ペンギン夫婦の山と旅

住み慣れた大和「氷」山の日常から、時には海外まで飛び出すペンギン夫婦の山と旅の日記です

御在所岳(2) 中道を下る

2011-08-26 17:04:40 | 山日記

しばらく腰を下して休んだ後、広い舗装の道を西に歩く。表道分岐付近は整備工事が進んでいるが、その先では道脇にミヤマママコナが群れ咲いていた。武平峠への道を分け、広い石段を登ると西公園の最高点に着く。山上公園駅からこの近くの西駅までリフトが通じているので、ここも家族連れなど観光客が多い。しかし、気の毒にもガスが濃く展望は全くない。滋賀・三重県境の標識の前で記念写真を撮る子供たちに、琵琶湖や比良など、ここ夕陽台からの展望を見せてあげたいものだ。



 懐かしい1212m三角点標識の前でしばらく待ったが、晴れる見込みはなさそうなので引き返す。山上ロープ駅の下を通って東の朝陽台へ。ここも大勢の人で賑わっている。中道への降り口にあるベンチで昼食を済ませ、富士見岩へ行ってみる。



 足元にイノシシを従えた古い石仏は健在だったが、ここも展望はゼロだった。雑誌のグラビアから抜け出したような山ガールが、挨拶をして颯爽と下っていく。



 私たちも樹林帯の急坂を下りだすが、すぐに若いペアが登ってきて道を譲る。登りの一ノ谷新道と違って、ここ中道は登山者が多い。この後は何度も道を譲ったり、あとから来た人と前後したりした。特に新しいウエアや靴の若い人が多い。中にはレジャー気分でちょっと危なげな人も見かけたが、ともあれ一時は中高年に占領されていた山に、若い人の姿が増えたのは喜ばしいことだ。



じめじめして水の流れている岩場を慎重に下って、大きな岩峰を登り返すと「八合目1100m」の標識があった。



急坂を下り六合目でしばらく休む。岩の間にミヤマママコナが咲いていた。



 樹林帯を抜けると開けた鞍部でここからキレットの登りになる。鎖も付いているが階段状のしっかりした岩場で、ここは登りの方がぐんと楽だ。

 

 再び林の中の急坂を下ると「地蔵岩」の上に出る。国見尾根がかすかに見えるが釈迦ヶ岳は雲の中だ。午後のこの時間になっても、まだ登ってくる人が何組もいる。少し下の大岩の上に「五合目・ロープウエイ展望」という立札があり、何人かが休んでいた。



そのまま進むと二つの岩が斜めに重なった「おばれ石」がある。地蔵石といい、おばれ(負ぶわれ)石といい、見るたびに自然の造形の巧みさに驚かされる。



中道の通る尾根には他にも花崗岩の巨石がごろごろしている。その横を捲くように下っていくと右手が開け、いつもなら鎌ヶ岳の鋭鋒が見えるところに来る。ロープウエイの下を潜り過ぎて再び樹林帯の下りになる。
 
傾斜がやや緩み、涼しい風が吹き上げてくる頃に裏道への分岐がある。この先は崩れた花崗岩の砂地で急傾斜の溝状になっている。ザックの背に差していたストックを引っ張り出していると、先ほど五合目の岩の上で休んでいた山慣れた服装のペアが裏道の方に、単独行の男性はすたすたと先に下って行った。

 

最後の難場の溝状の下りには長いロープやハシゴもあり、結構長く続く。うんざりする頃に川の音が聞こえだし、木製ハシゴを下ると目の前に国道が見えた。

年相応にタイムは気にせずに歩くように努めたが、それにしても特に下りは足元が見え難くて少し時間がかかった。涼しさを求めて行った山だが、頂上付近の他は湿度も気温も高く、おまけにここにもアブなど羽虫が多くて決して快適とは言えなかった。しかし岩場の登降では何の不安も感じず、心配した足も膝も全く痛まなかったので、少し自信を回復できて収穫のある山行になった。