年末になって、やたらと和風の台所道具が欲しくなりますが、きのうからくり抜きの食事用のお膳が欲しくなった。
ヤフオクで探すうちに初めて知ったのだけど、どうも私の生まれ育った地方の特産品らしい。知らなかった。
言葉で説明すると、材質はマツではないかと思う。それを縁も本体も継ぎ目なく、一本の木からくり抜いて作る。全面中くらいの殴りを入れ、薄く漆をかける。模様はない。木の木目と殴りだけ。シンプル。漆も拭き漆なので剥げない。
丈夫で軽く、傷はあまりつかないけど、ついても目立たないばかりかいっそう味わいを増す。
子供のころのお客ごとにはこのお膳にごちそうを置き、座敷にずらりと並べて食べていた。脚がついてないので食べにくかったはずだけど、そんなものと思っていた。
いつしか家でお客もしなくなるし、生活も洋式化してしまったので、私の実家では30枚くらいあるこのお膳を一部は台所に置き、残りは別の場所で保管していた。
10年くらい前、実家へ入ったら母が自分が作った訪問着を私にやろうと言うので、それは丁重に断って御膳を三客だけ貰ってきた。軽いので紙袋に入れて、他の荷物もあったけど、全然邪魔にならなかった。
いつかもう少し貰おうと思ううち、もうこんなに長い時間が経ってしまった。実家には弟一家が諸般の事情で同居を始めたので、嫁に出た姉が荷物あれこれ持ち帰るのも面白くなかろうと、(たとえそれが不要品だとしても)、遠慮している。
この秋、同郷の友達を家でもてなしたとき、そのお膳出したら、懐かしい、実家にもあったと喜んでくれた。
欲しいなあ、あのお膳。もう材料も技術者もいないんだろうなあ。いたとしても手作業が多いから、安くはないはず。
と、ただいまネットで古いものを探しています。安いのが見つかりますように。物欲全開の年の暮。