いわゆるサクラを使っていたわけですな。
報道とは、まず「伝えたいこと」があるAさんがいて、それをBさんが取材して「分かりやすく伝える」のが一般的な流れです。Aさんはその道のプロですが伝えるプロではありませんから、Bさんの力が必要です。また、Aさんとは真反対の考えをもつCさんが出てきたとき、どちらにも取材してA,Cそれぞれの論点と相違点を「分かりやすく伝える」ことも、Bさんの手腕が問われるところです。
テレビ朝日の立場は報道陣ですから当然Bさんになりますけど、やってることはAさんなのですよね。先に伝えたいことがあり、分かりやすく伝えるためにA’さんを雇ってAを装うように頼んでしまったわけです。これの何がいけないかというと、Cさんがいた場合に「双方の意見を伝えよう」とは思わず、「Cは間違っている」と決め付け、報道しないか一方的にAの意見だけをごり押すような、より偏向的な内容になってしまうのです。そう考えると、今回指摘されたケースは氷山の一角であり、思い当たるような内容が多々見つかってくるのではないでしょうか?
たとえばニュースでは、40度を超えると「暑いですね」というようなコメントを拾ってこなければいけませんが、そもそも暑すぎるので人がいないですし(笑)コロナも相まってインタビューも嫌がられるでしょう。そんな時に都合のよいコメントを言ってくれる人を頼んで言ってもらうというような小さなズルがまかり通れば、いつでも都合のよいコメントは人を雇って言わせればいいや、ということになっていってしまいますね。
ただ、最近はSNSが発達してるので、「この人物がいつもインタビューを受けている」という情報はすぐに拡散してしまいます。細かいところから、繰り返すと嘘や捏造はだんだん人の目に触れやすくなり、次第に露見しやすくなります。これで目が覚めて自浄的に報道姿勢を改めてくれることを期待したいですな。