■歌手の安室奈美恵さんに沖縄県民栄誉賞
2018年5月23日午後の沖縄県庁において、歌手の安室奈美恵さんに沖縄県民栄誉賞が贈られました。その表彰式の実況は琉球新報のユーチューブで見ることができます。
翁長雄志知事の表彰のことばは淡々とした話し方でしたが、翁長知事の思いが胸にしみるものでした。安室奈美恵さんはうれしさとともに、涙を抑えることができませんでした。沖縄での自身の成長や東京へ出てからのさまざまなことが思い返され、授与式の場でやさしく迎える翁長知事と響きあうものがあったのでしょう。
翁長知事は、表彰のことばの中で、平成の歌姫として世界の人々を魅了し続けているとたたえました。さらに沖縄県出身の歌手・タレントの草分け的存在であるとたたえ、知事の娘たちがテレビの中の安室といっしょに歌っていたことを話しました。
2000年(平成12年)の九州・沖縄サミットで各国首脳の前で堂々と歌う姿は沖縄県民としてたいへん誇らしく今でも鮮明に覚えている。デビューから25年にわたる活躍は、県民に大きな夢と感動を与えるものである。――知事は県民栄誉賞授与の理由をこう述べました。
※栄誉賞授与式のこれらのやりとりは「iza」が詳細に記事化しているのでこのブログの終わりに転載しておきます。
■翁長知事急逝――お悔やみ申し上げます
8月8日、がん闘病中の翁長雄志知事が亡くなりました。
9月沖縄での引退ラストコンサートの前に翁長知事が亡くなったことは、安室奈美恵さんにとっても急なことでした。一人の人間が持っているその人のぬくもりは、その人の近くにいると伝わってきます。安室さんは栄誉賞表彰式のときに、翁長知事のぬくもりと故郷沖縄への愛着する思いを共有したのだと思います。
それが「Namie Amuro OFFICIAL SITE」に8月9日掲載された「お悔やみ申し上げます」という翁長知事への追悼文です。
2018.08.09 お悔やみ申し上げます
翁長知事の突然の訃報に大変驚いております。
ご病気の事はニュースで拝見しており、
県民栄誉賞の授賞式でお会いした際には、お痩せになられた
印象がありました。
今思えばあの時も、
体調が優れなかったにも関わらず、
私を気遣ってくださり、優しい言葉をかけてくださいました。
沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺
志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄
であることを願っております。
心から、
ご冥福をお祈り致します。
安室奈美恵
■報道自主規制――安倍政権以前の時代にくらべて格段に強化されている
報道統制
8月9日午後7時のNHK「ニュース7」で、沖縄県庁での県民栄誉賞表彰式のもようを放送し、つづいて「Namie Amuro OFFICIAL SITE」がテレビ画面にクローズアップされて、「お悔やみ申し上げます」の文章にハイライトを当てて、女性アナウンサーが次のように読み上げました。
「安室さんは自身のホームページで、『今思えばあの時も、体調が優れなかったにも関わらず、私を気遣ってくださり、優しい言葉をかけてくださいました。心から、ご冥福をお祈り致します」と追悼のコメントを出しました』
もう多くの人がご存じのことですが、このニューストークが話題になりました。アナウンサーは上の追悼のことばのうち、青字部分をとばして、その前後の文を読んだのです。画面では青字部分の字づらを暗くし、読んだ部分はハイライトで明るくなっていました。
9月30日投開票沖縄県知事選挙への意図的な配慮ことであることは、誰にでもすぐにわかります。上枠内青字の部分と下青太字の部分がとばされた部分です。
沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております。
――このあたりまえの気持ちを自主規制して削除しなければならない時代になっています。沖縄に生まれ、沖縄に生きた人の遺志を受け継いで愛される沖縄であることを願う。この気持ちを表現することができない。
安倍政権になってからの今はこんな時代なんです。安倍政権の好みに合わない人にとっては、すでに息苦しい時代になっています。
安倍政権以前の時代にくらべて、みるみるうちに報道統制が強くなりました。報道機関はすでに自由にものが言えなくなっています。このまま放置しておけば、言論統制はツィッターやブログにまで及ぶようになっていくでしょう。抵抗しなければいけません。
■「公平・公正」、「不偏不党」とは具体的にはどういうことか
(NHKホームページのよくある質問集から転載)
http://www.nhk.or.jp/faq-corner/4housoubangumi/01/04-01-09.html
1.具体的には、政治上の諸問題は公正に取り扱うこと、また、意見が対立
している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らか
にし、公平に取り扱うといったことです。NHKは、意見が対立する問題
を取り扱う場合には、原則として個々のニュースや番組の中で双方の意見
を伝え、仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があること
を伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど、放送全体で公平性を確保する
よう努めています。
2.NHKの放送は、放送法とNHKの「国内番組基準」「国際番組基準」
を基本としています。
3.このうち放送法では、第1条の中の二で
o放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表
現の自由を確保すること。
と規定しています。
また、第4条では、国内放送の放送番組の編集等について、
o公安及び善良な風俗を害しないこと。
o政治的に公平であること。
o報道は事実をまげないですること。
o意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を
明らかにすること。
と規定しています。
4.こうした放送法の規定を受けて、NHKは、「国内番組基準」の記述を
次のようにしています。「日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送
の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送に
よる言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、
公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさねばならない。」
そのうえで、
o政治上の諸問題は公正に取り扱う。
o意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から
論点を明らかにし、公平に取り扱う。
と定めています。
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iza 2018.5.23 18:41
安室奈美恵さん号泣「とてもうれしい」 沖縄県民栄誉賞受賞し言葉詰まらせる
https://www.iza.ne.jp/kiji/entertainments/news/180523/ent18052318410019-n1.html
9月での引退を発表した歌手の安室奈美恵さん(40)が23日、沖縄県の県民栄誉賞を受賞した。翁長雄志知事(67)から表彰された安室さんは涙を見せ、「本当に名誉ある賞をいただき、とてもうれしく思っています」と言葉を詰まらせながら語った。表彰式の詳報は以下の通り。
(「失礼いたします」と言いながら知事応接室に入った安室さんは白いブラウスと白いスカート姿。翁長氏が部屋に入ると、深々と頭を下げた)
〇翁長氏
「あ、どうもようこそおいでいただきました。受賞おめでとうございます」
〇安室さん
「ありがとうございます」
〇翁長氏
「本当にお忙しい中ね、このように出席をいただいて、心から感激しておりますので、きょうはよろしくお願いいたします」
(県民栄誉賞表彰式が始まり、翁長氏があいさつを行った)
〇翁長氏
「よろしくお願いします。はいさい、ぐすーよー、ちゅーうがなびら。本日は安室奈美恵さんに対し、県民栄誉賞を贈ることができることを本当にうれしく思っております。安室奈美恵さんは、15歳でメジャーデビューして以来、数々のミリオンセールスを記録しており、平成の歌姫として、日本のみならず世界の多くの人々を魅了し続けております。平成8年には、全国の若者が安室さんのファッションをまねるアムラー現象が起こり、若者のファッションリーダーとしても、一時代を築かれました」
(それまでうつむき加減で翁長氏のあいさつを聞いていた安室さんだったが、「アムラー現象」と聞いて、少し笑顔を見せる)
〇翁長氏
「現在、多数輩出されている沖縄出身の歌手やタレントの草分け的存在となっておられます」
(安室さんは笑顔を見せた直後、涙が止められなくなる。スタッフから差し出されたティッシュで涙を拭くが、涙は止まらず。翁長氏があいさつをしている間、ティッシュで目元などを押さえる姿が続いた)
〇翁長氏
「当時は、街中で安室さんの曲が流れ、家に帰っても娘たちがテレビの中の安室さんと一緒に歌っていたのを覚えております。また、2000(平成12)年の九州・沖縄サミットでは、各国首脳の前でイメージソングを披露する大役を務めていただきました。日本を代表するアーティストとして安室さんが各国首脳の前で堂々と歌う姿は、沖縄県民として大変誇らしく、今でも鮮明に記憶しています。安室さんのデビューから25年にわたる活躍は、県民に大きな夢と感動を与えるものであり、今回、県民栄誉賞を授与させていただくこととなりました」
「今年9月に引退されるとの知らせに接したときには、大変驚き、また寂しい思いもありましたが、一方で引き際の決断の鮮やかさは、本当に見事だと思います。これまで、音楽活動に全力を傾けてきた分、一度ゆっくり立ち止まり、今までやりたくてもできなかったことにチャレンジするなど、引き続き充実した人生へ歩みを進めていただきたいと思います」
「安室さんの華々しい活躍は、ひとえに、ご本人のたゆまぬ努力があることは、多くの県民の知るところです。その努力とそれを支えたご家族と関係者の皆さまに心から敬意を表するとともに、安室奈美恵さんのご健勝とご活躍を心から祈念しまして、私のあいさつといたします。平成30年5月23日、沖縄県知事、翁長雄志。おめでとうございます。ありがとうございます」
(続いて翁長氏が県民栄誉賞の賞状を読み上げた)
〇翁長氏
「県民栄誉賞 安室奈美恵殿 あなたはメジャーデビューから二十五年常に日本を代表する女性アーティストとして音楽界の第一線で活躍され数々の記録を打ち立てられました そして『平成の歌姫』の心に響く歌声は日本のみならず世界の多くの人々を魅了し続けています この輝かしい活躍は県民に大きな夢と感動を与えました よってここに永くその栄誉をたたえ県民栄誉賞を贈り表彰します 平成三十年五月二十三日 沖縄県知事 翁長雄志。どうも、おめでとうございます」
〇安室さん
「ありがとうございます」
(読み上げ後、翁長氏は県民栄誉賞と記念品を授与した。記念品は沖縄県のかんざし「ジーファー」と、琉球王国時代に婚礼指輪として使われた房指輪。続いて安室さんがあいさつした)
安室さん「きょうはどうもありがとうございました。本当に皆さまお集まりいただきまして本当にありがとうございます。今回は本当に名誉ある賞をいただき、とてもうれしく思っています」
(涙が止まっていた安室さんだったが、再び言葉に詰まる)
〇安室さん
「ありがとうございます。すいません」
(県民栄誉賞授与式が終了し、懇談、写真撮影などを行う)
〇翁長氏
「いや、大変なスケジュールをぬっていただいてね、このように出席をしていただいて大変感激で、こうして県民栄誉賞を授与させていただくという場合でも直接本人におあげできるかなあ、大変心配しておりましたけれども、その厳しい日程を乗り越えてですね、こうやっておいでいただきましたことは大変、私、感激しております。また県民も必ずですね、きょう安室奈美恵さんがおいでいただいて、このような形で喜んでいただいたことについてはうれしく思っていると思います。ありがとうございます」
〇安室さん
「すごく緊張してしまって…」
〇翁長氏
「いろいろアジアのほうに行かれたようなんですが、大変な人だかりだったと聞いていますけど、やっぱりすごかったですか」
〇安室さん
「そうですね。あの、みなさんすごく温かく迎えてくださって」
〇翁長氏
「県民の誇りですからね。ありがとうございます。僕は2000年サミットの舞台のすぐ下で(安室さんのステージを)拝見させていただいたんですが、もうあのころ、本当にまだ若いにもかかわらず、世界のね、大統領あるいは総理、たくさんおられましたけれども、もう本当に沖縄県のですね、思いをがーんと出していただいたので、私たちもそばである意味で涙流してですね、感激したのを覚えております」
〇安室さん
「私もすごく緊張して、でも何かこう、私自身が何か、こう何かお手伝いできることというとやっぱり歌を歌うことだったので、それであそこの場所で歌わせていただいたことは本当にうれしく思いました」
〇翁長氏
「沖縄にはときどきお忍びか何かでおいでになることはあるんですか」
安室さん「はい、そうですね」
〇翁長氏
「表立って来れない方ですから大変だと思いますけれども、今回もその意味ではおいでいただけるかどうかは僕らも1カ月前ぐらいからやきもきしていましたけれども、笑顔で喜んでいただいたというのは本当に私ども、今日までやってきた人間はほっとして大変うれしく感激しています」
(記念撮影後、翁長氏は退出。安室さんが記者団の質問に答えた)
--沖縄のみなさんにメッセージを
〇安室さん
「本当に今回、名誉ある賞をいただいてとても、本当に本当に光栄に思っています。とてもびっくりしているし、デビューして25年間に私がしている活動の中で、1人でも多くの方が笑顔になったりとか、元気になってくださっているとするならば、25年間一生懸命頑張ってきてよかったなと思っています」
--沖縄はいろんなことで注目されている。いろんなことが変わったり、変わらなかったりするが、生まれ育った沖縄に対してはどのような思いを持っているか
〇安室さん
「沖縄に対してはすごく優しい場所でもあるし、ただただ、こう、自分に厳しい場所でもあるので、いつでも帰ってくるたびに初心に戻してくれる場所でもあるので、すごく自分にとっては落ち着ける場所だなと思っています。そういう場所を1人でも多くの方たちに興味を持ってもらったりだとか、好きになってもらえたらいいなと思っています」
--9月16日に引退することを表明しているが、今後の活動は
〇安室さん
「今後は、そうですね、引退までの間、その時間に関しては一生懸命、9月16日まで活動はしていけたらしていこうと思っています」
(安室さん退室。記者団に対して「きょうは本当にありがとうございました。失礼いたします」と頭を下げる)
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