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日本と日本人を危うくする安保法制の落とし穴

2015-10-01 | 読書

元自衛隊のレンジャー隊員で退官後、大学に入り直し、現在は加古川市議の井筒高雄氏が、外交、法律、経済などの各界の専門家と、今回の安保法制のどこに問題があるかを語り合った対談集。

それぞれ一流の人ながら一市議の呼びかけに快く応じてくれたそうで、それぞれ難しいことを分かりやすく解き明かし、私自身は、こんなにもいい加減な法律が、こんなにも無知で無責任な人たちによって作り出されたことに改めて暗然とし、慄然とし、そして子や孫を持つ身として悲しくてたまらなくなった。若い人に幼いものに平和な世の中を手渡せるのだろうかと。

(法律の最高位にあるはずの)憲法の解釈の責任は私にある・・・とめちゃくちゃな言い分で法律を強行採決した主犯格、いったいどういう人格かと理解不能だったけど、この本で少しわかった。

たいていの世襲議員は、小学生のころから通学は秘書が車で送り迎えするそうな。地元で車が空いてるし誘拐を恐れてのこととか。そのメンタリティは逆境に弱いということ。チヤホヤされて持ち上げられるのに慣れているので、自分と違う意見を言われるとそれを言い返すだけの知恵もなく、議論を深めて共通理解を導き出すだけの能力もなく、自分の存在を全否定された気がしてとても腹が立つそうな。

なんか幼稚ですね。某独裁国の世襲元首とおんなじ。動物も植物も須く、過保護は本人のためにならん。

何で私達の時代にこんなことを許したかというと、結局は有力者に取り入ってよくして貰おうという選挙民のさもしい心に原因があるのではと思う。

浮動票が多い大都会はいざ知らず、地方では地縁、血縁、仕事縁で議員が選ばれるという構図がある。その人の人柄や政治的信条などはどうでもいい、というか知らなくても平気。後援会に入って、明治座でお弁当付きの芝居見たり、バーベキュー大会してもらったり(実家で直接聞いた。つくづく情けない)、という分かりやすい利益に誘導されて、一票を入れる。

中選挙区から小選挙区へ、民意を反映しない擬制だとしても制度は制度、そこで選ばれた議員たちが最後は採決したことにしてしまう強引な展開。

とっても既視感がある。55年前の60年安保、白黒テレビで強行採決見た記憶がある。

「デモをしているのだけが国民の声ではない。声なき声が私を支持している」と傲慢なことを言ったその孫である。父方も政治家の家系。

初代が太平洋戦争でとういう役割を果たしたか、巣鴨プリズンから首の皮一枚で生還し、政界に帰り咲いたかはまた別の話だけど、先祖に対するコンプレックスから、自分も何か大きなことしたいというのが殆どの動機ではないかと私は思っている。これを狂信と言わずして何という。

でなければ、憲法に違反し、海外で戦闘を展開するだけの力がない自衛隊の現実も見ようとせず、強引に法案を通した意味が分からない。

アメリカの言うことを聞いていれば強い国になれるというのも全くの妄想である。第二次大戦後も、世界中の戦争に出しゃばり経済が疲弊したアメリカは日本に肩代わりしてほしいだけのこと。今も兵站などは民間に委託しているとのことだけど、日本がやってくれたら費用要らないしぃ・・・というシビアな現実。

最後にアーミテージ/ナイリポートの恐るべきシナリオが分かりやすく説明されている。

アメリカは中国と直接戦争する気は全くないし、自衛隊を助ける気も全くない。両方が消耗した頃合を見計らって和平交渉に介入し、東シナ海、日本海でのエネルギー開発に主導権を握る。

その戦略にまんまと乗せられたのが今回の法律だと、私も思う。

偉かったおじいちゃんやお父さんに敗けるもんか、ぼくちゃん、学校の成績は地味だったけど、卒業してぶらぶらしてた時期もあったけど、こうして日本を戦前のような世界と戦える国にしたんだもん、あの世から喜んでくれてると思う。ってゴルフしながら思ってることだろう。

ゴルフする暇があったらちょっとは勉強せい。あっ、それ、もっとも苦手なことですよね。


国民一人一人は何をするべきか。身近な人としっかり話してよく考え、戦争は許さないという気持ちを一層強くすること。

政党はとりあえず選挙協力をして、次の参院選挙で与野党逆転に持ち込んでもらいたい。

戦争したがる勢力は私にとっては不倶戴天の敵。父祖の敵であります。先の戦争でひどい目にあった日本人とその子や孫はみんなそう思っているはず。


長話陳謝。あさってこちらへ行きます。

皆様もよかったらどうぞ。

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