kaeruのつぶやき

日々のつぶやきにお付き合い下さい

知を力にすること。

2013-04-07 21:27:26 | どこまで続くかこのブログ

 『昭和史の知的人』を返しに上がりながら、かなりの時間Kさんと話込んで

きました。Kさんの手元にはあちこちに張り紙で補修した岩波新書が読みさ

しのまま伏されています、北島正元『江戸時代』です。1958年発行で、かり

に発行当時入手していれば50年以上読みこんでいたものでしょう。

 Kさんは歴史学者でもない一人の中学校・高校の社会科教師、「戦争未亡

人」と呼ばれる立場で男の子一人を育ててきたのですが、その一人息子さん

に昨年先立たれています。そういう状況のなかで一貫しているのは知的関心

の強さです。「先生は何が専門なのですか」と聞けば「何か気になることがあ

るとそっちに突っ込んでいくのよ」という。

 

 先日も地元の震災に関して講演的な話をしていましたが、その知識は古い

時代の地震を調べているうちに、関西の地質学者と交流が始まり、地元の学

者とも研究会をもったとのことです。いまは村上春樹の近著で読書会をやって

いるそうで、「あなたもいらっしゃいよ」と誘われる。この人に付き合っていれば

脳細胞が錆びることはなさそうです。

 でも先生?とこちらからも疑問を投げかけます。「そういう活動をしていて、先

生の宿願である戦争のない社会をつくる力になっているのですか?」と。

 「そうなのよ、政治なのよね」と、「でもね、忘れぽいのよ、みんな。それに権力

は騙すのがうまいでしょう」と言われる。

 

 先生を中心にまとめて一年たった『激動期の日本 逗子を語る』を来年の市制

60年にむけて、「過去のことを未来のために発信していく」ことに動き出しましょ

う、ということになりました。