川本ちょっとメモ

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安倍研究(8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ

2015-04-13 21:46:06 | Weblog


前記事・安倍研究(6) で述べたように、安倍首相の考え方の基盤には「維新長州」があります。思想的バックボーンと呼んでいいかもしれません。なにしろ名前の一字は高杉晋作から取っているのです。そして吉田松陰を「松陰先生」
と呼んでいます。

幕末・明治維新の舞台は、源氏・平氏争乱の舞台、織田・豊臣・徳川の戦国舞台と並んで、国民に人気の高い舞台です。日本沿岸に出没する外国軍艦に、平和な時代を脅かされる極東の島国、幕末日本。その極東の島国が、大国ロシアに戦争で勝つまでに成長した明治日本。大転換を果たして危機を克服した日本、大国である清国やロシアにも勝った日本。この勝利の記憶、勝利のドラマ、成功体験が日本人の誇りを刺激します。これが、維新ものが日本人に人気の高い所以でしょう。


<明治維新型日本の歴史は戦争オンパレード>

徳川時代は平和がつづきました、しかし、明治以後の日本には戦争がつづきました。「明治維新型日本」、すなわち明治維新~昭和20年(1945年)8月敗戦までの日本は、戦争オンパレードでした。

  元和堰武     1615年(元和 1年) 3月 大坂夏の陣、豊臣氏滅亡
  王政復古     1867年(慶応 3年)11月 大政奉還、徳川府滅亡
  戊辰戦争     1868年(明治 1年) 1月~1869年(明治 2年) 6月
  台湾出兵     1874年(明治 7年) 5月~10月
   (沖縄県設置) 1879年(明治12年) 4月 琉球併合
  日清戦争     1894年(明治27年) 7月~1895年(明治28年) 4月
   (台湾民主国独立)1895年(明治28年) 5月23日独立宣言
  台湾出兵     1895年(明治28年) 6月~10月 台湾独立軍平定
   (台湾割譲)  1895年(明治28年) 6月 日清 下関条約
  義和団の乱=北清事変 1900年(明治33年) 6月 8ヵ国連合軍の主力 
  日露戦争     1904年(明治37年) 2月~1905年(明治38年) 9月
   (韓国併合)  1910年(明治43年) 8月 韓国併合条約
  韓国義兵討伐戦  1907年(明治40年)~ 1910年(明治43年)
  第1次世界大戦  1914年(大正 3年) 8月~1919年(大正 8年) 6月
   (ロシア革命) 1917年(大正 2年) 3月 2月革命
  シベリア出兵   1918年(大正 7年) 8月~1922年(大正11年)10月
  国際連盟発足   1920年(大正 9年) 1月20日 日本は常任理事国
  中国山東省出兵  1927年(昭和 2年) 5月~8月 中華民国軍と戦争
  満州事変・満州占領1931年(昭和 6年) 9月~1933年(昭和 8年) 5月
   (満州建国宣言)1932年(昭和 7年) 3月 1日
  日本、国際連盟脱退1933年(昭和 8年) 3月27日 正式に脱退通告
  盧溝橋事件    1937年(昭和12年) 7月 7日夜 日中両軍衝突
  日中戦争     1937年(昭和12年) 7月~1945年(昭和20年) 8月
  ノモンハン事件  1939年(昭和14年) 5月~9月 ソ連満州国境戦争
  北部仏印進駐   1940年(昭和15年) 9月
  南部仏印進駐   1941年(昭和16年) 7月
  太平洋戦争    1941年(昭和16年)12月~1945年(昭和20年)8月

  ※シベリア出兵はロシア革命干渉戦争です
  ※満州とは清朝(満州族)の故地である満州に当たる東三省(遼寧省・吉林省・黒竜
   江省)を言う。現代中国東北部のこと。
  ※仏印とはフランス領インドシナのことで、現在のベトナム、ラオス、カンボジア。


<「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」>

1615年、大坂城落城・豊臣氏滅亡。1867年、王政復古・大政奉還で徳川幕府滅亡。約250年の江戸時代、海外出兵・戦争がありません。

1868年(明治元年)から1945年(昭和20年)まで、約80年間。戦争をくり返してきました。

1945年(昭和20年)から2015年(平成27年)。日本はこの70年間、戦争も海外出兵も、しなくてすみました。「戦後70年間の平和」な時代にどれほど感謝しても、感謝しきれません。

安倍首相が言う「戦後レジーム」とは、この「戦後70年の平和」な時代のことです。

「戦争がない」ということは、「しあわせな生活」を送っていくための基礎条件です。世界を見渡せば、昔も今も、争乱の悲哀に苦しみながら生活している人々が絶えません。勇敢なジャーナリストの手になる報道写真や映像を日夜見て、戦火の下の暮らしと日本の暮らしの違いに感謝しなければ……と私は思います。


<「戦後レジームからの脱却」は「明治維新型日本のリメーク蘇生」>

 前記事「安倍研究(6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす」の <そして、明治維新型日本は滅びた> の項で述べたように、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」は、「明治維新型日本」を現代風ファッションに包んでリメークしているだけのことです。

さらにつけ加えるなら、第一次安倍内閣の政策スローガンであった「美しい日本へ」は、第二次安倍内閣の「戦後レジームからの脱却」とめざすものは同じ
「明治維新型日本」の蘇生です。

滅びた「明治維新型日本」をリメークし、リバイバルさせる、蘇生させる。これが「戦後レジームからの脱却」構想です。

 安倍首相の「戦後レジーム型日本」、すなわち昭和20年(1945年)10月マッカーサー占領政治開始~現在までの日本は、70年間も平和な日本でありつづけてきました。これに反して、「明治維新型日本」の80年間は戦争に明け暮れて、遂には滅びたのです。


戦後時代の平和を大事にすることを、「平和ボケ」と非難する人がいます。そのひそみにならうなら、明治維新から昭和20年敗戦までの時代に生きた日本の指導層と天皇は、「戦争ボケ」していたということになりはしませんか。

しかし、「平和ボケ」と呼ばれるほどに平和を求めて何が悪いのでしょうか?


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く

 

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<私のアピール>
 2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。 


 
 
 
    


 
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