川本ちょっとメモ

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<共謀罪> 笑う安倍晋三「そもそも」説教、国語を曲げる(2終)

2017-06-13 21:29:42 | Weblog

2017-06-11
<共謀罪> 笑う安倍晋三「そもそも」説教、国語を曲げる(1) 



 ■見過ごすわけにはいかない「そもそも説教」の悪質さ

 安倍首相の4月19日法務委員会答弁における山尾志桜里議員に対する「そもそも」説教は、首相の性格を如実にあらわしています。言葉使いの応酬として単純に見過ごすわけにはまいりません。それで、そのありさまを前回記事<共謀罪> 笑う安倍晋三「そもそも」説教、国語を曲げる(1)にくわしく書きました。前回記事で参照先を示した国会中継動画を5分ばかりご覧願えば、さらにその雰囲気がわかります。

安倍首相が質問議員を蔑み、笑いつつ、まちがいだとして教えてあげるシーンで、法務委員会室の同席委員が安倍首相に同調して一斉に笑う音声が入っています。

しかしこれは安倍首相のごまかしなのです。自分自身がした答弁のつじつま合わせのために、「そもそも」の語義を勝手に作り変えて、国民が見る中継動画のカメラ前で、相手をやりこめてやったという満足感でいっぱいの安倍首相。いったいこの人の精神を何といえばいいのでしょうか? 何らかの精神障害の症候群があるのではないか、とまで思わされる衆議院法務委員会室の情景でした。


 ■その後の「そもそも説教」追跡――質問主意書と答弁書

その後、民進党議が「質問主意書」で安倍首相の「そもそも説教」を追跡します。「質問主意書」は衆議院議員個人名で衆議院議長宛に提出する公式文書で、衆議院議長を経由して政府に渡り、政府は内閣総理大臣名で内閣の閣議決定という手続きの後、政府から衆議院議長宛に「質問に対する答弁書」という公式文書として提出し、それが衆議院議長から質問議員に回付されるものです。参議院でも同じ制度になっています。

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1ー1.平成29年4月25日提出 質問第264号 提出者・初鹿明博議員

 安倍総理は、本年4月19日の法務委員会で、「そもそもという言葉の意味について、(中略)念のために調べてみたわけでありますが、これは基本的にという意味もある」と答弁している。

一 現在出版されている複数の辞書を調べたが、「そもそも」の意味として
 「基本的に」との記載がある辞書は存在しなかったが、本当に調べたのか。

二 調べている場合、安倍総理が調べた「そもそも」の意味として「基本的
 に」との記載がある辞書の辞書名、出版社名及び出版年を示されたい。

1-2.平成29年5月12日受領 答弁第264号 内閣総理大臣 安倍晋三

一及び二について
 例えば、平成十八年に株式会社三省堂が発行した「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している。

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【 参考 Weblio「三省堂大辞林」 】
そも そも [1] 【抑▽・抑▽ 抑▽】
〔「そも」を重ねた語。古くは漢文訓読に多く用いられた〕
一 ( 名 )
 (物事の)最初。起こり。どだい。副詞的にも用いる。 「 -は僕が始めたものだ」 「 -の始まり」
二 ( 接続 )
改めて説き起こすとき,文頭に用いる語。いったい。だいたい。 「 -,事前調査の不備がこのような事態を招いた」 「 -私の今日あるは彼のおかげだ」 〔一 は二 の転〕

【 参考 Weblio「三省堂大辞林」 】
ど だい [0] 【土台】
一( 名 )

木造建築で,柱の下にあって,柱から伝えられる荷重を基礎に伝える役割を果たす横材。

家や橋などの建造物の底部にあって,上の重みを支えるもの。基礎。 「 -石」

物事の基礎。もとい。基本。 「会社の-をつくった人」
二( 副 )
 〔「土台からして」の意から〕 (多く否定的な表現を伴って)その物事の根本に立ち返って結論づける気持ちを表す。もともと。元来。 「 -目算が立たない」 「 -無理な話だ」


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<かわもと> 「そもそも」の項を引くと、語義の最後に「どだい」がある
          ↓
       「どだい」で大辞林を引くと、「土台」と漢字表記されていて、
       「土台」の項である

        この「土台」の項、名詞の最後に「基本」という意味がある
          ↓
        だから「そもそも」には「基本」という意味がある
          ↓
        だから、「そもそも」は「基本的」と言い換えても良い

       ‥‥と、これが答弁書の論理組み立てなんでしょう。

 しかし、上に引き写した大辞林のどだいは、わざわざ平仮名で「どだい」と表記してあります。大辞林は立派な辞書ですから、これが「土台」の意味ならば、「どだい」と書きません。だから、大辞林「そもそも」の項で「どだい」とあるのは、「どだい、それは無茶だよ」というような用法での意味です。

その平仮名表記の「どだい」を「そもそも」の項から引っ張ってきて、大辞林「どだい」の項を引いて、漢字で「土台」と書いてある。国語辞典は平仮名で引くようになっています。だから「土台」は「どだい」で引きます。

「そもそも」の項の説明で、わざわざ平仮名で「どだい」と記してあるにもかかわらず、「どだい」の項を引いて「土台」で説明に「基本」がある。この論理を考え出した奴らは、余りにも腹立たしいので、「奴ら」と書きます。

  この論理を考え出した奴らは国語辞典の引き方も知らぬ奴らなんです。あるいは知っていて、こじつけごまかす、あくどい奴らなんです。

  本当に無茶苦茶な理屈立てです。一国の総理が国会で、国語の語義を勝手に曲げて、野党議員に語義解釈の説教をしました。しかも今度は、内閣の閣議決定という政治権力の裏付けをもって、国語の語義を力づくで曲げた、ということになります。


 これが、安倍晋三内閣総理大臣なんです。これが安倍内閣なんです。

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2-1.平成29年5月12日提出 質問第307号 提出者・初鹿明博議員

  内閣衆質一九三第二六四号で、「例えば、平成十八年に株式会社三省堂が発行した「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している。」という答弁をいただきましたが、つまり、「そもそも」の意味として、直接「基本的に」との記述がある辞書は存在しないということで良いのか。

2-2.平成29年5月23日受領 答弁第307号 内閣総理大臣 安倍晋三

 お尋ねのような辞書が存在しないかについては承知していない。


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<かわもと> 初鹿議員の質問にある、「そもそも」の意味として、直接「基本的に」との記述がある辞書があるのかどうか、そんなこと知ったこっちゃないよ。――という総理大臣回答です。

しかし、4月19日衆院法務委答弁で安倍首相自身が、「辞書で調べた」と言いました。

「そもそも」の語義の一つに「基本的に」と示した辞書が在るのか無いのか知らないよ‥‥で、通用しますか? 安倍首相本人が国会答弁で「調べた」と言ったことについて、同じ本人「安倍総理大臣」名で発付される公式の質問に対する答弁書では「存在の有無は関知しない」回答なんです。こんな馬鹿な話がありますか? 安倍政権下では堂々と通用しているのです。

自分自身で調べたのなら、辞書名がわからないのは不審である。質問主意書に対する答弁書は文書回答であるから、職員が調べたのなら聞き質す時間は十分にある。

総理大臣自身が国会答弁して知っているはずのことを、同一人物の総理大臣名発付の答弁書で「調べた根拠になる辞書があるのかないのか知りません」と堂々と言う。

この、質問に対する答弁書は、閣議決定という手続きを済ませた後、衆議院議長宛に発付されました。安倍内閣の大臣たちはこんなバカなことに閣議決定の署名をしたのです。

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3-1.平成29年5月16日提出 質問第313号 提出者・初鹿明博議員

改めて伺うが、「大辞林(第三版)」を使って「そもそも」を調べ、その意味として記述があった「どだい」を調べたのは安倍総理自身なのか。

3-2.平成29年5月26日受領 答弁第313号 内閣総理大臣 安倍晋三

安倍内閣総理大臣が自ら御指摘の「大辞林(第三版)」を引いて「そもそも」及び「どだい」の意味を調べたものではない。

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<かわもと> これまでから安倍首相は、言葉の用法や漢字の読み方を間違ってきた実績があります。「云々(うんぬん)」を「でんでん」と読んだのは有名なエピソードです。

国語だけでなく、常識を疑うようなまちがいもありました。2016年5月16日、国会で民進党議員に、「私は立法府の長」と言いました。

総理大臣は行政府の長であり、立法府の長は衆参両院の議長です。これが頭の中でごっちゃになっているほどに、安倍首相にとっては、国会はどうにでもなる軽い存在なんでしょう。首相はまた、自衛隊のことを「国防軍」と言ってしまったこともあります。

終わりに、2017.5.1.毎日新聞の校閲記者が書いた記事の一部を転記します。

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<2017.5.1.毎日新聞記事>
 「そもそも」の意味に「基本的に」の記述がないことを毎日新聞が確認した辞書は、以下の通り。

【岩波書店】広辞苑(初版~6版)▽岩波国語辞典(3、4、7新版)【三省堂】大辞林(初版~3版)▽新明解国語辞典(初版、3、5、7版)▽三省堂国語辞典(4~7版)▽三省堂現代新国語辞典(初版、4版)▽電話帳式に引ける国語+漢和辞典▽辞林21(ハイブリッド新辞林も)▽広辞林(6版)【小学館】日本国語大辞典(初版、2版)▽大辞泉(初版、2版)▽国語大辞典・言泉▽国語大辞典▽新選国語辞典(6、8、9版)▽日本語新辞典▽現代国語例解辞典【角川書店】角川必携国語辞典▽角川新国語辞典▽基礎日本語辞典【学習研究社】学研国語大辞典(初版、2版)▽学研現代標準国語辞典(2版)▽新レインボー小学国語辞典【大修館書店】明鏡国語辞典(初版、2版)【講談社】日本語大辞典(2版)【新潮社】新潮国語辞典▽新潮現代国語辞典(2版)【集英社】集英社国語辞典(3版)【旺文社】旺文社国語辞典(8、11版)▽旺文社新総合国語辞典【ベネッセ】ベネッセ表現読解国語辞典【筑摩書房】言海


 
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