2019-01-08
橋下徹氏と大阪維新の動き 安倍首相へのおねだり成果
2020-09-14
<安倍晋三> 倫理無き党首総裁 大阪で自党(大阪自民党)を真っ二つに割って甚大な打撃を与えた大阪維新の会を支援
橋下徹氏と大阪維新の動き 安倍首相へのおねだり成果
2020-09-14
<安倍晋三> 倫理無き党首総裁 大阪で自党(大阪自民党)を真っ二つに割って甚大な打撃を与えた大阪維新の会を支援
※今回はまだ安倍首相、菅官房長官と表記します。
(もくじ)
1.橋下徹氏および大阪維新、登場から初の2011統一地方選まで
2.大阪府市議会動勢表 ―安倍政府の「維新支援」理解のために
3.2011統一地方選結果 初挑戦で維新大勝(表1、表2)
4.2011統一地方選 大阪市議会自民党が維新旋風を切り抜けた背景
5.大阪府議選 維新 2011春 大勝、2015春 敗北
大阪府議選 自民 2011春 大敗、2015春 復活勝利
6.2015春統一地方選「維新敗北」、都構想住民投票否決を生んだ背景
大阪府議選 自民 2011春 大敗、2015春 復活勝利
6.2015春統一地方選「維新敗北」、都構想住民投票否決を生んだ背景
7.維新熱が冷めた4つのできごと
8.2012年以降毎年、橋下徹氏と松井一郎氏は安倍晋三氏と会食
1.橋下徹氏および大阪維新、登場から初の2011統一地方選まで
大阪2008年、橋下徹・大阪府知事が登場しました。
若い知事の情熱と突進ぶりが大阪に旋風を巻き起こしました。
まもなく橋下府知事を代表にした「大阪維新の会」が生まれました。
[大阪維新の会 誕生まで]
2008.02.06. 橋下徹・新大阪府知事、初登庁
2009.04.24. 松井一郎氏ら大阪府議会自民党議員6人で、府議会新会派
「自由民主党維新の会」を結成
2009.04.24. 松井一郎氏ら大阪府議会自民党議員6人で、府議会新会派
「自由民主党維新の会」を結成
2010.1. 橋下徹大阪府知事(当時)、後援会のパーティーで「大阪都構想
実現を目指す」と話す(朝日新書2015.11.30.「ルポ 橋下徹」)
2010.04.19. 大阪府選管に政治団体「大阪維新の会」届出。
2010.04.19. 大阪府選管に政治団体「大阪維新の会」届出。
自民党会派から発展 参加議員は自民党籍のまま
代表・橋下徹大阪府知事(当時) 幹事長・松井一郎大阪府議(当時)
2010.05. 大阪市議補選。「維新の会」独自候補当選 自民党、落選
2010.09. 大阪自民党、「維新の会」活動を反党行為と認定
「維新の会」参加者に離党勧告、45人離党。
2011.04. 橋下徹氏および大阪維新、初の統一地方選
2010.09. 大阪自民党、「維新の会」活動を反党行為と認定
「維新の会」参加者に離党勧告、45人離党。
2011.04. 橋下徹氏および大阪維新、初の統一地方選
2.大阪府市議会動勢表 ―安倍政府の「維新支援」理解のために
(表1)大阪府議会議席動勢
| 2010維新 発足年議席 | 2011春 統一地方選 | 2015春 統一地方選 | 2019春 統一地方選 |
大阪維新 | 29 26% | 57 52% | 42 48% | 51 58% |
大阪自民 | 23 21% | 13 12% | 21 24% | 15 17% |
大阪公明 | 23 21% | 21 19% | 15 17% | 15 17% |
大阪民主 | 21 | 10 | 1 | ― |
大阪共産 | 10 | 4 | 3 | 2 |
その他 | 6 | 4 | 6 | 5 |
◎定数 | 112 | 109 | 88 | 88 |
(表2)大阪市議会議席動勢
| 2010維新 発足年議席 | 2011春 統一地方選 | 2015春 統一地方選 | 2019春 統一地方選 |
大阪維新 | 13 15% | 33 38% | 36 42% | 40 48% |
大阪自民 | 20 23% | 17 20% | 19 22% | 17 20% |
大阪公明 | 20 23% | 19 22% | 19 22% | 18 22% |
大阪民主 | 18 | 8 | 0 | ― |
大阪共産 | 14 | 8 | 9 | 4 |
その他 | 2 | 1 | 3 | 4 |
◎定数 | 89 | 86 | 86 | 83 |
※欠員2
※1 表1、表2、各マスの数字は「議席数」です。
※2 表1、表2、各マスの赤色数字%は、議席定数に対する議席獲得率です。小数点
以下は四捨五入しました。
※3 表1、表2の「2010維新発足年議席」は、2011春統一地方選直前の議席数で、
2007春統一地方選の結果です。
※4 議席数について、2010維新発足年議席・2011春統一地方選は朝日新聞から、2015
春統一地方選は時事通信、2019春統一地方選はNHKサイトから採取しました。
3.2011統一地方選結果 初挑戦で維新大勝(表1、表2)
2011春統一地方選を迎えるころの大阪。
大阪市の空も街も、一代の風雲児「橋下徹」旋風の勢いに呑まれています。
政界関係、報道関係だけでなく、大阪人も隣接府県も、大阪府・大阪市の議会選挙結果をかたずをのんで見守っていました。橋下徹大阪府知事率いる「大阪維新」の得票数ならびに獲得議席数は? 橋下維新旋風の他党浸食結果はどれほど?
<2011統一地方選 大阪府議会の結果>
大阪府議会議席は、選挙前議席対比で、大阪維新が倍増、大阪自民は4割減。維新大勝、自民大敗です。民主、共産も大敗。公明は1割減。
<2011統一地方選 大阪市議会の結果>
大阪市議会議席は、選挙前議席対比で、大阪維新は2.5倍増。大阪自民は1割5分減。自民敗北ですが、橋下維新旋風を耐え凌いだと言える数字です。公明は微減。
では、大阪維新議席2.5倍増の主要な供給源はどこなのか。民主党と共産党の大敗、大阪維新に流出しました。
2011春当時の民主党は政権党ですが、東北大津波と福島原発メルトダウンから間を置かない時期で政府大混乱の時期。民主、大敗。その後も、党内闘争盛んで2015春統一戦では府議1という惨状。2016.3.には民主党そのものが解党になるという流れになります。大阪市議会共産党も大阪府議会と同様、大敗でした。
4.2011統一地方選 大阪市議会自民党が維新旋風を切り抜けた背景
大阪市議会の勢力変化は、大阪府議会にくらべると、より緩やかです。これは、大阪維新の金看板「大阪都構想」が実行されると、大阪市が分割解体されて消滅するからです。大阪市解体は同時に「大阪市民」というアイデンティティの消滅を意味します。
維新の会はさまざまに行政改革を訴えています。そのシンボルが「大阪都構想」です。名前通り東京都のミニ物まね構想、です。東京の物まねがそれほどいいものなのか、それほどいいものでもないのか、とシニカルに私は思います。
橋下徹氏、松井一郎氏、吉村洋文氏の大阪スター維新トリオの言い分は、大阪市が大阪をダメにしてきた、大阪は大阪都構想で東京のように栄える、首都東京非常時の首都代行都市にする‥‥。これは、大阪人の、豊臣大坂城おひざ元町人の矜持を刺激します。
しかし、維新の会の創始者は橋下徹大阪府知事(当時)と松井一郎大阪府議(当時)で、大阪府側の人間です。大阪府の統治者の立場にすれば、大阪市はことあるごとに足かせになるという思いがあるのでしょう。
大阪府の一方的な見地から、大阪停滞の元凶は大阪市政に有りと断じて、大阪市解体 → 大阪府占領政治をするのが、都構想の権力的実体です。
この大阪府、大阪府民による大阪市解体、大阪市占領支配を嫌って、大阪都構想に二の足を踏む、反対する、大阪市民もまた多い。
さらに、大阪都構想によって大阪市は解体されます。大阪市民や大阪市民出身の大阪人の大阪愛の中心にある「大阪市民というアイデンティティ」喪失という心の問題も大きい。
5.大阪府議選 維新 2011春 大勝、2015春 敗北
大阪府議選 自民 2011春 大敗、2015春 復活勝利
大阪都構想の是非は、いつも大阪ローカル政治の一大争点になっています。その是非に決着をつける大阪市住民投票が2015.5.17.と決まりました。
そのため、2015春統一地方選は、大阪都構想の賛否両陣営から5・17都構想決着の日の前哨戦と位置づけられていました。
しかし、2015春統一地方選大阪府議会の結果は、大阪維新「敗北」、大阪自民「復活勝利」。引き続きの大阪都構想大阪市住民投票の結果は「否決」。
なぜこうなったのか。
6.2015春統一地方選「維新敗北」、大阪都構想住民投票否決を生んだ背景
2015春統一地方選「維新敗北」、大阪都構想住民投票否決を生んだ背景はなんであったのか?
それは、金さえもうかればバクチでもかまわない、という橋下徹氏とその維新なかまたちの人間性に疑問を感じる人々の一群がいたことです。
それは、沖縄米軍関係者による性犯罪防犯対策の手段に、沖縄米軍に「風俗利用」を勧めて恥じない橋下徹氏とその維新なかまたちの沖縄蔑視、女性蔑視、人権感覚への怒りと失望が、特に、女性の間に広がったことです。
それは、公共財を売って恥じず、身軽になることはなんでも良いことだと信じている橋下徹氏とその維新なかまたちに、盲目的に従わない人々の一群がいたことです。
それは、米国投資ファンド「ローンスター」を拒否し、地元「南海電鉄」を受け入れた大阪府堺市の人たちです。
7.維新熱が冷めた4つのできごと
第一に、橋下・松井コンビによる活発なカジノ大阪市誘致活動。2013年~2015年ごろ、橋下徹大阪市長(当時)はカジノ誘致が持論で、日本維新の会共同代表でもありましたから、自民党と共同してカジノ法案成立に力を入れていました。しかしカジノ誘致反対派世論は、賛成派の経済界世論に対抗して強い。
第二に、2013年5月13日の橋下徹大阪市長(当時)記者会見で、普天間基地視察の折に、米軍海兵隊司令官に「米兵の性犯罪防止のために風俗利用を勧めたら、相手はこの話題から引いた」と明かしたことです。
この発言から慰安婦に関する自論展開になって、風俗利用のすすめの反響は、米国では政府機関からも「非常識な女性蔑視」と批判を浴びました。韓国政府からは慰安婦のことで抗議がありました。
政府間だけでなく、国内外に幅広く女性からも「女性蔑視」「非常識」「不快」と批判が絶えず、広がりも大きかった。
さらに松井一郎大阪府知事が「風俗利用は合法的だ」と、すぐさま橋下徹大阪市長を擁護しました。沖縄普天間基地視察の折、日本国の大阪市長が沖縄駐留米軍海兵隊司令官に、米兵性犯罪の防止策として風俗利用をすすめたのです。
これは日本国の大阪市長による、米海兵隊司令官公式訪問の席上発言です。しかも大阪府知事が橋下発言をすぐに擁護しました。
沖縄から、特に沖縄の女性から悲痛な抗議の声が上がっていました。
橋下徹大阪市長(当時)提案の論理構造は、「女性の性被害を防止するには、男性の性欲暴発を抑止することが必要 → 社会的方策としては、性欲の暴発抑止には、男性の風俗女性(有料)による性サービス利用が効果的 → 男性の風俗女性(有料)による性サービス利用を推進 → 風俗性サービス需要増大 → 女性の風俗従業を促進」ということなのです。
理屈の経路を考えなくても、女性なら直感的に侮辱を感じる。
沖縄米軍に風俗の公式利用をすすめることは、風俗需要が大幅に増大することであり、沖縄風俗業拡大の奨励であり、それは自動的に、地元沖縄の女性に風俗就業を要請し奨励することを意味します。
橋下徹大阪市長(当時)に発言撤回を求める声が多々ありましたが、橋下徹市長(当時)も、盟友松井一郎大阪府知事も主張を曲げることなく終わりました。
第三に、大阪府の第三セクター所有になる泉北高速鉄道の売却問題。2008年大阪府知事就任まもなくから橋下徹府知事(当時)は泉北高速売却の検討を始めていました。
2013年、後任の松井一郎府知事は米国のローンスターという投資ファンドに売却を決めました。もう一社、南海電鉄が名乗りを上げていましたが、選定されなかった。ローンスターは米国企業、まして投資ファンドだからいつ引き上げるかわからないという不安が大きい。
泉北高速鉄道が走っているのは大阪府堺市。南海電鉄路線の地元でもあります。泉北高速沿線住民や企業・学園、堺市などローンスター売却に反対。どうせ売るなら南海電鉄にというのが世論で、もめました、もめました。結局、松井一郎府知事がローンスター選定撤回。2014年5月、泉北高速は南海電鉄に売却されました。
第四に、大阪市に次ぐ大都市堺市長が反維新派で、大阪都構想反対でした。
2011統一地方選以後、2015統一地方選までの期間、こういったことが橋下徹と維新への盲目的支持の熱冷ましになって、2015統一地方選の維新敗北と大阪都構想2015.5.17.住民投票否決という結果を生みました。
8.2012年以降毎年、橋下徹氏と松井一郎氏は安倍晋三氏と会食
2012年春から夏にかけての間に、橋下徹氏と松井一郎氏は上京して安倍晋三氏を訪ねています。安倍晋三氏が自民党総裁になるのは2012年9月で、12月に総理大臣になりました。
橋下徹氏は日本維新の会の代表に安倍氏をリクルートするために3回も通ったのではないかと私は推測しています。その時期の安倍晋三氏には自民党総裁への立候補を勧めたり期待したりする面々が足しげく出入りいていたはずです。
安倍晋三氏が橋下徹氏のリクルートに乗るわけがありません。それにもかかわらず、春から夏の短い期間に橋下徹氏が3回も面会できたのは、安倍晋三氏の方に維新の会を後のために繋いでおきたいという気持ちがあったのでしょう。
2013年以後年末に橋下徹氏と安倍首相が会っていることは、その時々に新聞報道でも伝えられています。安倍首相には菅官房長官が、橋下徹氏には松井一郎氏が陪席していたと言われています。
この4人とも肌が合うのだと思います。憲法感覚、公共物を売り払うのを理屈抜きに「良い」とする感覚、規制緩和はなんでも理屈抜きに「良い」とする感覚が、この4人に共通しています。
さらに、俗にいう「モリ・カケ・サクラ」すなわち森友・加計学園・桜を見る会を注視していると、安倍首相は私情政治の人という感がします。2012年春から夏の間、自民党総裁になる前の無位無官、衆議院議員・安倍晋三氏を訪ねて、維新の会代表になることを懇請したはずの橋下徹氏に安倍晋三氏の私情の血がなにかのきっかけで通ったのかもしれません。
次回はG20大阪サミット、大阪万博・カジノのセット誘致が「維新」への政治プレゼントであり、相対的に大阪自民が沈没するという、安倍晋三党首総裁の行動について書きます。前回、今回につづいて、やっと次回が結論になります。