ戻ってきた「ユッコ」は宿題の紙をラビューランドへ忘れてきてしまったことを思い出します。そこでもうひとりのティアラーである「ポリエ」を誘い、再びラビューランドへ。
 今回のシリーズはラビューランドで行われている「月食の儀」の夜を舞台にした、悪者「マックラーミ団極東支部」との闘いです。闘いの中でシルクは、母親の過去を知ることにもなります。それはこのご本を読んでのお楽しみ。

           
『童話を書こう!完全版』(牧野節子・青弓社)
 さまざまな大学で非常勤講師をしていらっしゃる牧野節子さんは、これまでも『童話を書こう!』(寺子屋ブックス)『童話を書こう!実践篇』(青弓社)の二冊の童話指南書を執筆していらっしゃいます。
 このご本はそれらの、言わば完全版です。
「人称と文体」「アイディアは無限に」「登場人物の魅力」「背景の設定」「構成と構造」「ストーリーの進め方」「小道具の活用」「タイトルのつけ方」「パロディとオマージュ」「テーマとラスト」など、各章にわかれ、「書くこと」へのアプローチが、具体的にいろいろな本の文章を紹介しながら、とてもわかりやすく書かれています。
 ここには書き方の「コツ」が余すことなく伝授されています。
 書き手志望の皆さんへ、お薦めの一冊です。

 皆さま、この4冊。ぜひお読みになってください。
コメント (8)
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