20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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リモート講演会のお知らせ

2022年05月07日 | Weblog
             


             

たくさんの皆さんに惜しまれて、小松崎進先生が、ご逝去されました。
その小松崎進先生の忍ぶ会が、今月の14日の土曜日にあります。
私たちは「コマ先生、コマ先生」といって、仲良くしていただいておりました。

今回、夏に「この本だいすきの会」で、リモート講演会を行います。
この会は、この小松崎先生が全国の学校の先生たちに呼びかけて作られた会です。
全国に1000人近い会員の方々がいらっしゃいます。

毎年、暮れには、市川のホテルで、「暮れの集会」が行われ、たくさんの出版社の編集者の皆さん、作家、画家、会員である先生たちが集まり、楽しい時間を過ごしました。
最後にコマ先生にお会いしたのは、コロナでできなるなる前。
病院に入院していらしたコマ先生は、車椅子で登壇し、お元気な声で、お話ししてくださいました。

いらした時間、コマ先生のところに伺い、「先生、頑張ってね。果実酒、飲みたいもの」と話したら、笑いながら、冷たい手で握手してくださいました。
それが最後になってしまいました。

そのコマ先生への追悼文集が、昨年、出ました。

「お酒と気遣いとコマ先生 」    加藤 純子

お酒も飲めない私ですが、コマ先生たちが呑んべいの強者たちとやっていた「万寿の会」。そこに時々お誘いいただきました。
言わずもがな、その会のネーミングの万寿は銘酒「久保田の万寿」が由来です。
暮れの集会でお目にかかるコマ先生とは少しだけ違うお顔を、私は何度となくその会で拝見いたしました。
「万寿の会」に集っていらした、かつての教え子たちへの春の日差しのようなやわらかな眼差し。お声がけ。白髪の混じりかけた教え子さんたちがまだ小学生だった子どものような顔で先生のお話を聞いています。
コマ先生も下の名前を呼び捨てにしてその人たちにお声をかけます。
さすがと思ったのは、まさか小学生の頃からコマ先生が鍛えていらしたとは思えませんが、皆さん、私のような下戸ではなく立派な呑んべいさんたちです。
その雰囲気がとてもステキで、私もその時間、教え子になった気分で温もりに包まれていました。
そうそう、あれは南千住へ行ったときです。先生がまずご案内してくださったのが花魁たちの合同墓所。
次に行ったのが両国の別院として建てられた南千住の回向院。
江戸時代の刑場だった小塚原が目の前です。吉田松陰も、橋本左内も、鼠小僧もここに祀られています。
コマ先生は声を落とすと「カトーさん、この小塚原の道路の下には処刑された人たちの骨がゴロゴロ埋められているんだよ。だからコツ通り。雨が降ると人魂になって、青い光がこの上をチロチロと燃えるそうだ」
「きゃー!!」もう怖がりの私は帰りたくなりました。
この足の下に処刑された人たちの骨がゴロゴロ。江戸物の本に出てくる光景が脳裏をよぎります。
そして次に行ったのが「首切り地蔵」の延命寺。もうその頃にはコマ先生が首を噛み切るドラキュラのように思えてきました。
怖くて足のすくんでいた私に「さ、カトーさん、次は屋形船だよ」コマ先生はすでに老境に入りつつある教え子にも慕われる人でした。それにはこうした細やかな一人一人への心配りと、やさしさがあったからです。
初めて屋形船から見た隅田川の夜景、東京湾にキラキラ浮かぶ夜景の美しさ。もう皆さん、おいしい揚げたての江戸前天ぷらに舌鼓を打ちながら酔いしれています。
そしてみんなで歌うのはやはり童謡。そんな南千住での思い出は数十年経った今でもコマ先生を思い出す大切に仕舞い込んでいる記憶の一片です。
お酒をテーマに書いているのでもう一つ書いておかなくてはいけないのが、暮の集会でいつもいただいた手作りの果実酒の話。
先生は飲めない人がいるのがとても嫌で気になったみたいです。「これなら甘いから飲めるよ」と下さった手作りの果実酒には、備前焼のお猪口までついています。
ところが果実酒というのはアルコール度数が強い。一口「おいしい!」と飲んだがおしまい。ろれつが回らなくなります。はは〜ん、こうやって教え子の皆さん鍛えられていったというわけですね。

以上が、その文集に掲載させていただいた私の文章です。

そのコマ先生の会で、8月にリモートでの講演会を行ってくださることになりました。 
チラシの完成はこれからですが、添付してくださったデータを取り込んでみました。
上野の森にも、何組かプリントアウトして、持って行きました。

いろんなお話をできればいいなと、まだ、何の準備もしておりませんが、もうしばらくしたら、きちんと考えて行きたいと思っております。

たくさんの皆様のご参加をお待ちしております。
                         
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