20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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辻仁成の料理の愛

2024年12月09日 | Weblog
           

辻仁成のblogから、写真をお借りしました。

冗談で、将来は「料理研究家になろうか」というくらい、彼の料理は、プロのようです。

まだ53歳の母親の突然の死が、彼の息子さんに落とした、悲しさ、虚しさを想像していたら、いたたまれなくなって、久しぶりに、辻仁成blogを覗きました。

本当に素晴らしく、彼は、息子さんを、ここまでよく育ててきたなと、頭がさがる思いです。

元妻の若すぎる死は、本当にお気の毒で残念です。病死とか。ニュースに出ていました。

でも私の胸には、彼女が産んだ、パリで暮らすその大学生の息子さんのことしかありませんでした。
10歳で両親が離婚し、父親と暮らすことを選んだ彼は、当時、辛く、悲しい決断だったでしょうに、すごいと思いました。
母親にまつわる噂が、10歳の彼の耳に届かないはずがありませんから。

フランス語という言語を、操るのもまだ不自由だった頃から、パリに友人たちを作り、辻仁成は、その友人たちに支えられ、息子と寄り添い、息子をパリの友人たちにお願いし残して、親子2人、生き抜くために、日本に出稼ぎに来たりしながら、彼が大人になっていくことを見守っています。

そこまでたどり着くことの、大変さ。
彼はそれを、異国でやってのけたのです。

blogには、父子での進路をめぐる葛藤や、折々の関係性が、軽い筆致で綴られ、そしてそばにはいつも美味しそうな、愛のいっぱい詰まったお料理があります。

突然の、若すぎる母親の死の前で、大学生の息子を父親はそっと包み込み、そして、彼が大好きな料理を作ってあげる。
「辛い時こそ、どんどん作って、いっぱい、食べる」
そう言いながら。

辻仁成は、息子くんをそっとしておいてほしいと書いています。
余分な言葉は省き、さらっと。
そのことが、余計悲しさを誘います。離婚届を何度も送りつけてきた元妻への、愛の深さを感じます。
息子くんにとっては、大事な母だったはずです。今も心根では忘れることのできない存在だと思います。

辻仁成blogの、その日の最後の言葉。

「日々を丁寧に生きる。いろいろなことがあって、それでも、人生は続きます。息子君が大好きなこのフランス風イカ飯、で、元気になってほしいです。」

息子くん、頑張って生き抜いてください。
きっと彼ならできるだろうなと、父親が綴る、賢い彼を見ながらそう思います。
↓、辻仁成の毎日のblog。クリックしてお読みください。


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