2018/08/27
<昭和天皇> 「戦争責任をいわれる」と苦にしていた 臣民を不幸・窮状に追いこんでしまった自責懺悔の念は見当たらず
2015/01/26
沖縄米軍基地――1968年佐藤首相沖縄訪問演説と1947年昭和天皇沖縄メッセージ
2005/06/25
昭和天皇の政治的発言(6月1日朝日新聞記事転載)
<昭和天皇> 「戦争責任をいわれる」と苦にしていた 臣民を不幸・窮状に追いこんでしまった自責懺悔の念は見当たらず
2015/01/26
沖縄米軍基地――1968年佐藤首相沖縄訪問演説と1947年昭和天皇沖縄メッセージ
2005/06/25
昭和天皇の政治的発言(6月1日朝日新聞記事転載)
1947年9月、昭和天皇が日本占領中の連合国軍最高司令官マッカーサー元帥に沖縄・琉球諸島の長年月の占領継続を提案しました。提案は下のような内容です。
領土主権は日本に残し、施政権は米国が持ち、基地に接収した土地には借地料を払う。こうすれば、領土を取る野心がないと日本国民に理解できるので、日本国民は安心するだろう。借地期間は25~50年またはそれ以上。
……昭和天皇によるマッカーサーへのこの提案の意味は「沖縄・琉球諸島の米国租借地へのススメ」です。
天皇の使者として御用掛の寺崎秀成氏が連合国軍総司令部の政治外交のトップ級外交官W.J.シーボルト氏に昭和天皇の提案を伝えました。寺崎秀成氏は1947年2月、天皇の御用掛に任命され、通訳も務めました。
提案を受けたW.J.シーボルト氏は、連合国軍総司令部外交局長、同総司令部米国務省代表、マッカーサー元帥の代理人などを務めました。シーボルト氏はこの内容をマッカーサー元帥とワシントンの国務長官に報告しました。
ワシントンの国務省長官に宛てた報告書には、「この提案の動機は天皇の利己主義にある」と書かれていました。
敗戦2年後の1947年当時、昭和天皇は国内における共産革命を恐れていました。そうなれば、天皇自身への戦争責任追及再燃、天皇家廃絶という事態に至ります。
昭和天皇が本土と分離した沖縄・琉球諸島の長年月占領を望んだ動機がそこにあることを、シーボルト氏はわざわざ「天皇の利己主義にある」と書き残したのです。
「昭和天皇の利己主義」が、昭和天皇没してなお沖縄県民を苦しめています。
※ここに掲載する文書のPDFが、沖縄県公文書館で公開されています。 → クリックする
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※【文書要点】
1.日本国天皇は、使者を通じて沖縄・琉球諸島の25年~50年もしくはそれ以上の長期にわた
る軍事占領継続を提案した。
2.軍事占領の方式は米軍基地の借地契約が良い。これで日本国民は米軍占領を歓迎するだろ
う。
3.米軍の沖縄・琉球諸島占領継続の手続きとして、連合国と日本との講和条約の一部分とい
う手続きは好ましくない。日米二国間条約に基づく米軍占領という手続きが望ましい。
4.これは米国にとって利益をもたらし、日本にとっては共産革命から保護され、ソビエトロ
シアや中国の介入を防ぐことになる。
アメリカ合衆国東京駐在対日政治顧問
1947年(昭和22年)9月22日発
至急報No.1293
「琉球諸島の将来に関する日本国天皇の意見」
[コピー]
連合国軍総司令部
連合国軍最高司令官
外交極秘
1947年9月20日
連絡 マッカーサー元帥
天皇の顧問である(注・宮内省御用掛)寺崎秀成氏が、沖縄や琉球諸島の将来に関する天皇の考えを伝える目的で私に会いにきました。 天皇の見解では、そのような占領は米国に利益をもたらし、また日本を保護するだろうとの見解である。
ロシアの脅威だけでなく、ロシアが日本で内部的に興味深い基盤として利用できる「事件」を引き起こすかもしれない右翼的左翼的グループの成長という占領終了後を恐れる日本国民の間で、このような動きは広く認められていると天皇は感じている。
天皇はさらに、沖縄の軍事占領(必要な場合もあるかもしれない他の島々)は、日本で主権を保持して25年から50年もしくはそれ以上の長期借地契約という擬制に基づくべきであると感じている。 天皇によると、この占領方式は、米国に琉球諸島の永続的な企てがないことを日本人に確信させ、他の国、特にソビエトロシアと中国は、それによって同様の権利を要求することができなくなるだろう。
手続きに関して、(沖縄やその他の琉球諸島の)軍事基地権の取得は、連合国の対日平和条約の一部分という形よりも、日米間の二国間条約によるものであらねばならないと、寺崎氏は感じた。 後者の方法は、寺崎氏によると、与えられた平和をあまりにも味わい過ぎて、将来的には日本人の好意的な理解を危うくするかもしれない。
W. J. Sebald
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※【文書要点】
1.日本国天皇は、沖縄・琉球諸島の長期軍事占領を望んでいる。(天皇の意思)
2.軍事基地の占領方式は借地契約が良い。これで日本国民が米軍占領を歓迎するだろう。
(天皇の提案)
3.天皇の提案は利己主義に基づくものである。(シーボルト氏)
アメリカ合衆国対日政治顧問
東京 1947年9月22日
No. 1293
<主題> 琉球諸島の将来に関する日本国天皇の意見
国務長官閣下
謹啓 マッカーサー将軍宛て1947年9月20日付の簡単な覚書コピーを同封いたします。この覚書には、天皇の顧問である寺崎秀則氏自身が望んで当オフィスを訪ねてきた時の、寺崎氏との会話の要点を記してあります。
日本国天皇が、沖縄や琉球の諸島の軍事占領を継続することを望んでいることに留意してください。天皇の望みが主に利己主義に基づくものであることは疑問の余地がありません。 天皇はまた、長期借地を通じてこれら島々の米国軍事占領の継続を想定している。
天皇の意見によれは、日本国民はそれによって(川本注:借地契約)、米国には隠された動機がないと確信することになり、米国による軍事占領を歓迎するだろう。 敬白
W. J. Sebald
Counselor of MIssion
同封物: マッカーサー将軍宛て1947年9月20日付覚書コピー
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Enclosure to Despatch No.1293 dated September 22, 1947 from the United States Political Adviser for Japan, Tokyo, on the subject "Emperor of Japan's Opinion Concerning the Future of the Ryukyu Islands".
COPY
GENERAL HEADQUARTERS
SUPREME COMANDER FOR THE ALLIED POWERS
Diplomatic Section
TOP SECRET
20 September 1947
MEMORANDUM FOR: General MacArthur
Mr. Hidenari Terasaki, an adviser to the Emperor, called by appointment for the purpose of conveying to me the Emperor's ideas concerning the future of Okinawa and other islands of the Ryukyus. In the Emperor's opinion, such occupation would benefit the United States and also provide protection for Japan. The Emperor feels that such a move would meet with wide-spread approval among the Japanese people who fear not only the menace of Russia, but afer the Occupation has ended, the growth of rightist and leftist groups which might give rise to an "incident" which Russia could use as a basis for interesting internally in Japan.
The Emperor further feel that United States military occupation of Okinawa (and such other islands as maybe required)should be based upon the fiction of a long-term lease--25 to 50 years or more--with sovereignty retaind in Japan. According to the Emperor, this method of occupation would convince the Japanese people that the United States has no permanent designs on the Ryukyu Islands, and other nations, particulary Soviet Russia and China, would thereby be estopped from demanding similar rights.
As to procedure, Mr. Terasaki felt that the acquisition of "military base rights" (of Okinawa and other islandsin the Ryukyus)should be by bilateral treaty between the United States and Japan rather than form part of the Allied peace treaty with Japan. The latter method, according to Mr. Terasaki, would savor too much of a dictated peace and might in the future endanger the sympathetic uderstanding of the Japanese people.
/s/ W. J. Sebald
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UNITED STATES POLITICAL ADVISER
FOR JAPAN
Tokyo, September 22, 1947
No. 1293
SUBJECT: Emperor of Japan's Opinion Concerning the Future of the Ryukyu Islands.
The Honorable
The Secretary of State,
Washington.
Sir:
I have the honor to enclose copy of a self-explanatory memorandum for General MacArthur, September 20, 1947, containing the gist of a conversation with Mr. Hidenari Terasaki, an adviser to the Emperor, who called at this Office at his own request.
It will be noted that the Emperor of Japan hopes that the United States will continue the military occupation of Okinawa and other islands of the Ryukyus, a hope which undoubtedly is largely based upon self-interest. The Emperor also envisages a continuation of United States military occupation of these islands through the medium of a long-term lease. In his opinion, the Japanese people would thereby be convinced that the United States has no ulterior motives and would welcome United States occupation for military purposes.
Respectfully yours,
W. J. Sebald
Counselor of Mission
Enclosure:
Copy of memorandum for Genreral MacArthur,
September 20, 1947.
Original to Department.
800
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