大阪府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)の市有地の賃料が不当に安く違法だとして、市民有志85人が1月16日、大阪市に対し、IR事業者との賃貸借契約の締結の差し止めを求めて住民監査請求した。賃料の算定を巡り、市側がIR事業の土地価格への影響を「考慮外」とするよう指示したことなどを違法だと指摘。一方、市側は賃料の設定は適切に行われたとしている。
(以上、朝日新聞2023.1.16.)(※)IRとはカジノタウンのこと。
IRの予定地は、大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)にある49ヘクタールの市有地。一部は大阪メトロ中央線延伸部に新設予定の「夢洲駅(仮称)」に隣接する。市は事業予定者の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの連合体に、この土地を35年間貸し出す予定で、賃料は年間で約25億円に設定されている。
(以上、朝日新聞2023.1.16.)
上記の大阪市に対する住民監査請求を市監査委員が受理した場合は60日以内に審査しなければいけない定めになっている。だから監査請求が受理されなかったか、却下されたかのどちらかの結末になったのだろう。4月3日、大阪市民が賃貸借契約の差し止め訴訟を大阪地裁に提起した。
大阪府、市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、市民ら10人が4月3日、事業予定者に貸し出す市有地の賃料が「安すぎて違法」として、市を相手取り、賃貸借契約の差し止めを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
(以上、朝日新聞2023.4.3.)
【鑑定結果に不審】
2019年11月、大阪市が不動産鑑定4社に依頼した鑑定結果が出た。
4社のうち3社が1㎡当たり土地評価額12万円、
1㎡当たり月額賃料428円 ──で一致した。
大阪市は3社一致分を採用した。
2020年12月、大阪市は再度、上の3社に鑑定依頼した。
2021年 3月、鑑定結果が出た。
今度は2社の評価額が1平方メートルあたり12万円で一致。
同じ2社の1㎡当たり月額賃料は428円前後を示した。
同じ2社の1㎡当たり月額賃料は428円前後を示した。
大阪市は2社一致分の評価額12万円/月額賃料428円を採用した。
2019年鑑定結果と2021年鑑定結果が同額になっている。
こうした結果について、東京のある鑑定士は、
「2社が価格で一致したとしても、賃料まで一致することは珍しい。3社が価
格と賃料で一致するなんて聞いたことがない」と驚く。(朝日新聞2023.2.1.)
「2社が価格で一致したとしても、賃料まで一致することは珍しい。3社が価
格と賃料で一致するなんて聞いたことがない」と驚く。(朝日新聞2023.2.1.)
鑑定士の間には「2年間評価額が変わらないのも理解できない」という声もある。(朝日新聞2023.2.1.)
その通りで、この2年で周辺の地価は上昇している。
IR(カジノタウン)予定地の一部は大阪メトロ中央線延伸部に新設予定の「夢洲駅(仮称)」に隣接している。
夢洲の北隣の人工島・舞洲(まいしま)にある「工業地」の公示地価は、
2019年1月時点で1平方メートルあたり7万8千円、
2021年1月時点で1平方メートルあたり7万9600円に上昇した。
2019年1月時点で1平方メートルあたり7万8千円、
2021年1月時点で1平方メートルあたり7万9600円に上昇した。
舞洲の東隣、ユニバーサルスタジオのあるユニバーサルシティ駅前の相続税路線価は、2019年1月32万円から、2021年1月37万円に上がった。
【大阪市の意向を忖度か】
ホームページで公開された議事録によると、松井市長が重ねて「ほぼこの価格なのか」と問うと、鑑定評価を発注する港湾局長は「そうだ」と応じた。IR推進局長は「変わると事業計画に大きく影響するので、できるだけ変えずに」などと説明した。 (以上、朝日新聞2023.2.1.)
複数の不動産鑑定士は「不動産鑑定の仕事は固定資産税の評価に限らず、行政からの発注が多い。ここまで言われたら、変えられない」と話す。
(以上、朝日新聞2023.2.1.)
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