日本橋高島屋で、昨日の最終日、土門拳の「昭和のこどもたち」展を見てきました。
昭和10年代~30年代にかけての子どもたちのすがたが、モノクロームの写真で表現されています。
土門拳のリアリズムの手法に圧倒されました。
まだ日本が貧しかった時代を生きる、子どもたちのキラキラ輝くような瞳や、表情が印象的です。
代表作である「江東のこども」「筑豊のこどもたち」「ヒロシマ」など200点の作品が並んでいました。
あの時代、いまを生きる子どもたちとは違った喜びや、楽しさ。そして生きる困難さがありました。
そんな子どもたちのすがたを生き生きと捉えています。
モノクロ写真の光と影が、リアルに胸に迫ってきます。
原爆におそわれた子どもたち。貧しさに押しつぶされそうになった子どもたち。障害があるゆえに、親から捨てられた子どもたち。巷にあふれる浮浪児や、靴磨きなどで働く子どもたち。
そんな子どもたちの、力強いまなざしや、悲しげなまなざし。そして生きることにひたむきなまなざし・・・。
おもわず涙がこぼれました。
土門拳が日ごろ語っていた、「カメラは道具にすぎず、写真を撮るのは人間であり、思想である」の言葉が、実感としてわかります。
私は木村伊兵衛の、洗練された写真が好きでしたが、こうして土門拳の泥臭いまでのリアリズムを突きつけられると、胸がしめつけられるような凄さを感じてしまいます。
土門拳、やっぱりすごい写真家です。
(写真は、頭にトカゲをのせて遊んでいる子どもたち。サイトからお借りしました)