時遊人~La liberte de l'esprit~

優游涵泳 不羈奔放 by椋柊

居眠り磐音 江戸双紙45 ~空蝉ノ念~1

2014-01-09 | 読書
天明四年三月
増改築の済んだ小梅村の尚武館道場に
旅塵にまみれた老武芸者が現れ
坂崎磐音との
勝負を願い出た
その武芸者は
なんと直心影流の同門
肘砕き新三(しんざ)こと
川股新三郎だった



坂崎磐音に終わり
坂崎磐音に始まりました

今回も
エピソードには
事欠きません

冒頭
登場した老武芸者は
直心影流
三代目長沼正兵衛綱郷活然斎の直弟子
川股新三郎が
坂崎磐音との
真剣勝負を挑んで参ります

因みに
三代目・長沼正兵衛は
愛宕下田村小路
天徳寺門前に道場を開き
佐々木玲圓をはじめとする
五人の剣術家を輩出した人物で
長沼道場は
名声も高く門弟の数も
神田・神保小路
直心影流佐々木道場を
凌ぐ大所帯
にも関わらず…

川股新三郎と
磐音は
言わば兄弟弟子
なんでまた
同門同士が
戦わねばならぬのか…

皐月の頃に行われる
「尚武館道場改築祝い 大名諸家対抗戦」の
メイン行事の前に
坂崎ファミリーのひとり
松平辰平の嫁取り問題
そうです!
博多の大商人
箱崎屋次郎平と
末娘・お杏が
江戸にやって参ります

しかも
辰平さんは
御三家のひとつ
紀州徳川家と
福岡藩黒田家から
仕官への誘いが舞い込みます

44完~湯島ノ罠~で
重富利次郎さんの
仕官先に目処がたち
伴侶も決まりました
そして
今回は
辰平さんにも…


佐野善左衛門が
何故か
陸奥白河藩藩主松平定信に匿われ
江戸の
白河藩邸に
大目付松平対馬守忠郷
若年寄太田備後守資愛(おおたびんごのかみすけよし)等々
幕閣の面々が集結
松平定信が
自ら脇差を
佐野善左衛門に渡したぁ~?

田沼意次&意知親子vs坂崎磐音の構図が
ここにきて
田沼vs幕閣連合+佐野善左衛門?
に変わりつつあります
磐音としても
これ以上
幕閣の
抗争に関わるのは
直心影流尚武館道場の本分を
逸脱しているのでは?
と気付き
暫し
状況を達観するようです

ラスト
月参りに
東叡山寛永寺境内
別当寒松院
佐々木家の隠れ墓を前に
養父・玲圓の霊と
暫し問答を通し
磐音の中に
ある迷いが
生じていることを
読者が
確実に知ることとなります

人の来し方を定めるのはひとではあるまい
歳月よ
過ぎ去った歳月がその者の生き方を評する
磐音
死者より生者の気持ちを慮れ


己が成すべきことが
何であるのか
改めて
問う時期にきており
それは
磐音のみならず
多くの人たちの行く末を
決定づける
重要な案件なのでございまし…
と同時に
それが決まったら
居眠り磐音江戸双紙が
終わると言うことで…


個人的には
磐音と田沼意次親子の
直接対決は
ないかなぁ~と