11月20日毎日新聞で2つのニュースに注目しました。
<1> 世界に朗報、1回の田植えで2度収穫3倍収量
わたしたち人間をはじめ、地球上の一切の有情非情には地球温暖化への適応に大変な時代が始まっています。そこへ、米増収に挑戦している農研機構九州沖縄農業研究センターから1個の朗報です。実用化はまだ先のことですが。
この米増収法が実用化すれば、日本が世界の食糧事情にも貢献できてすばらしい結果につながるでしょう。
(毎日新聞2021.11.20.大阪夕刊から記事の一部)
農研機構九州沖縄農業研究センターの中野洋博士らは福岡県筑後市の拠点で2017~2018年、再生二期作でどれだけ収量を増やせるかを調べた。
米が多く実る独自開発の稲を4月中旬に植えて8月に収穫し、肥料を与えて11月に再び刈り取った。
2回の合計で10アール当たり1400キロ超を収穫した。通常の稲作は500キロ程度のため、3倍近い量だ。稲を十分に成熟させ、地面から50センチと長めに刈り株を残すと収穫が特に増える結果になった。ただ、この実験で使った稲では2回の収穫とも一般の品種に比べ味が劣り、改良の余地があるという。
<2> 魚に心はあるか? 10センチの熱帯魚が鏡を見て顔を見分ける
これは、ちくま新書『魚にも自分がわかる 動物認知研究の最先端』のお話です。毎日新聞20日朝刊の書評を読んでびっくり。それでひきつづいてアマゾンで読者評を読みましたが、しかし本はまだ読んでいないというお粗末ながら紹介いたします。
この本の著者は、大阪市立大学大学院理学研究科(動物機能生態学研究室) 幸田正典教授で、世界で初めて,魚に自己認識能力があることを証明する論文を発表しました。
鏡に映った自分の姿が,自分のものであるということを認識できることを鏡像自己認知と言い、自己意識が存在する証拠であるとされています。
人間以外の動物でも鏡像自己認知を持ち得ることを初めて証明したのは、ゴードン・ギャラップという研究者です。1970年に,チンパンジーが鏡像自己認知を持つことを証明する論文を発表しました。
その後,ゾウ,イルカ,カササギも、鏡像自己認知能力を持っているという研究が発表されました。そして2019年、幸田正典教授が世界で初めて,魚類(ホンソメワケベラ)が鏡像自己認識を有することを示す研究結果を発表しました。
国内外の研究者によって、霊長類 → 哺乳動物 → 鳥類 → 魚類へと、鏡像自己認知を有する生物の範囲が開拓されてきました。
幸田教授は、魚には内省的自己意識や「こころ」があるという仮説を立てています。
私は、草木成仏とか、一切衆生悉有仏性ということばが、ぽっと浮かびました。
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「ほんまかいな」。著者の語り口につられて、思わずこんな言葉が口をついて出た。「ホンソメワケベラという10㎝もない小さな熱帯魚が、鏡で自己の顔を覚え、そのイメージに基づいて鏡像自己認知を行っていることが、明らかになった。そのやり方はヒトとほぼ同じなのである。つまり、小さな魚とヒトで、自己認識という高次認知とその過程までもがよく似ていたのだ。こんなことをこれまで誰が予想しただろうか」。
脊椎(せきつい)動物の脳については、爬虫(はちゅう)類脳(脳幹と大脳基底核)、旧哺乳類脳(大脳辺縁系)、新哺乳類脳(大脳新皮質)と進化につれて新機能が加わる三段階仮説が唱えられ、魚や両生類は蚊帳の外だった。ところが近年、魚類で大脳、間脳、中脳、小脳、橋、延髄のある脳が完成しており、神経回路網も全脊椎動物で同じと分かってきたのだ。(毎日新聞書評者・中村桂子氏)
脊椎(せきつい)動物の脳については、爬虫(はちゅう)類脳(脳幹と大脳基底核)、旧哺乳類脳(大脳辺縁系)、新哺乳類脳(大脳新皮質)と進化につれて新機能が加わる三段階仮説が唱えられ、魚や両生類は蚊帳の外だった。ところが近年、魚類で大脳、間脳、中脳、小脳、橋、延髄のある脳が完成しており、神経回路網も全脊椎動物で同じと分かってきたのだ。(毎日新聞書評者・中村桂子氏)
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筆者はまず第一章で、約4億年前のヒトの祖先魚の段階で脳の構造や脳神経は基本的にヒトと同じであったことや、現代の魚の脳内神経回路網がヒトとほぼ同じであることがわかってきたことを明らかにしたうえで、第二章で、社会性の高い魚が相手個体の顔を見て個体識別をしていることを確認した筆者らの実験結果を紹介している。
第三章以降では、鏡に映った自分の姿が自分だと認識できること、すなわち鏡像自己認知の問題に特化している。
第三章以降では、鏡に映った自分の姿が自分だと認識できること、すなわち鏡像自己認知の問題に特化している。
筆者はまず第三章では魚以外の動物で行われてきた鏡像自己認知実験について、第四章ではこれまで類人猿、ゾウ、イルカ、カササギでしか確認されていなかった鏡像自己認知を、筆者らが魚(ホンソメワケベラ)への実験で確認したこと及び論文査読者からの批判に応えた追加実験について、第五章では論文発表後にヒトや霊長類の知性研究の二大巨頭から寄せられた批判に応えた追試実験について解説する。
第六章ではホンソメがその鏡像自己認知を、鏡像の動きがいつも自分と同じだからということではなく、自分の姿それも体ではなく顔で行っていること、すなわちそれは、ホンソメには顔心証(自己顔の心証)に基づいた内面的自己意識があることを意味することを、最終第七章では内面的自己意識と内省的自己意識の違い及び魚には内省的自己意識や「こころ」があるという筆者の仮説を具体的かつ詳細に示すことなどが今後の課題であることを、それぞれ詳しく解説している。 (以上、アマゾン評者・gl510 )