丁度一年ほど前、 『この海の続きの海を』 をアップし「この海の続きの海を」というカテゴリーを新しく追加しました。そこに頂いた本の写真を載せましたが本の帯無しでした、本の中に挟んでありましたのでそれをアップします。
実はここまで写真を3枚アップするのに3時間かかりました。それでもパソコンの画面では1枚目が横向きなので、スマホでは真ん中が横向き。やはりアイパッドが作業しやすく3枚とも正常。見ていただいてる方のなかに写真の位置がおかしなことになっているかもしれません、ご勘弁下さい。
さて、本題です。
この帯の各氏の推薦文に本に対する評価が集約されているかと思います。その一文に「黒田君は~。何よりも建築史研究に対する本質的な心構えを持って、」とありました。その意味を考えるうえで私は、本のなかのこの部分が参考になるのではないかと思いました。
それは、本の119頁に書かれていることで、黒田義さんの日記にある「日本建築史の方法論について」というメモの一部です。日記の日付は昭和10年12月20日。
「現代の美術史学は、マルクス主義の歴史観から非常に大切な教訓を与えられている。 1 階級性の理解に関する考察が絶対に必要なこと(ここに住宅・民家史等の研究が示唆される)。2 経済生活との関連をより綿密に扱わなければならないこと(まだ未開拓、単に藤島博士の〈建築工匠技術に関する一研究〉〈工具の研究〉等あるのみ)。
注: アンダーライン部分は本では点が打たれています。
建築史などにはまったくの門外漢に過ぎないのですから、ここに書かれていることの意義を語ることはできません。しかし、昭和10年=1935年という時代にこの指摘を置いてみて考えることの意義は大きいと思うのです。
下の写真は日本で最初の『資本論』の完訳本、高畠素之氏訳のもので昭和7年刊です。この時代の考察のうえに立って検討すべきことと思います。とはいえ、自分の専門分野に科学的社会主義(マルクス主義)の理論の基本的視点の必要性を論じていることに感銘を受けています。(『資本論』は全5冊ですが、同じ装丁のME全集が入っています。)
この点だけでも妻・黒田康子さんから意見を聞いておくべきでした。
『資本論』の持ち主はこのブログでもつぶやきました、亡くなったWさんの蔵書にあったものです。このことについても近いうちに触れたいと思います。