今夜は隔月の第三水曜日に行っている「Bー子どもの本」の勉強会です。
今月のテキストは、『ひみつ』(福田隆浩・講談社)
過去に友だちをいじめたというトラウマを持っている主人公の少女は、転校前の夏休み、母親と校長室に挨拶に行きます。
そこで、図書室にいた「東川」と名乗る少女と出会います。
彼女は唐突にも、主人公の「わたし」に、『ホビットの冒険』に出ている気味の悪い生きもの「ゴクリ」が好きだと話します。
物語は、崖から落ち意識不明になってしまった、この「東川」の事故をめぐり、転校した学校で「わたし」とクラスメートたちの「事故」か「自殺」かの攻防が基軸になって展開します。
ここにあるのは、子どもたちの胸に内在している無意識の残酷さを暴こうとする姿勢です。
多少のあざとさを伴いながら。
湊かなえの『告白』のように、じわじわと真相がつまびらかにされていく手法は、まずまず読ませます。
内容的には、さほどインパクトがあるわけでもないのに、それなりに読ませてしまう・・・。
それはひとえに、物語の展開の仕方。次のシーンへ読者をいざなうテクニックの力です。
でもこの作者の物語を展開させるときの息づかい。間の取り方・・・。
これだけは、参考になるかもしれません。
さて、今夜はどんな議論になるでしょう。