昨日2014年11月18日夜、安倍首相が記者会見をして、衆院解散を表明しました。解散の名分は、消費税率10%引き上げを延期することに国民の信を問うものです。来年2015年10月の10%引き上げ実施予定を取りやめて、2017年4月へ先送りする。その後の再延期はしない。安倍首相はこう話しました。
しかしながら、消費税率据え置きは多くの国民が望むところです。また、消費税を8%に上げるに際して、2015年10月の10%への引き上げはその時点での景気判断に依拠すると、法律に規定しました。これが「景気条項」で、安倍首相の税率据え置き決断はこの法律に倣っています。ですから、このたびの衆院解散は、国民に信を問うという性質のものではありません。安倍首相の本来の意図は別のところにあると言えます。政治の世界のことですから、当然、政略解散と言えましょう。
消費税率引き上げについて、「景気条項」と言われる法律の条文を下に掲載します。
◇ ◇ ◇
<社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律>
附 則
(消費税率の引上げに当たっての措置)
第18条 消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済 の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
2 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指 標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。
◇ ◇ ◇
上記法律の附則第18条において、消費税率引き上げの目安を平成23年度~平成32年度までの平均経済成長率に置き、名目3%、実質2%としています。経済成長率を中心としてその他の諸条件を勘案したうえで消費税率10%引き上げの施行停止もあり得ます。
わざわざ再引き上げ前に景気の動向・条件を検討しなさいと法律で条件づけています。だから10%引き上げを予定期日通りに実施しなくても、これは何の問題もありません。8%引き上げに際して国民に約束し、法律で定めたことに従って実行しようとするのになぜ衆議院を解散するのでしょうか。
安倍首相は行き過ぎた円安を生み出し、行き過ぎた財政支出など、かなり危ない経済政策をとってきました。11月18日の「衆議院解散」記者会見では、自らのアベノミクス経済政策の継続に熱意を見せています。しかし11月17日発表の7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期連続のマイナス成長となり、欧米にも「予想以上の悪化」として速報されました。
◇ ◇ ◇
「衆議院解散」記者会見で安倍首相は、上の「景気条項」を外して、2017年4月には必ず10%に引き上げると言明しました。これは注目すべき点です。景気政策のために放漫な金融緩和、過大な財政支出をしてきましたから、次は何が何でも消費税率を引き上げなければいけない、というのが安倍政権の事情です。
しかし、私は消費税据え置き、あるいは5%へ復帰、あるいは消費税撤廃をして、税制全域の見直しによって国庫収入の増収を計るべきだという意見です。
----------------------------------------
<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則の緩和、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍政権は最も危険な政権です。
安倍内閣打倒の機運を盛り上げていきましょう。与党であれ野党であれ、安倍首相と同じ考えの人、同じ路線の人を選挙で落としましょう。