夕方暗くなるのが早いなあと思うこの頃、こんな万華鏡に出会いました。
依田満さん、百合子さんご夫妻の「夕暮れどき」という作品です。 底のほうに深い藍が溜まったようなガラスの筒ですが、全体が透明感にあふれています。透明なガラスの筒にミラーシステムを入れるのは、ミラーの裏側が見えてしまうのであまりありません。 でもこの万華鏡は、その青い透明感を生かした素敵な万華鏡だと思いました。
ミラーシステムをすりガラス状の筒に入れて、透明な筒の中に入れています。
藍色のガラスの底(筒の下から1/3ぐらいのところ)はすり鉢状になっていて、そこにガラスのオブジェクトが入っています。 上の覗き口から見ると、青を背景にガラスオブジェクトの織り成す3ミラーの魅力的な色模様が見えています。 筒全体を回して映像の変化を楽しみます。
オブジェクトセルとミラーシステムの境目、外のガラスとミラーシステムの間には色とりどりのビーズの粒がお洒落なアクセントになっています。
この作品と同じタイプで小型の万華鏡も並べてみました。前の2点です。 「アクア」というタイトルが付いています。
クリアな筒にはクリアなガラスビーズを筒とミラーシステムの間の装飾に使っています。
色を感じない透き通った作品ですが、オブジェクトはやさしい色の組み合わせでこんな映像になります。
赤紫色のガラス、ヴァイオレットの筒も、深い色が立ち上ってきながら、透明感を生かした筒になっています。 背景の色を映しこんで、深く豊かな赤や紫に染まった色模様は、繊細な造りのガラスオブジェクトによって、魅力的なものになりました。
依田さんは様々な素材の持ち味、美しさを生かしながら、そこにミラーシステムを組み込み、オブジェクトを入れ込んで、万華鏡の命を吹き込みます。 この菅原工芸硝子(株)によるハンドメイドの美しいガラスが、万華鏡として新たなカタチとなり、ガラスの魅力をも伝える作品になっていることに感動します。 そこにはガラス職人さんの、そして万華鏡作家さんの想いの両方が閉じ込められているのですから。