最近の東急吉祥寺店での万華鏡展に出品された小林綾花さんの万華鏡「祈りの旅」をご紹介します。
Record of Memory シリーズは地球の歴史や魂の歴史がテーマだそうです。 日本古来の信仰や精神性、万物への畏敬の念を込めて作品を製作なさっています。
この作品に刻まれた模様は、そんな小林さんの想いと、そこに見つけた美を表現しています。具体的には、日本列島を中心に、日本各地の聖地、神社の社紋、そして日本古来の文字ではないかといわれている「ヲシテ文字」を配したデザインです。
万華鏡の素材は彫金と金属腐食の技術を使った真鍮製のボディーと、天然石、スワロフスキークリスタルをメインにしたオブジェクトです。
独特のきらめを見せながら、絶えず変化し続ける美しい模様は、輪廻転生を表すかのよう。 人類の歴史の中で刻まれてきた魂の記憶という壮大なテーマを、自分なりのスタイルの中でみごとに表現しています。 若手作家さんの一人ですが、このように深いテーマに挑戦なさっているところがすごいですね。
今まで見ていた映像が壊れ、そこに新しいものが生まれる。その繰り返しと流れが万華鏡の面白さとするならば、まさに滅び、栄えながら時を刻んできた文明の歴史や人類の魂の旅にも通じるものがあるように思います。 小林さんの壮大なテーマに、こんなことを思いました。
通常の定番作品とは違う、パーラー型の作品で、手に持たずに見ることができ、先端部は滑らかに回転させることができます。 すべての部品を手作りなさっている手の込んだ万華鏡です。
(写真は作家さんのブログから許可を得て使わせていただきました)