万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

こだわりの映像表現 高林千稔さん

2017-07-22 15:50:25 | 万華鏡ブログ

今日ご紹介するのは、高林千稔さんの「-So-un-」(そううん)という新作です。スタイリッシュなこの作品にはいろいろな工夫があります。手になじむ大きさ、置いたときの安定感、特徴のある大きなガラスのオブジェクトセル、覗きやすさを追求したアイホール、滑らかなオブジェクトケースの回転、完璧なミラー組み・・・万華鏡の機能的な部分へのこだわりがたくさん感じられます。
使われている木材は、明るいほうは普通の欅、暗い色合いのほうは、火山灰等に千年以上埋もれていたとされる神代欅です。

そしてもちろん映像へのこだわりも高林さんらしさ全開です。
ガラスのオブジェクトケースはひとつひとつ手吹きで制作したもの。凹凸のラインをつけて外からの光が内側に透過した際に光の筋になるように考えました。
背景には厚さの異なる2枚の和紙を張り合わせ、通過した光を均一に拡散させる和紙の性質を生かして、映像への効果を考えています。

オブジェクトはガラスと和紙。
陰影のある白のオブジェクトを引き立たせるため、ガラスオブジェクトの表面にエッチング加工をしたり、陰影のあるガラスオブジェクトに和紙を巻き付けたり、群青の岩絵の具を塗った和紙を貼ったりするなどかなりユニークなオブジェクトが組み込まれています。また太陽光と蛍光灯下で色が変化する特殊なガラスも使っているそうです。

こちらは2ミラー(神代欅)の映像です。和紙を透過した光がオブジェクトと響きあって生まれた陰影のある模様が特徴です。

万華鏡作家としてのスタート時点から白い陰影のあるオブジェクトにこだわり続けてきた高林さんの新たな試みはいかがですか? 作家さん自身の言葉で説明していただかなければ想像もできない細部へのこだわりと生み出された結果に感動を覚えます。
「ドライスコ―プの良さの一つである、回しながら一瞬の変化を楽しむことに加え、極端に回すスピードを落とし、動かさずとも、一つの灯りに対し自らが動くことで変化を楽しんでいただくことを提案したスコープです。」これも作家さんのメッセージです。

 

 

 

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