ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

日本三霊(名)山

2008-07-07 09:34:16 | 四方山話
立山、白山ですが、立山については「三山の話」でご覧頂きました。で、残りの二山です。

富士山(3,776m)
「見る山であって登る山ではない」とか「一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」とか言われる富士山ですが、このところ毎年のように登っています。
海外トレッキングのための高度順化もありますが、私達にとって富士登山は加齢による体力の衰えを知るバロメーターにもなっているからです。
「不潔で物価の高い山小屋」の問題は、夏のシーズンを外すことと、六合目の宝永山荘を利用することで解消できました。

以下は初めての富士登山の思い出です。

86年7月、50歳を過ぎて初めて富士に登りました。
『75歳の義父が、一度は富士山に登っておきたいというのに便乗して、妻と3人で出かけた。
 山登りを初めてから20数年たってのはじめての富士登山だった。
 20代、30代の頃は、富士山に登るなら積雪期と決めていた。夏山の行列をTVで見ただけでうんざりし、もっぱら遠くから眺めるだけで十分だった。剣、白馬、槍、穂高、北岳、甲斐駒、木曽駒、赤岳…。さまざまな季節に数え切れぬ頂きから、稜線から、テント場からその姿を眺めても、それほど登高欲は湧かなかった。
 雪の季節になっても何度か仲間と登る機会を逸し、かといって単独で登る自信もなく、やはり眺めるだけだった。…』

 『 15時10分、新五合目発。ときどきガスが流れ冷気が沁みる。ガラガラの砂礫の中をジグザグに登る。ひねこびたコメツガとオンタデの白い花が目につくだけ。


 7合を過ぎると岩場まじりで勾配も強まるが、天候の心配も高山の影響もなく、義父は頑張って宿泊予定の8合目をパス。
 淡いブルーの夕闇が迫る頃、9合目・万年雪山荘着。満天の星と、三島、御殿場辺りの街の灯が呼応しあうようで、実に美しかった。

 翌朝、3時過ぎ頂上を目指す。すでに山肌に続くライトの列が電飾のように見える。時々眠り込むように座り込んでいる人を追い越して、4時半、富士宮神社奥宮に着く。義父は高齢者登山の記念品を授かった。社殿の前でご来光を待つ。


 紫紺の空に金粉をちりばめ、その中心に真紅の大円が静かに姿を現してくる。今、ここにある幸せを感謝する一ときだった。


 快晴の空の下、ドームが眩しい最高峰に立つ。


 大沢の方角に見事な影富士を見る。


 外輪のお鉢巡り(現在は別の道となったが、稜線を忠実に辿るコース)、白山峰では外国人と国際交流のひとときを持ち…』

11時、駐車場に下山しました。

 義父は午後は富士五湖巡り。清水で泊まった翌日は清水、三保の松原、日本平、久能山、登呂遺跡を見て回り、まったく長旅の疲れも見せませんでした。98歳の今も、記念の焼印を押した杖と私の焼いた写真を床の間に飾って、当時を懐かしんでは喜んでくれています。