ガンジス沐浴と宗教

ガンジス沐浴で健康リスク＝大腸菌の汚染深刻―インド
こういう宗教的な儀式はやめるのが難しいですからね・・・

イスラムの豚食禁止も、おそらくムハンマドの時代には寄生虫のいる豚を食べて多くの被害が出たためだと推測されますが、衛生状態が改善した現在でも、食べないどころか調理器具さえ共用しないレベルで徹底した禁忌が守られているわけです。もはやそれ自体がその信仰の習熟を高める指標にされてしまい、理由付けがなくとも「守る」ことが目的化されてしまっているのですよね。ハラール食など配慮した食品も作られていますが、あれも厳しい基準があり認定をもらうのも大変らしく、最早ここまでくるとブランド商法となんら変わりません（笑）

話が逸れましたが、ガンジス沐浴は日本で言うと禊にあたる儀式のようで、ケガレを払うために行っているようです。当然体は清潔にしておいた方が病気などにかかりにくくなりますし、古くは理に適った非常に効果的な儀式だったのでしょうけど、その水自体が汚れてしまっているのでは本末転倒になってしまいますね。また豚の話に戻りますが（笑）豚が自分の糞まみれの泥を体中に塗りたくるのは、自身の皮膚にいる寄生虫を殺したり、体温を調節したりするためであり、実は意外に合理的で衛生的な行為だったりするのです。人間視点では「あんな汚い行動をするなんて」と思っても、本人が良かれと思ってやっていることを止めさせることは、よほど根気よく説得（洗脳）するか、強制的にでもしない限り不可能でしょう。「もっといい方法がある」ということに気づき、そちらに乗り換えることは、それこそ本人にとっては宗旨替えをするくらいの難事なのです。歴史的に見ても、科学の発展の最大の障壁は宗教だったりしますからね。

ところで、日本人は意外にそういう古い風習からは簡単に脱却して、より良いものへと鞍替えしやすい民族だと思います。今でも神事で川に入り禊を行うことはありますが、普段身を清めるときは普通に風呂に入りますし、海外式に習ってシャワーで済ませる方もいるでしょう。ただ、その頻度は世界中を見渡しても非常に多いですから、「身を清める」本来の趣旨を突き詰めた結果、川よりも有効な手段を柔軟に取り入れたわけです。牛や豚などの肉食も昔は禁忌でしたが、文明開化とともに自然に日本食になりました。それはおそらく「執着を捨てよ」という仏教の思想と、和を大切にする神道の影響があるからでしょう。外来の文化を拒絶するのではなく、時には折衷的に取り入れ、より高い次元に昇華させていくわけですね。

日本はよく無宗教だと言われますが、実は世界中で最も合理的で自由な宗教心をもっているのではないでしょうか。