川本ちょっとメモ

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安倍晋三は維新ファンなのか 大阪バックアップ連発、(明) 大阪維新復活 → 意気盛ん、(暗) 大阪自民 → 疲弊

2020-09-25 07:29:49 | Weblog





   ※今回はまだ安倍首相、菅官房長官と表記します。


   (もくじ)
   1.大阪維新が2015春大阪府議会選挙で、初の議席減になった事情
   2.大阪維新 2015春大阪府議会選敗北
     5・17 大阪都構想住民投票「否決」が維新追い討ち
   3.維新の会創業者・橋下徹と堺屋太一、安倍晋三
   4.この10年、大阪は「維新の会」の天下
   5.安倍首相から維新の会へビッグプレゼント
     大阪自民党は蚊帳の外
   6.安倍首相、背信行為の結果 → 大阪自民、疲弊



1.大阪維新が2015春大阪府議会選挙で、初の議席減になった事情 


2011統一地方選後の時期、橋下徹大阪市長(当時)と松井一郎大阪府知事はカジノ都市でもあるシンガポールをイメージして、外国カジノ企業誘致に全力を尽くしていました。誘致予定地は大阪湾廃棄物埋め立て地「夢洲 ゆめしま」です。

大阪維新は、大阪万博誘致とカジノ誘致をワンセットにした政策を計画しています。そのうえに大阪都構想とも連結した政策です。

今、大阪維新は大阪万博とカジノシティーとをワンセットで計画していて、都構想とのつながりにはまったく触れていません。しかし、今秋の11月に予定されている都構想大阪市民住民投票で承認された暁には、大阪維新は都構想政策の成果として計上してくるはずです。

大阪自民は、「大阪市を解体して大阪府直営区に再編成する大阪都構想」に一貫して反対しています。そうなのですが、大阪万博とカジノシティーのワンセット計画には同意のはずです。

しかしどの政党支持であれ、カジノ誘致に反対する人は多く、しかも根強い。これは2015統一地方選の大阪府議会選挙で維新議席減少の要因になりました。


前回書いたように、2013年、橋下徹大阪市長(当時)沖縄普天間基地訪問視察して、沖縄米軍海兵隊司令官と面談の機会に米軍関係者の性犯罪防止に性風俗店の積極利用が有効と提案したことを明らかにしました。

この橋下提案の反響は全国的に大きく広がり、アメリカ政府からも反響がありました。いずれも「女性蔑視、人権無視」という批判の広がりでした。

これも2015統一地方選で維新議席減少の要因になりました。


橋下徹市長(当時)が性風俗発言で批判を浴びた2013年、松井一郎大阪府知事には府政のうえで失点がありました。大阪府の第三セクター「泉北高速鉄道」売却問題で、売却先米国投資ファンド「ローンスター」を選定しました。

これには主に堺市民から猛反対が巻き起こり、「ローンスター」案を撤回。2014年に大阪市から南大阪全域に鉄道網を張る「南海電鉄」に譲渡して事なきを得ました。

住民生活に直結する鉄道路線の経営を米国投資ファンド会社に売ろうとした無神経さですから、これも2015統一地方選で維新議席減少の要因になりました。



2.大阪維新 2015春大阪府議会選敗北
  5・17 大阪都構想住民投票「否決」が維新追い討ち 


   〇大阪府議会
    議席獲得率(定数対比)

                (2010発足年) (2011年春) (2015年春)      
    [大阪維新]   26%     52%    48% 
    [大阪自民]   21%     12%    24% 

   ※1.維新は2011春に倍増。民主・共産票を吸収したと見られます。
   
※2.維新は2015春に初の減少、前回比2割減。勢いに足止めがかかりました。
     ※3.自民は2011春に激減。維新のあおりを受けました。
     ※4.維新と逆に、自民、2015春は前回比倍増。2010年を超えて大健闘。


2015春統一地方選で大阪府議会選挙では、大阪維新の会の議席数が初めて減少しました。飛ぶ鳥落とす勢いに足止めがかかったということが大きい。

その理由は前回にも書きましたが、主に目立った事情は上記1.の通りです。

おまけに、大阪都構想 2015.5.17.住民投票の結果が否決に終わりました。大阪維新はそれこそ、「大阪繁栄の手立ては都構想実現しかない」という論法を叫んできました。住民投票否決になったので、大阪維新共同創業者(もう一人は松井一郎府知事)の橋下徹大阪市長は辞職の意向を表明しました。

住民投票「否決」で大阪維新の旗印がなくなりました。これからどうしよう。大阪維新の幹部は内心では途方に暮れたことでしょう。



3.維新の会創業者・下徹と堺屋太一、安倍晋三


橋下徹氏は2008年1月大阪府知事選挙に大阪芸能界あたりの支持だけで出馬した一匹狼のようなイメージがありますが、事実はそうではありません。

どこでつながったのか知りませんが、堺屋太一氏が橋下徹氏の後見人のようにしてついていました。橋下氏は堺屋太一氏に師事しているがごとくであり、堺屋太一氏の力添えで関西財界が橋下知事候補支援の旗を上げています。

東京中央の国政政治家とのつなぎも、橋下徹大阪府知事初期のころは堺屋太一氏の勧めや紹介であったようです。

大阪万博再びのアイデアも堺屋太一氏の提案に発しています。橋下徹知事(当時)が大阪府政でぶつかる改革を国政の視点から見ることも堺屋太一氏から学んだことでしょう。

堺屋太一氏は東大卒、通商産業省入省。1970年大阪万博、2005年愛知万博、2010年上海万博に関わり、経済企画庁長官、安倍内閣参与、大阪市顧問など多彩な経歴があります。

その堺屋太一氏が2019年2月8日、亡くなりました。葬儀には安倍首相、菅官房長官、石原慎太郎、自民党の領袖・岸田文雄氏など政財界の要人多数が参会する中で、橋下徹氏が弔辞を述べました。ニュース動画が残っています。

「大阪の橋下です。先生、これはいけませんよ本当に。先生には(ここから涙声がふるえる)2025年大阪万博のテープカットに立ってもらわなきゃ困るんですよ」

このように大阪政界初登場の折からすでに、橋下徹氏は中央政界とのつなぎを怠りませんが、堺屋太一氏の存在が大きい。

安倍晋三氏とは自民党総裁、総理大臣、就任前の安倍晋三氏に面会しています。安倍氏が総理大臣になって以後は、日本維新の会の実質は閣外与党です。橋下徹氏や松井一郎大阪市長を見ていると、政治上の体質的にも安倍氏と肌が合うのではないかと思います。

橋下氏や維新が憲法改正で安倍晋三氏と同一歩調を取っていることは周知のことで、これが、安倍首相が維新を優遇する大きな条件でした。維新の会も「改憲協力」を安倍政権への売り物にしてぶら下がっています。

カジノ誘致は、橋下徹大阪府知事初期のころから、大阪振興策の重要な柱です。それに万博開催が絡んで「万博カジノセット」が維新の会の一大政策です。

カジノ、公式に言うところの統合型リゾート(IR)は国から地域指定を得なければいけませんが、安倍首相との関係でよほどの自信があるのでしょう。大阪ではその先の外国カジノ企業の誘致や選定の話ばかりが話題に上がります。



4.この10年、大阪は「維新の会」の天下


大阪は維新の会の天下。2008年以後、大阪府知事は橋下徹 → 松井一郎 → 吉村洋文(現在)と、維新の会だけで受け継がれています。

大阪市長は2011年以後、橋下徹 → 吉村洋文 → 松井一郎(現在)と、維新の会だけで受け継がれています。

大阪府議会、大阪市議会ともに第一党は、大阪維新の会です。



5.安倍首相から維新の会へビッグプレゼント
  大阪自民党は蚊帳の外 


2016年~2019年の間、このうえないビッグプレゼントが国から大阪に降りてきました。ビッグプレゼントとは下のような事柄です。これで大阪維新は一気に活気づきました。


 【安倍首相から維新の会へビッグプレゼント

 2016 (H28) 年12月  特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、成立
               (別名:IR推進法、統合型リゾート推進法、カジノ推進法)
 2018 (H30) 年 7月  特定複合観光施設区域整備法、成立
 
              (別名:IR実施法、統合型リゾート実施法、カジノ実施法)
 2018 (H30) 年11月  11月24日、パリ会議で「2025大阪万博」決定
 2019 (H31) 春     統一地方選 大阪府議会 議席獲得率 2015春対比
             大阪維新 勝利 2割増、大阪自民 敗北 3割減
 2019 (R01) 年  6月  6月28日、29日 G20大阪サミット開催

  ※G20大阪サミットは2019統一地方選より後ですが、統一地方選の時点
   では既に大阪で開催準備が進められている状況があって、有権者の投票
   心理に織り込み済みと見ていいでしょう。


統合型リゾート法(カジノ法)の施行で、大阪府知事、大阪市長の念願であるカジノ誘致が実行段階に入れます。万博は大阪府民・市民に、2025年まで明るい目標を掲げることができます。

降って湧いたようなG20大阪サミットのおかげで、大阪に、一流の国際都市であるという箔がつきました。

G20サミットは、大阪より京都であれば参加国要人は喜んだであろう。神戸振興の気持ちがあれば、大阪至近の立地から見ても何の不自由もない。かつて沖縄サミットがありました。北海道洞爺湖サミットもありました。

万博プレゼントに重ねて、G20サミットを大阪に持ってきたことは不自然でさえあります。

安倍首相の東京オリンピック招致の名目の一つであった「東北復興のために」というスローガンの代替え実行で、「G20サミット仙台」であったなら東北人に喜んでもらえたでしょう。

しかし安倍首相の本心では、東北をG20首脳に見せたくはありません。「東北復興」は東日本大震災の記憶を呼び戻して大自然災害への警鐘を鳴らします。それはよいのですが、FUKUSHIMA meltdown 炉心溶融 もクローズアップします。

ついでに言えば、福島第一原発事故では何万という単位で着の身着のままの避難民が出ました。中東で苦しんでいる戦争難民を思い起こさせる「難民」が、戦後日本で発生するとは思いもよらないことでした。
 
 そして、政府指定の立ち入り禁止区域はもちろんのこと、健康上立ち入らない方が良いと警戒しなければいけない放射線汚染領域は、「領土喪失」と同義です。福島原発事故で日本は、戦後初の難民を生み、首都にそう遠くない本土の領土を失ったのだ、と私は思います。



6.安倍首相、大阪自民へ背信行為の結果 → 大阪自民、疲弊


大阪はこの10年間、府知事も大阪市長も、橋下、松井、吉村の維新トリオが回してきました。

今の大阪は「維新」天下ですから,安倍首相が大阪に送り出したプレゼントはすべて、「大阪維新の成果」になります。安倍首相さえその気になれば、大阪自民党の成果でもあることを大阪人に知らせることができたはずです。

しかし、犯罪的なことには、安倍首相はこの大きな「大阪プレゼント」を安倍晋三個人から橋下徹・松井一郎一派へのプレゼントにしたことです。そしてそれが、安倍首相の党で復調傾向にあった大阪自民党を、2019春統一地方選で突き落としました。

2015地方選敗北とその直後の都構想住民投票否決に表れたのは、「大阪維新退潮・大阪自民復調」の流れでした。
 
しかし上述の一連の「安倍首相から維新の会へビッグプレゼント」で流れが変わりました。 

大阪維新・大阪自民の盛衰が象徴的に表れる2019地方選大阪府議会選挙の結果は、大阪維新が前回比2割増、大阪自民が前回比3割減で、「大阪維新の勢い復活・大阪自民消沈」へと流れが逆転しました。


     〇大阪府議会 議席獲得率(定数対比)

                  (2015年春) (2019年春)    
      [大阪維新]   48%     58%
      [大阪自民]   24%     17%

     ※1.維新は2015春統一地方選対比で、2019春の選挙結果 → 2割増。
     
※2.自民は2015春統一地方選対比で、2019春の選挙結果 → 3割減。


自民ファンでもなく、維新ファンでもない、浮動票の1票にすぎない立場であっても、日本第一の自民党の党首総裁であった安倍晋三が大阪で、大阪自民の政敵である大阪維新をバックアップし、苦闘する大阪自民を支援することなく見捨ててきた非情、卑劣さを非難しないではいられません。安倍晋三はなんという背信の指導者でありましょうか。



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