川本ちょっとメモ

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菅新政権の、財政再建ではなく財源確保のための大増税への道

2010-07-01 18:28:57 | Weblog


DIAMOND online 2010年6月11日 「岸博幸のクリエィティブ国富論 第92回――菅新政権の第三の道は、財政再建ではなく財源確保のための大増税への道だ」からノートしました。岸博幸氏は慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授です。


<“財政再建のための増税”にだまされるな>

(1) 今の政府にはまだムダが山ほど残っていて、かつ民主党のバラマキ政策が基本的に温存されている。それを放置したままで、財政再建だけを錦の御旗にして、菅総理が消費税増税を訴えている。

(2) 鳩山政権は事業仕分けで行政のムダを削減しようとした。しかし過去2回の成果からも明らかなように、マニフェストで約束した“行政のムダ削減による新規政策の財源捻出”は、初年度から実現できなかった。

(3) 公務員の「退職管理基本方針」が新たに策定された。役所の幹部クラスの年次の人でそれなりの幹部職に就けない人のために、高級専門職ポストを新設するようだ。今の政府は民間企業で言えば破綻状態であるにもかかわらず、仕事がない人にも高い給料を払い続けようとしている。これは、行政のムダを温存する典型例だ。

(4) 民主党がマニフェストに掲げたバラマキ政策は、子ども手当など一部で見直しの方向になっているが、全体としては大きく修正されていない。

(5) 菅総理は財務大臣時代、“来年度予算での国債発行額を今年度と同じ44兆円に抑える”と発言した。44兆円という異常な数字を基礎にすること自体が不当だ。今年度予算は税収が37兆円に対して国債発行が44兆円。収入45%+借金55%という前代未聞の赤字会計だ。小泉時代は国債発行額を30兆円に抑えようとしていた。

(6) 今のままでは、実質的には“財政再建と政府のムダ&バラマキの財源確保のための大増税”となりかねない。目指すべきはそうではなく、“財政再建のための最小限の増税”のはずだ。

(7) 消費税1%あたりの税収は2兆5千億円なので、国債発行44兆円を賄うならば、現行の5%に18%程度は上積みしないといけない。でも、財政再建だけのためだったら、消費税率は例えば10%程度で済むはずだ。政府のムダとバラマキ政策を改善しなければいけない。


<“第三の道”にだまされるな>

(1) 菅総理は、経済政策についての「第三の道」発言をしている。増税をしても、その税収を社会福祉や医療、環境などの雇用創出につながる分野に政府が“賢く支出すれば”経済は活性化する、という。

(2) 政府が賢い支出をしてきたかどうかは、過去の実績からも明らかだ。政府がこれまで賢くない支出をしてきたと認識したからこそ、民主党はマニフェストで行政のムダを大胆に削減すると約束した。そして、過去2回の事業仕分けの成果からも分かるように、そのムダを削減することは並大抵ではできない。

(3) そうした状況にもかかわらず、民主党が政権を持っていれば政府は賢い支出をできるようになるんだと言われても、誰がそれを信用できるだろうか。

(4) そうした“政府による賢い支出”の事例としてスウェーデンなどの北欧諸国が挙げられている。しかしそれを真に受けてはいけない。スウェーデンの人口は925万人、デンマークは550万人。日本でそれに近い数字を探すと、神奈川県が900万人、福岡県が500万人だ。

日本の地方自治体レベルでならば、北欧諸国のように市民が政府をしっかり監視して、政府のムダを排除するとともに賢い支出を行なうことも可能かもしれない。人口1億2千万という日本で、それと同じことを期待できるだろうか。1億2千万の国民生活を支える公務員の数は膨大な数になる。

(5) こう考えると、この“第三の道”の主張は非現実的と言わざるを得ない。菅総理の主張に媚びた発言をする学者いるが、行政現場の経験もない机上の空論をベースに、1億2千万人を道連れにしかねない失敗確実な実験は控えるべきだ。

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